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神愛転生  作者: クレーン
第一章
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006話:魔改造? いいえ、神改造です

世界神様は俺に地球以外の別の世界、いわゆる「異世界」に行くことを提案した。

しかしその話を詳しく聞く前に一つ質問をしてみよう。


「あの、それは簡単に言えば俺が生き返って異世界に行けってことですよね?」

「ああ、その通りだ」

「でしたら普通に地球へ生き返らせてはくれないんですか?」

「チョイと待った!!」


俺がそう質問すると、創生神様が凄まじい勢いと気迫でズビシと手の平を俺に向けて待ったをかける。


「ああ、やっぱりそうくるよね。いや……地球への生き返りも出来なくはないんだが……」


世界神様が歯切れ悪そうに俺の質問にそう答えると、創生神様が俺の手を取って涙ながらに訴える。


「それだけは勘弁してくれい! お主が地球に戻ったらその時点で今後の地球の因果律が間違いなく狂いだす!! しかも地球は細胞レベルからのスタートで長い年月をかけてここまで進化した珍しいケースの世界なんじゃ! ワシが手掛けた世界の生き物の中で間違いなく進化の最長記録を更新中で、このままいけば先代様の記録を抜けるかも知れんのじゃよ!! だから後生じゃ! 地球への生き返りだけはどうか! どうか勘弁してくれい!!」

「えええええ~~!? そんな理由ですか!?」


いやまあ、確かに今後の地球の生態系に悪影響が出るって話なら理解できないところも無いんだけど、創生神様の記録更新の為ってのがどうにも引っかかる。

でもこんな朗らかなお爺さんに涙目で訴えられたら何も言い返せないですわ……はい……。


「いやもうホントなんていうか……ゴメン」


世界神様は申し訳なさそうな表情で軽く頭を下げる。


「創生神をフォローするわけじゃないけど、ボクからもお願いするよ。キミを地球に生き返らせるってことは、キミが死亡した時刻まで時間を逆転させた上で今のキミと死亡するキミを次元接合しなくちゃいけなくて、ボクにとっても大変骨の折れる作業になるんだよ」


時空神様が「なるほど、わからん」解説で俺を諭す。


「あちしからも頼むだわさ。理由は創生の爺様と同じなんだけど、生き返りに至るまでの因果律の補整にも時間がかかり過ぎるんだわさ。しかもその間、アンタを天上界(ここ)に留めとかなきゃならないので結構しんどいだわさよ?」

「ちなみにどれくらいかかるんですか?」

「基本補整だけで三百年」

「Oh……」


死神様の言葉で地球への生き返りはどうにも無理っぽい流れだな。

まあ、どうしても生き返りたいか? と言われれば、今の状況となっちゃ特に未練ないんだよなー。

仮に生き返ったところで、待ってるのはあの底辺オタク生活。

その上、またあの両親と顔を合わせる機会があると思うと憂鬱だ。

それなら世界神様の提案を呑んで異世界にトンズラ決めこんだ方が精神的には楽かも知れない。

さっきの世界神様の話では色々と異世界転生のお約束であるチート能力も貰えそうな感じだし……。


うん、悪くない! 悪くないぞ!

まさか自分がラノベの主人公のように異世界転生することになるとは夢にも思わなかったけど、これも今日死んだ唯一の人間の特権ってことで、ありがたく転生させてもらうとしよう。

となれば、それに関しての詳細を聞いておかないとね。


「そちらの考えや状況も概ね理解したんで、とりあえず異世界への転生を前向きに考えてみます。とりあえず条件とかの詳細を教えてもらえますか?」

「え? 本当にいいのかい?」

「ホッホッホッ ワシの我儘を聞いてくれてありがとうよ」


困惑する世界神様と安堵する創生神様の表情が対称的だな。




神様側からの条件として転生先は「フォーランド」という世界になるらしい。

知的生命として人間や亜人・獣人・魔族などが暮らしており、モンスターや竜も存在する、絵に描いたような王道の「剣と魔法のファンタジー世界」だそうだ。


フォーランドを選んだ理由は二つ。


まずは比較的新しい世界だから。

とはいえ4億年ほどの歴史はあるそうだが。


五大神様たちも結構片手間感覚で作った世界らしいので、ぶっちゃけて言えば、俺を送り込んだ影響で因果律が急速に収縮して消滅させることになっても、神様的には大した痛手にはならないってのが一つ。


