表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神愛転生  作者: クレーン
第二章
17/210

016話:異世界初クッキングは神酒の肴

 無限収納からガンガルドの死体を取り出す。


 まずエクスカリバーで尻尾を根元から切断する。

 ここは血があまり通ってないのか? 切断面も綺麗で血もあまり出てこない。

 とりあえず尻尾とエクスカリバーを収納して次の作業に移る。


 ……そういや収納した食材って腐らないのかな?

 と思ったら――


>無限収納内のアイテム類は時間が止まるので、生物(なまもの)などの腐乱の心配は無用です

>無限収納は生きている物は収納不可

>植物は摘んだ時点で収納可能


 と表示された。

 この辺りは異世界モノでよくある無限収納まんまの性能ですな。

 実際に自分が使うとなると凄く便利なのがわかる。




 次は万能ロープをガンガルドの両足に括り付けて、ロープの端を吊るし台の上の棒にくぐり渡らせ、下半身が上になるように引っ張り上げる。

 オレ自身は高い筋力値でガンガルドを軽々と引っ張り上げれるが、吊るし台が少し軋みを上げている。

 なんとかもってくれよ~。

 吊るし台よりガンガルドの方が大きいので、完全に吊るし上げることはできなかったが、首からドクドクと血が流れ出ているから問題ないだろう。


 あ! このままじゃ地面に血が溜まる!

 オレは急いでピットの魔法で首の周囲に約一メートルの穴を空けて血を落とす


 よし、血抜きを待ってる間に木材を使って脚立を作るか。

 流石にこのデカ物を捌くには高い足場も必要だ。

 と、その前に建築神様のギフトを確認しておこう。


>「建築神からの贈り物」

>開封しますか?

>>はい

>>いいえ


 「はい」を選択っと。


>「聖大工道具一式箱」を得た

>「聖木工道具一式箱」を得た

>>以上を「道具」タグへ移動


 なんだこの「一式箱」ってのは?

 とりあえず大工道具の箱を取り出してみる。

 見た感じは金属でできた三十センチ四方のブリキの箱って感じだけど……。

 箱に意識を向けてみよう。


>「聖大工道具一式箱」

>>大工道具に限定された無限収納箱

>>箱に手を入れて思考するだけで、希望の大工道具が取り出せる

>>(数が膨大なため、全てを分散させると無限収納での管理が困難になるため、箱で限定一括管理できるようにしたアイテムです)


 あ、なるほど。

 確かに用途が限定されてるから、こっちの方が管理する方としては便利だわ。


 箱に手を入れ、ノコギリ、釘、金槌を意識したら簡単に取り出せた。

 おお~! これはいい!

 んじゃ、これらを使って脚立の制作開始!




 ……二十分ほどで三メートルの脚立が完成。

 建築神様の加護の力恐るべし! 本当にべらぼうな制作速度だった。


 ちなみにあとで調べたんだけど、木工道具の箱も同じ内容だった。

 彫刻刀だけで百種以上もあったのには流石に驚いたけどね。




 そんなこんなで色々やってたら一時間ほどの時間が流れていた。

 首から血が流れなくなったので、ほぼ血抜きは完了したと見ていいだろう。


>血抜き97パーセント完了

>解体可能状態です


 よし、では次は内心ドキドキの解体作業いくぞ!

 オレがコンツァーを手に持ってそう意気込むと、頭の中に解体の知識が流れ込んできて、体が自然と動き出す。

 コンツァーはこの食材に対して最適な大きさの捌き包丁に変化した。


 まず手足の付け根に二センチほどの深さで切り込みを入れ、次は腹と背の部分にも同じ深さで縦に切り込みを入れる。

 流石は料理神様御用達の聖包丁! 大した抵抗もなくスパスパと切れる。


 切り込みの隙間に刃を入れて皮をめくり上げ、そのまま皮を引っ張ってじっくりと剥いでゆく。

 そうしながら胴体の皮を全部剥ぐと、薄いピンク色の肉が露わになる。

 次は同様の手順で手足と首の皮も剥ぐ。

 剥いだ皮はひとまとめにして収納。


 次は内臓の処理だ。

 ガンガルドの死体……いや、もうこれは肉だ。

 今後は「肉」と呼称しよう。

 ここ大事!


