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神愛転生  作者: クレーン
第二章
33/210

032話:眷属登録と名付け

2019年8月29日

歌詞がまんま過ぎたので少し修正しました

 オレはライラとシルフィーに眷属登録の話を持ちかけた。

 眷属になれば強制(ギアス)を行使してオレの秘密が守られるからだ。

 しかも詳しく調べたところ、この強制(ギアス)の力は他者のスキルや魔法での突破は、このフォーランドに限っては不可能であるほどの強固さがあるのだ。

 流石は神の力。セキュリティーは万全だね。

 だがこれはお互いの信頼関係がないと行使しにくい。

 眷属になる方からすると、どんな命令をされるか判ったものじゃないからだ。

 だからこそ、この能力は信頼できる者同士の合意がないと使っちゃ駄目なものなのだと、オレはそう思う


 二人にオレの眷属になることでどういったことがおこるのか、嘘偽りなく全てを話した。


「――というわけだ」

「なるほどのう……眷属……そして強制(ギアス)か……」

「これで私たちにソーマ殿の秘密を口外するなと強制(ギアス)によって命令されれば、自分の意思以外の力がかかっても秘密が守られるわけですね?」

「その通りだ。勿論、それ以外の命令をするつもりはない。とは言え、それを信じるかどうかは二人の意思次第だけどね。言っておくけど、オレは神の使いでもなければ聖人でもない。俗な世界で生まれ育った只の人間だ。それでもオレを信じてくれるなら、どうかオレの眷属となって、この秘密を守って欲しい。これは強制ではなく、お願いだ」


 オレの言葉を聞いた二人はお互いの目を見ながら頷き合う。

 何度も見た光景だけど、ほんと仲がいいな二人とも。

 そんなことを考えていると、ライラとシルフィーはオレの前で姿勢を正したかと思うと、その場で片膝をついて頭を下げた。

 え? なにやってんの?


「神の使徒ソーマよ、このライラ・アーク・アルグランス。そなたの眷属となり、そなたの秘密を守ることを改めてここに誓う」

「同じく、シルフィリア・デオンフォード。私も貴方様の眷属となり、その秘密を守ることを今再びここに誓います」


 えええええ! 神の使徒?! いやいや、そんな大層な者じゃないよオレは!


「ちょっ、ちょっと二人とも! そういうのはやめてくれ! そんなことはしなくても――」

「聞くのじゃ! ソーマ殿!」


 オレの言葉をライラが頭を下げたまま遮る。


「ソーマ殿のいた世界ではどうかは知らぬが、わらわたちのこの世界、フォーランドにおいては神の神託、もしくはその使徒の言葉は大きな意味を持つのじゃ……」

「たとえソーマ殿にその気概がなくとも、その身は紛れもなく神の力を宿しておられます。それだけで私たち、いや、このフォーランドで生きる全ての者を納得させるには十分過ぎるのです」


 二人の言葉を聞いてオレはハッとなった……。

 そうだ……ここはオレの暮らした地球でもなければ日本でもない。

 そう、ここは「異世界」。

 全く違った人種もいれば、その文化や価値観、ものの考え方が全く異なる世界なんだ……。

 今更になってそんなことに気付かされるなんて、少し恥ずかしい気持ちになってくる……。

 

 二人は険しい表情のまま顔を上げると、今の間抜けなオレの表情を見て優しく微笑んでくれた。


「わらわたちの言っておる言葉の意味、少しは理解してくれたようじゃな?」

「ソーマ殿の正体を知った今、それだけこの話は非常に大事なことなのです」


 ああ……嫌と言うほど思い知らされたよ……。

 オレはこの異世界フォ-ランドにやってきた新参者だ。

 だからこの世界の理にも敬意を払って対応しなければならない。

 前世だけでの考え方で押し通すのは、偉大な力を与えてくれた神様たちの顔に泥を塗るようなものなのだ。

 この力は地球とフォーランドの差や隔たりの隙間を埋めるために与えてくれた力なんだ……。

 今になって、なぜかそう思える……。


 オレはそう考えながら、自分の胸に手を強く押し付ける。


「二人とも悪かった……そしてありがとう。二人の意思、そしてこのフォーランドの意思、しっかりと胸に刻んだよ」

「うむ! それでよい!」

「では改めてソーマ殿、私たちを貴方様の眷属にお加え下さい……」

「しばし待たれよ! ドワーフの娘たちよ!!」


 オレがライラたちに眷属登録しようと思った矢先、父フェンリルが険しい声で待ったをかけた。なんなのさ?