でもそう考えると神様って結構無情だね……。

まぁ約五百もの世界それぞれの生命や運命と時間を管理してるんだ。

俺みたいな人間とは、根本的な感覚が違い過ぎるんだろうな。


そして大した痛手にはならないからという理由で、特異点となる俺を送り込むことで因果律やその他諸々にどういった影響が出るのかを見てみたいという。

それ故に、文明レベルや生命体の総数から判断して、フォーランドが最適であると判断したのが二つ目の理由だそうだ。




次に異世界転生するに際しての神様側から俺への要望。


特に無し!

俺のしたいように好きに生きてくれればいいらしい。

文化ハザード、技術ハザードなんでもOK。

そんな簡単で良いのかと問えば、「そういう点も含めてどんな変化が起こるのか? 実に興味ある」との御返答でした。

完全に趣味に走ってますな神々よ……。


だけど一つだけ厳命されたことがある。

「自殺だけは絶対にするな」とのことである。

転生特典で簡単には死なないようにしてくれるらしいが、これだけは絶対にないようにと強く厳命された。

まあ、折角の観察対象が勝手に死なれたら転生させる意味ないわなぁ……。

とはいえ、俺も自ら命を絶つほど馬鹿らしいことをする気は毛頭ないので、その厳命を肝に命じておく。


そしてお待ちかねの転生特典!


1・肉体の再構築

2・初心者パックてんこ盛り

3・神々の加護を可能な限り


といった具合の三大チート特典を提示された。


流石に四十歳のオッサンの体のままで転生ってのも個人的にはアレなので、まずは新しく若い体を得てリフレッシュしたいと思う。


「なにか好みの容姿とかはあるかね?」


世界神様の質問に少し思考を巡らせる。

容姿かあ~。

ぶっちゃけ俺自身はイケメンではなく、どちらかって言うと不細工な部類に近い容姿だと思うので、普通でチョイとイケメン寄りなくらいの顔が理想的かな?

ヘタにイケメンにし過ぎて、女子がわんさか寄ってくるような異世界ハーレム物なお約束展開は御免被りたいのでそうしよう。


特にイケメンでもないが不細工でもない、あっさり醤油顔。

外見年齢は十五歳くらいで、体型も細過ぎず太過ぎず。

それに個人的に好きな銀髪を加えてみると……。

おお! いい感じじゃないか!

早速このイメージを世界神様に伝えようとしたら「キミの今の思考を読み取ってるから伝わってるよ」とのことでした。

なんか妄想を見られてるようで恥ずかしいな……。


「ああ、その点は心配しなくてもいいよ。今は容姿に関する画像的な思考しか見ていないから」

「って! 今の思考も読んでるじゃないですか!!」

「ハッハッハ! これは一本取られたね!」


いやホントに勘弁して下さい。

とは言え、神に隠し事とかも無理っぽいよね。

とりあえず外見のイメージが固まり、五大神様たちにもイメージが伝わったので、いざ肉体の再構築へ!


「では体の再構築を始めるけど、まずはキミの体の感覚を一旦遮断させてもらうよ」


感覚の遮断? どういうことだ?