 肉の下の地面にピットの魔法で二メートル四方の穴を掘る。

 そして腹部分にコンツァーを入れて一気に腹を裂き、切り目からデロンとでてきた灰色の内臓を穴に落とす。

 図体が大きいから内臓の量も結構な量だ。

 内臓を見ても精神力補整で忌避感や嫌悪感、嘔吐感は感じない。

 何気に一番心配していたことだったので非常に助かる。

 

 加護による知識とコンツァーの力で適格に内臓や不要な部分を切り離し、気付けば綺麗なピンク色の、肉の塊に捌けていた。

 肉の質感は一見すれば上質な鶏肉みたいに感じる。

 適度な大きさ……と言っても、一つ数十キロくらいはありそうなブロック肉にして、随時収納してゆく。

 無限収納の食材タグがどんどんと埋まってゆくと凄く安心な気持ちになれるね。

 本当に神様達の加護に感謝しないと。


 そして、オレの異世界での……、いや、今までの人生で初めての獲物になったガンガルドよ、お前の命をいただくよ。

 決して無駄にせず、全部食らって生きるから成仏してくれ……。

 オレは捌いた最後の肉に向かって手を合わせたのちに収納した。


 ふう……仕留めたガンガルドの肉の総量はと――。


>ガンガルドのムネ肉:1000キロ

>ガンガルドのもも肉:1500キロ

>ガンガルドのロース肉:2000キロ

>ガンガルドのスジ肉:400キロ

>ガンガルドの尻尾肉:200キロ


 ハハハ、約五トンもの肉が獲れたよ。

 そして気が付けば、太陽は既に真上にまで登っていた。

 時計を確認したら、もう十二時を過ぎてたよ。

 寝起きから解体まで、何もかも必死で夢中の連続だったら全然気が付かなかったわ。

 とりあえずウォーターの魔法で出した水を飲んで喉を潤し、次の行動を考えよう……。




 塩だ! あと出来れば調味料もいくつか確保したい。

 折角美味そうな肉を確保したからには、美味しく料理して食べたいじゃん?

 オレの胃と頭の中は、完全にガンガルドの肉モードになっていた。

 まずは手早く塩を確保したい。

 

 塩と言えば海水からってのが基本。

 オレは最初の海岸まで行き、片手鍋を取り出して海水をすくい上げる。

 というか、この世界の海水って塩分含んでるのかな?

 気になったので少し舐めてみたらしょっぱかった。

 一安心。


 では、この海水から塩分だけを取り出すわけだが、ここで出番なのが錬金術!

 海水から塩分と水分、その他の成分を分離させれば塩の出来上がりなんだけど、普通の工程でやるには海水を煮詰めたりと、色々と手間がかかる。

 それを錬金術を使ってサクっとやってしまおうってわけだ。

 

 では早速、鍋の中の海水に意識を集中して塩と水の分離をイメージし、錬金術の術式を詠唱する。


「@@……分離(セパレーション)


 すると鍋の中の海水が勢いよく回転を始め、鍋の下に白い物が溜まりだし、水が渦を巻きながら鍋の上に浮かびだし始めた。

 恐らく徐々に塩分が下に、水分が上に分離を始めたのだろう。

 そして更に意識を集中すると、鍋の中に白いサラサラとした塩らしき物が残り、その上では水が玉のような形になってフワフワと回転しながら宙に浮いている。


>錬金術「分離」を完了しました


 どうやら無事に分離は完了したようだ。

 だがオレはまだ錬金術の行使を止めず、もう一つ片手鍋を取り出して、浮いている水をそれですくいあげてから錬金術を停止した。

 

 さて、まずは塩の方だ。

 指先に付けて恐る恐る舐めてみたが、うん、上手く塩になってる。

 で、次は別の鍋に移した水の方だが、スプーンですくって口に入れてみたが、ヘンな苦味というか、エグみがあってまともな水としては飲めなかった。

 塩分を排除した海水なのになんでだ?


 ……あ! にがり!

 確か豆腐を固めるにがりってのも海水から抽出する物だって、昔何かで聞いた事がある。

 多分この苦味がそれだ。


 う~ん、ネットとか使えればもう少し詳しく調べて海水を上手く分解できるんだろうけど、今は塩だけで良しとしておこう。


 次は塩以外の調味料を探してみよう。

 地図で「胡椒」「胡椒に酷似した物」で検索をかける。

 お! 湖の陣地に近い所で検索にかかった物があったぞ!