「主様がお認めになった者であるからして、我らもお主たちのことは信用しよう」

「左様……しかし主様と主従の願いを出したのは我々の方が先である……」

「そうだ! だから主様の眷属の一番手となるのは私なんだ!」

「姉上ずるい! ボクだって主様の一番になりたいよ~」

「だまれ我が子たちよ! 一番手は一族の長たる我であろうが!」

「なにを言うのです、あなたは主様の威に脅えていただけではありませんか……。ここは一族の柱である(わたくし)が……」

「父上も母上も大人気ないです!」

「そうだそうだ! 一番手になるのはボクなんだい!」


 何を言い出すのかと思えば……しょうもな……。

 というか、こいつらもオレの眷属に加えるの確定なのね。

 まぁ酒神様の声……というか、神託? を聞いてる手前、こいつらも眷属にして秘密を守るようにさせないと何かと面倒だな。

 先ほどまでの流れを見ている限り、結構お喋りな連中だし。


 なんてことを考えていたら、フェンリル家族の前にライラが腕組しながら立ちはだかる。


「なーはっはっはっ! 残念じゃが神獣の方々よ! ソーマ殿の眷属一番手になるのはこのわらわじゃ! わらわはソーマ殿の頬に一発見舞った程の付き合いじゃぞ! そなたたちの出る幕ではない!」

「姫様ずるいです! 私だってソーマ殿からお手製の剣を賜った仲です! 私だってソーマ殿の眷属一番手になりたいですよ~」

「それならわらわも短剣を貰っておるわい!」

「なんと! 主様に一撃を与えた者と剣を賜った者だと⁈ ぐぬぬ……」


 おーい、おまえらー、なにくだらないことで競り合ってんだー?

 そんなオレの呆れた心中も知らず、二人と四頭はバチバチと視線の火花を散らしていた。


 えーと……AR表示さん、眷属登録って複数同時に登録することは可能ですかね?


>可能です


 ハイ問題解決。

 というか、オレの眷属になるのがそんなに嬉しいのか?