そう思った瞬間、体の感覚が一切無くなって力が入らなくなった。

全身が麻痺したような感じで、感覚が全くない。

となれば、当然俺の体は力無く後ろに倒れ込む。


「おっと! あぶねぇあぶねぇ」


そんな俺の体を破壊神様がゴツイ腕で受け止めてくれて、そのままゆっくりと仰向けに寝かせてくれた。

俺はお礼を言おうとしたが、喋ろうにも口も感覚が無いので口も舌も動かせない。

目を動かす筋肉も麻痺してるのか、視線も上手く定まらない。

完全に手詰まりの状態だ。


「大丈夫かい? 今は聴覚だけは機能してるから声は聞こえるよね?」

「時空の兄さん、そんなこと言っても今コイツ返事できんだわさ」

「ホッホッホ、まぁ心配しなくても大丈夫じゃよ」

「ガハハハ! 肉体を作り変えるから感覚を無くしとかねぇと痛みで死んじまうからこうしたんだ。まぁあとは俺らに任せとけ!」


え? 痛みで死ぬ?

もっとこう「神パワーでササっとニューボディーチェンジ!」って感じなのを想像してた……。

なんかちょっと怖くなってきたぞオイ。


「ではこの者、特異点、瀧蒼馬の肉体の再構築を始める」


世界神様がそういうと、五大神様全員が両手を俺に向ける。

視線が定まらないからハッキリとは解らないが、その手からは薄い光が出ているように見えた。


「では確認だ、彼の望む容姿のイメージは全員伝わっているな?」


世界神様の言葉に他の五大神様たちが返事をする。


「結構。では頭部の再構築は私がやろう。胴体は創生神、内臓は時空神に任せる」

「ホッホッホ、了解したわい」

「任せておくれ」


え? ナンかオペでも始まるような雰囲気なんですが……。

これホントに大丈夫なのか?


「んじゃ両脚はあちしがやるから、両腕は破壊のおっちゃんに任せるだわさ。言っとくけどアンタみたいなモリモリマッチョな腕にするんじゃないだわさよ!」

「ガハハハハ! バレたか! ハイハイ了解了解っと!」


オイ、おっさん! そんなこと考えてたのかよ!?

凄く不安なんですが、喋れもせず、体も動かせない今の俺には何もできない。

ここまできたら成り行きに任せるしかないよな。


「では肉体の再構築を開始する!」


世界神様の号令と共に、五大神全員の手から発せられていた薄い光が大きくなり、俺の体を包み込んだ。

うおっ!まぶしっ!


と思った瞬間、俺の体のあちこちから異様な音が聞こえだした。


ガキッ!

ガキョ!

メキメキ!

ガリガリ!

ガキョキョキョ!

ボキボキ!

バキバキ!

メキャキャキャ!

ゴリゴリ!

ギュロロロ!

ズギュン!


おいおい! 一体なんの音だよコレ!?


「すまない、少し集中したいので……魔法神、彼に説明してやってくれ」

「了解なんよ!」


俺の思考を読み取ったのか、手の離せない世界神様が、俺の疑問を魔法神様に代弁させてくれるらしい。


「蒼馬君聞こえてるよね? 今ね、君の体を五大神様方が神力を使って作り変えてるところなんよ。解り易く言えば、無駄な部分をこそぎ落としたり、足りない部分を神力で造って付け足したり」

『全然解りません!』

「あー、自分の体が見えないから解り難いかー。んじゃもっと解り易くいうと、神力を使って体を改造中なんよ」

『改造!?!?』

「そう、だから今聞こえてる音は骨の大きさを変化させたり補強したり、筋肉の構造を作り変えたり、内臓を若い状態に戻したり強化したりとか、そんなことをしている音なんよ」

『いえ! もういいです! 解説ストップ! 想像するのが怖い!』

「大丈夫なんよ~♪ 五大神様方がやってるんだからミスなんてありえないから安心するんよ♪ あ、今から最後の頭の再構築に入るから終わるまで全感覚が途切れるんよ――」


魔法神様がそう言った瞬間、俺の目と耳も機能しなくなり、思考も途切れた……。

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