 オレは急ぎ足で湖に戻り、検索に引っ掛かった場所まで行く。


 それは例のガンガルドが出てきた東の森に入ってすぐの場所にあった。

 見た目は黒い五ミリほどの実が沢山生った小さい木だ。

 検索にかかった黒い実に意識を向ける。


>コパルの実

>乾燥させて挽くことで香辛料となる

>胡椒の味に酷似しており、スパイシーな香りを放つ

>フォーランドでは比較的高級な食材として認知されている


 あ、ファンタジー物ではお約束のアレだけど、やっぱりここでも胡椒は高級なんだ。

 だが、地図検索で島全体にコパルの実を検索したが、コリャ結構な量が確保できそうだぞ。

 とりあえず目の前の木に実ってるやつは全部いただくとしよう。

 オレは一粒一粒実を摘んでいたが、途中であることに気付く。


 木に生ってるコパルの実に意識を向けて「収納」をイメージする。

 しかし何も起きない。

 やっぱりこの状態では実だけの収納は無理か……。


 では次はコパルの木を根元から引っこ抜いて、先ほどと同じように「収納」をイメージする。

 すると木に生っていた実が全て一瞬でフッと消えた。

 やっぱり……。


 木の実や果実などは、そのまま木に生ってる状態では収納できない。

 「生きてる」と判断されるからだ。

 そこで無限収納の収納条件を思い出した。

 「植物は摘んだ時点で収納可能」という説明文を。


 つまり木を根っこから引き抜くか切り倒しでもしたら、その時点で「摘んだ」と認識されて収納が可能になるのだ。

 なかなか微妙に面倒な制限だが、間違って生き物を回収しないための制限と思って諦めよう。


 オレは実の無くなった木を元の場所に戻し、その後で無限収納の食材タグを確認する。


>「コパルの実:1.2キロ」


 なかなかの量が獲れたな。

 オレは陣地に戻って焚火をしながら、積んだコパルの実をすり鉢に入れた。

 まずは錬金術で水分を分離して乾燥させる。


「@@……分離(セパレーション)


 実から少量の水が浮かび上がり分離完了。

 水分を抜いたコパルの実はカラカラに萎んで三ミリくらいの大きさになっており、ほのかに鼻孔を刺激する香りを放つ。

 それをゴリゴリとすり鉢で挽くと更に良い刺激臭が辺り一面に漂う、う、う……うえっくしょい!!

 盛大にくしゃみをしてしまった。

 なんて古典的なことを。

 壺の中の魔王さんはお呼びでないですからね。

 

 挽き終わったコパルの実を少し指に付けて舐める。

 おお! これは紛れもなく胡椒!!

 これで塩と胡椒を確保した! 

 となれば、もうこれはやるっきゃない!!


 木で作ったまな板の上にガンガルドのもも肉を取り出し、一口サイズにカット。

 塩と胡椒をまぶして下味を付ける。

 脂身を焚火で熱したフライパンに入れて油を馴染ませ、そこに下準備したもも肉を投入!

 ジュウウウという音と共に、良い香りが辺り一面に漂う。

 中まで火が通ったのを確認してお皿にあける。


 ガンガルドのもも肉の塩胡椒焼き完成!

 異世界初の手料理! 早速写真に撮って保存っと。


 では実食!

 うんめぇええええ!! 噛めば程良く油が滲み出て最高の焼き加減だ。

 そして異世界で採取した塩と胡椒の味付けもバッチリ!

 味自体は鶏もも肉のソテーそのまんまの味だけど、全部自分で確保した食材と考えると、美味しさも一入だよ。

 なによりも野外でする食事ってのがまたいい!

 少しキャンパーの方々の気持ちが理解できた気がする。


 しかしこれほどの肉料理があれば、やっぱり酒が飲みたいなぁ……。

 あ、そういや――。


 オレは無限収納のギフトタグを確認する。


>「酒神の贈り物」

>開封しますか?

>>はい

>>いいえ


はいっとな!


>「聖杯テンリョウ×10」を得た

>「神酒アカツキ×5樽」を得た

>「神酒アケボノ×5樽」を得た

>「神酒マンゲツ×5樽」を得た

>>聖杯を「道具」タグへ移動

>>各神酒を「食材」タグへ移動


 おお! 天上界で御馳走になった神酒が全部で十五樽も!

 早速アケボノってのを一樽取り出す。

 樽はスタンド付きの大樽で横向きになっており、栓を抜くと酒が出る仕組みのようだ。

 テンリョウという名の直径二十センチほどの杯に神酒を注ぎ、まずは一口。


 ………………うんめぇぇえええええ!! そして沁みる!!


 極上の料理と極上の酒!

 今日はこの二つを存分に堪能する!

 もう何もしな~い!


 今の時間は夕方の十七時頃。

 オレは日が暮れて就寝するまで、焚火と満天の星空を眺めながら、存分に酒と肉料理を堪能した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