表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神愛転生  作者: クレーン
第二章
15/210

014話:排泄も尊い行為です

 木々が倒れて開けた空を見上げたら、少し日が傾いてるのが窺える。

 AR表示の時計を見ると、既に十六時過ぎの夕方に差し掛かっていた。

 急いだ方がいいな……。


 オレは少し体に力を入れて小走りながらアロンダイトを振り回し、湖へ向かって前進を再開。

 同時に地図検索のレーダーで周囲の動物の居場所を確認する。

 どうやら木々がどんどんと倒れる状況に驚いているのか、オレの周囲から徐々に離れている感じだ。

 今は湖に到着するのが最優先なので、距離を開けてくれるのは非常に助かる。

 襲いかかられても時間を消費するだけだからね。


 そして突き進むこと数分後、最初の海岸から五キロほど進んだ所で景色が開ける。

 目の前に広がるのは豊かな草原と、その中心にある大きな湖だ。

 地図で確認すると、長辺が四百メートル、短辺が三百メートルくらいの、楕円の形をした湖みたいだ。

 湖を囲む草原の幅は大よそ百メートルくらい。


 見晴らしも良いし、この草原を拠点にするのがいいな。


 オレはアロンダイトの刃を横に向け、そのまま振り回すように三回転した。

 すると周りの雑草が綺麗に刈り取られ、風に乗って空に舞う。

 この直径四メートルの円、これがオレの異世界での初めての陣地だ。


 無限収納から簡易テントを取り出して組み立てる。

 テントなんて使ったことないけど、なぜか組み立て方が分かった。

 こういうのも加護の影響かな?


 さて……次はとても重要な場所作りだ。

 オレは陣地から風下に二十メートルほど離れた所で、先ほどと同じようにアロンダイトを振り回して陣地をもう一つ作る。

 そして土魔法「ピット」を唱える。


「■■……(ピット)


 オレのイメージするように、地面に直径三十センチほどの穴を空ける。

 深く……深く……更に深く!


 感覚では三十メートルくらいの深さに達したところで、最深部の大きさを拡張するように、実行中のピットの魔法のイメージを増幅させる。

 イメージとしては土に埋めたフラスコのような感じの穴だ。


 ……よし! 次は穴の外壁全体に「コンクリート」の魔法をかけて固める。


「■■■……土硬化(コンクリート)


 穴の外壁が見事に固まっている。

 これで崩落の危険もないだろう。


 そして次は、その穴を中心に「ウォール」の魔法で二メートル四方の土壁で覆う。

 高さも二メートルほどだ。

 そして更に出来あがった土壁をコンクリートで固める。


「■■……土壁(ウォール) ■■■……土硬化(コンクリート)


 あ、これじゃ出入りできない。

 一つの壁をエクスカリバーで斬りつけて一人通れるくらいの出入り口を作る。


 よし! 簡単ではあるがトイレ完成!

 そして我慢の限界である!




 …………ふう……間に合った……。

 一応オレの人間としての尊厳は守られたようだ。

 トイレットペーパーを一つ取り出し、お尻を拭う。

 あ、オレが愛用してたネ○アのシングルだコレ……。




 ウォーターで穴の周囲と手を洗い流し、テントに戻ったオレは白パンを一つ取り出して噛りついた。

 このパン美味しいな~。

 流石は神様謹製のパンだね。


 気が付くと、辺りは夕焼けでスッカリと薄暗くなっていた。

 そういえば明かりがない……。

 こういう基本的なところが抜けてるんだよなー、オレってば。


 オレは外に出て右手を上げ、ファイヤーを唱えて一メートルほどの火柱を立てながら明かりにしてアロン道に行く。


 木々に引火しないように少し火を小さくして…………あった!


 アロンダイトで切り倒した木を左手で掴んで、引きずりながらテントのある陣地に戻る。

 身体強化のおかげで凄い握力とパワーだ。


 とりあえず枝を一本折って地面に挿し、それにファイヤーで火を点けて仮の照明にする。


 その間にエクスカリバーを取り出し、丸太をズンバラと斬りまくって薪にする。

 よし、これで当面の夜の明かりである焚火の元を確保だ。


 周りの草に引火したらまずいので、コンクリートで一メートル四方の地面を固めて焚火スペースを確保する。


 某キャンプ少女の漫画を思い出しながら、薪をそれっぽく重ねてファイヤーで火を点ける。

 おお! いい感じだ~♪


 次は残った丸太を四十センチくらいに切って……椅子の完成!