 元々はオレの秘密の口封じのための手段なんだけどねぇ……。

 そう考えると少し申し訳ない気分になってくるよ。

 ともあれ、この無益な争いは止めないと。


「おいお前たち! これ以上言い争うなら今回の話は無しにするぞ!」


 その一言で全員がピタリと静かになる。

 そんなに眷属になりたいのかよ……。


「全員同時に眷属になってみんなが一番ってことでいいだろ? 異議があるなら、そいつは無条件で二番手にする。どうだ?」


 二人と四頭は顔を向け合い、少しの間の沈黙が流れるが、同時に全員が頷いて表情に笑顔が戻る。

 どうやらこの案で全員に折り合いはついたみたいだ。

 やれやれ……先が思いやられるよ……。


「わらわたちはソーマ殿の案で異論はないのじゃ」

「我ら一族も異論御座いませぬ」

「決まりだな。じゃあ早速始めようか。眷属登録!」


 オレの声と同時に、以前ゲームでのアカウント登録と似たような感じの、四角形のパネルが六つ浮かび上がる。


 眷属登録用のパネルはアカウント登録用の縦長とは違って、横長だ。

 両手を置くスペース。そして上部中央にカメラレンズみたいな物がある。

 眷属登録は両手紋と網膜の登録が必要だ。

 カメラレンズみたいなのは、その網膜を撮影するための物だ。


 浮かび出たパネルをそれぞれのサイズに合うように調整し、全員の前に差し出す。


「この板の上に両手を置き、上の丸いやつを見つめるんだ」

「うむ!」

「これでよろしいのでしょうか?」

「おお……遂に我ら一族が主様の眷属に!」

「これ以上の誉れは御座いませぬ!」

「凄く緊張します……」

「ワクワク~♪」


 フェンリル家族は前足ね。

 全員の準備を確認したので登録を開始する。


「眷属登録!」


 オレの声と同時にパネルが光りだす。

 だがそれも一瞬で、光がおさまると同時にパネルが消えて何事もなかったかのような状態に戻った。

 すぐさまAR表示のログを確認する。


>ライラ・アーク・アルグランスを眷属に登録しました

>シルフィリア・デオンフォードを眷属に登録しました

>フェンリルAを眷属に登録しました

>フェンリルBを眷属に登録しました

>スコルAを眷属に登録しました

>スコルBを眷属に登録しました


 よし! 成功だ!

 では早速、眷属特典の一つである眷属通信を試してみよう。

 全員に頭の中で声をかける。


『どうだみんな? オレの声が聞こえるか?』

『ぬおっ! ソーマ殿の声が頭に直接響くのじゃ?!』

『こ、これが眷属通信ですか?』

『うろたえるでない、ドワーフの娘たちよ』

『左様。主様の声が距離などに関係なく聞こえるようになる眷属の証の一つである』

『そして、こうして私たちが念話で会話できてるのも、私たちが主様の眷属になった証拠ってこと』

『うわ~い♪ 眷属になれたなれた~♪』

『はい、全員念話やめー!』


 眷属通信の設定をオフにして全員に話し始める。


「今のはあくまで実験の為にやったことだ。基本的にこの眷属通信は緊急時以外か、オレから直接でしか使えないようにするから、全員そのつもりで!」

「なんと! 便利な能力なのになぜなのじゃ?」


 そう、その便利過ぎるってのが問題なわけさ。

 オレのいた地球では通信機器が普及しててどこでも誰とでも通信や会話ができてたけど、この世界は多分そうじゃない。

 そういうのに慣れ過ぎると、いざ使えなくなった時に最良の手段が浮かばないばかりか、行動力も消えてしまう場合が多い。

 災害などで携帯電話の類が使えずに途方に暮れた人々を、テレビ越しではあるけど沢山見てきた。

 それと同じだ。


 そのことを全員に説明したら、案外すんなりと受け入れてくれた。


「なるほどのう……確かに便利な物は有益な物じゃが」

「便利過ぎる物は最悪毒にもなりかねないのですね」

「そういうこと。まぁ緊急時には制限なしで使えるようにするから、一応さっきの感覚は忘れないでくれ。お前たちも頼むぞ!」

「「「「御意!!」」」」


 フェンリル家族も力強く頷く。

 ……あ、そういやこいつら、まだ名前が無かったな?

 いつまでも父フェンリルとかフェンリルAとかじゃアレだし、名前を付けてやるか。


「おおおおお!! 主様自ら我らに名を!!」

「おお! なんと慈悲深き御方!」

「感謝感激です! 主様!」

「うわ~い! 名前♪ 名前♪」


 名付けの話を持ちかけたら、全員千切れそうなほどに尻尾をブンブンと振り回す。

 そんなに嬉しがられるとハードル上がって困るんだが……。


 オレは綺麗に整列してお座り状態のフェンリル家族を見ながら名前を考える。

 どうせなら、なにか共通のテーマで付けた方が、家族の統一感があっていいよな~。

 

 知性を持つ獣……神獣に相応しい名前……。

 知性…………知的……創造……溢れる――


 好きな某ゲームメーカーの社歌がフッと頭に浮かんで名前が決まった。


 父フェンリル:マーク

 母フェンリル:サタ

 姉スコル:キャスト

 弟スコル:ガドラ


 うん、名付けって大抵適当なことが多いよねっ! ねっ!


「マークの名! 拝命致します!」

「サタの名! この名に恥じぬ忠義をお約束します!」

「キャストの名! ありがたく頂戴致します!」

「ボクはガドラ! 主様ありがとうございます!」


 オレの心中は知らずか、四頭は名を与えられた喜びの遠吠えを天高くに響かせていた

マークファイブ、君はエターナル……


メガドラミニの発売楽しみですね♪

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