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神愛転生  作者: クレーン
第二章
30/210

029話:神獣家族

>警報! 警報! 高レベルモンスター接近中!


 オレは地図レーダーの警報で飛び起きる。

 時間を確認すると深夜、いや、早朝の四時を少し過ぎたあたりか?

 窓から外を見るとまだ若干暗いが、少し白みだしてる夏前の空が見える。


 おっと、外の状況を見てる場合じゃない。

 急いでAR表示で地図を検索すると、四体の獣がこの家に向かって急速接近していきている。

 しかもその先頭を走るのは……レベル二七〇⁈⁈

 ちょっと待て! この島にはオレを除くと、最も高レベルだったのはライラたちを襲った時のガンガルドだぞ! どこから沸いてきた?!

 この万能な地図検索でも引っ掛からなかったということは島の外からやって来たのか?


 いや、今はそんなことを模索してる場合じゃない。

 明らかに強いモンスターがこっちに向かって急接近してるんだ。

 迎撃の用意をしないと!


「全員起床! 緊急事態だ!!」


 オレが部屋を出て叫ぶと、寝間着姿のドワーフ娘が部屋を飛び出してくる。


「こんな真夜中に何事じゃ?!」

「ソーマ殿、どうなされたのですか⁈」

「恐ろしく強いモンスターがこっちに向かってきてる。もうすぐここに到着しそうだから、二人はオレの側を絶対に離れるな!」


 あと五〇〇メートルもないので、詳しく検索してる余裕もない。

 とにかく外に出て被害を抑えないと!

 いきなり家ごと襲われて壊されたらたまったもんじゃない。


 ライラとシルフィーを引き連れて家を飛び出し、北から接近するモンスターの迎撃準備に入る。

 こんな強いモンスターは初めてなので、念を入れてエクスカリバーを取り出して構える。




「来た!!」


 湖の北側にある森の中から大きな四体の狼のような影が見えた。

 向こうもオレの存在を確認したのか、移動スピードが若干落ちたようだ。

 だがこちら側に向かってきてるのは変わりない。

 オレはエクスカリバーを強く握りしめて臨戦態勢の構えをとる。

 迫ってくる四体の影が接近とともに徐々にその姿を露わにする。


 それは巨大な白い狼の姿だった。

 二体が全高四メートル、その後ろに位置している他の二体でも全高二メートルはある。

 もう一度地図レーダーで確認すると、大きな方がレベル二七〇と二三八、小さい方が一二二と一一七だ。

 小さい方でも最強ガンガルドより上かよ…… まったくどうなってんだ?


 しかし妙だ? 巨大狼の群れはオレを確認してるはずなのに、接近時より更にその速度を落とし、今は殆ど歩きながら接近してきている。

 しかも敵意を感じない……。

 これはあくまでオレの感じた勘みたいなものだから、一応警戒は解かずにライラたちをオレの背後に付くように促す。




 そうこうしているうちに、四体の白狼はその姿をハッキリと視認できる距離にまで接近してきていた。


「武器を下げられよ、我らが主様よ……」

「左様……我ら一同、貴方様に対して敵意は御座いませぬ」


 先頭の大型狼から言葉が発せられた。

 喋るよこのモンスター……しかし敵意はないと言われても、相手はレベル二〇〇超えな上に、突然発生した存在だ。

 はいそうですかって、そう簡単に警戒を解くわけにはいかない。

 オレの後ろにはライラたちもいるんだ。

 納得がいくまでは警戒は強める!


 とにかく姿も確認したので、改めてAR表示でこの四体の詳細を確認する。

 大きな二体は…………神獣「フェンリル」?!⁈

 フェンリルってアレか? 確か北欧神話とかに出てくる超有名モンスターじゃん!?

 小さな方も神獣「スコル」と表示されている。これも北欧神話だったっけか?


 ええい、今はそんなことはどうでもいい! なんでここにその神獣がいきなり四体も現れたのか? 今はそれの原因を突き止めるのが先だ。

 向こうが喋った途端、後ろのドワーフ娘が腰を抜かしているんでね……。




「ソソソソーマ殿! この狼たち、喋っておるのじゃ!」

「喋る獣ということは、ももももしかして聖獣様か神獣様なのでは?!」


 当りだよシルフィー…… でも今は問題はそこじゃない。

 とりあえず言葉を喋れるということはコミュニケーションはとれるってことだな。

 意思疎通ができるのはありがたいので、まずは率直な質問をしよう。


「お前たちは何者だ! ここに何をしに来た?」


 オレの前方一〇メートル辺りの位置で止まっているフェンリルたちは、オレの言葉を聞くと三頭が伏せの状態になり、残りの一番高レベルの一頭のみが、ゆっくりとオレの間近にまで接近してくる。


「貴方様のお忘れ物をお届けに参りました…… 我が主様よ」

「忘れ物? 主様? 一体なんのこと――」


 オレが言葉を続けようと思った時、眼前のフェンリルの口先に見覚えのある物が銜えられていたのに気付いた。


「――あ……それ……」


 フェンリルはそれをオレに献上するかのようにゆっくりと丁寧に地面に下ろすと、頭を下げた状態のまま、後ろの三頭の位置まで下がって同じように伏せの状態になる。


 フェンリルの言う「忘れ物」。それは聖杯テンリョウだった。

 なんでフェンリルがオレのテンリョウを…………?



 ………………そういやこの四頭の構成に見覚えが……。


 と、その時、オレはハッとある考えが浮かんだ!

 まさか!!


 オレはまず地図レーダーでこの四頭の確認をする。

 マーキングされてる…………つか気付けよオレ……。

 ということはもしかして…………。


「あのさ……もしかしてお前たち……あの時のバイキングウルフたちか?」


 オレのこの言葉を待っていたと言わんばかりに四頭は立ち上がり、尻尾をブンブンと振りながら天に向かって遠吠えを放つ。


「左様に御座います、我が主様よ!」

「貴方様に命を救われただけではなく!」

「かような御力までお与え下さり!」

「ボクたち、とってもとっても感謝しています! 主様!」


 ………………はいぃいいいいい?!⁈

 主様? 力を与えた? 一体なんのことだ? 

 それよか、あのバイキングウルフ一家がフェンリルとスコルに化けた?!

 一体どういうこと? オレの理解超えてるんだけど?

 誰か説明求む!


>聖杯テンリョウ(進)の影響です


 なにぃ! 知っておるのか! AR表示!

次回、聖杯テンリョウの性能が明らかに。

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