 こういうのは座れればいいから形には拘らない。


 時間を確認したら丁度十九時を過ぎた頃だった。

 そういやこの時計機能ってアラームとかあるのかな?

 オレは時計に「アラーム」と意識を向ける。


>アラーム時刻を設定します

>時刻設定○○月○○日○○時○○分


 やっぱりあった!

 しかも時間だけでなく、月日まで設定できる優れもののアラームだ。


 これはもしかして……。


 オレは月日の表示に「カレンダー」と意識を向けと、十三列の数字がズラリと表示された。

 やっぱりあったカレンダー!

 どれどれ……。


 その後、アラーム設定やカレンダーを検証した結果、まずフォーランドの一年は十三ヶ月であることが判った。


 各月には名称があり、


01月・鳳凰の月

02月・雪の月

03月・海竜の月

04月・花の月

05月・地竜の月

06月・雨の月

07月・世界樹の月

08月・火竜の月

09月・雷の月

10月・豊穣の月

11月・嵐の月

12月・精霊の月

13月・天竜の月


 となる。

 なので、地球の感覚で言えば、今は五月ということだ。


 各月は三十日で統一されており、週の概念はない。

 その代わり一月に十五日刻みで「上月」「下月」という概念がある。


 次に時間だが、驚いたことにフォーランドの一日は二十三時間だった。

 アラーム機能の時間設定で二十二時の次に零時が表示された時は流石に焦った。

 まぁその分、月が一つ多いから、その辺りでバランスが取れてるのかな?




 ……アレ?

 そういや「祝福の日」って千年に一度って神様たちが言ってたけど、その「年」ってどこ基準の「年」なんだろう?

 地球とフォーランドだけでも、年月、時間の違いがこれだけあるんだ。

 その辺りはこちら側の神様たちとコンタクトできた時にでも聞いてみよう。

 案外、神様の世界基準の一年で、実はその一年は地球では百年に相当する――とかだったら面白いよな~、アハハハ……。


 ……流石にそれはないよね?




 とかなんとか思ってたら、焚火の日が少し小さくなってきたので薪を追加追加っと……。


 アラームの時間を次の日の零時にセットして、次の検証に移ろうと思う。

 ちなみに今は二十時半くらいだ。




 う~ん……。

 昼間の検証で先送りにしてたけど、神様たちからいただいたギフトボックスの確認はやっぱりしておかないといけないよねぇ。

 伝説級の秘薬や聖剣のオンパレードでお腹いっぱいの状態だけど、このまま放置ってわけにもいかないだろう。


 ということで、まずは武術絡みの神様からのボックスから開封していこうと思う。

 まずは「のじゃロリエルフ」の弓神様のからいくか。


>「弓神からの贈り物」

>開封しますか?

>>はい

>>いいえ


 はいっとな……。


>「聖弓バルバロッサ」を得た

>「聖弓ヴァルキュリア」を得た

>「聖弓デュランダル」を得た

>「聖矢×300」

>>以上を「武器」タグへ移動


 はぁ……もう驚かねえぞ……。

 オレは三つの聖弓と聖矢を一気に取り出す。

 聖矢は矢筒に二十本入った状態のが十五セットあった。


 バルバロッサは綺麗な装飾の施された金色のロングボウだ。

 ヴァルキュリアはバルバロッサより小ぶりな銀色のショートボウ。

 デュランダルはバルバロッサより更に大型の弓で、得体の知れない特殊そうな装置が取り付けられていた。

 イメージ的にはテレビとかで見た、得体の知れない器具が盛り沢山に付けられているアーチェリーのような感じの弓だ。


>聖弓デュランダル

>攻撃力:10000(聖矢使用時:30000)

>>矢自動装填装置を搭載した連射弓

>>矢を最大五十本装填可能

>>目指せ伝説の十六連射!


 速攻でデュランダルを仕舞う。

 こんな危ない弓は死蔵だ死蔵!

 しかも聖矢を使用したらエクスカリバーと同等の攻撃力とかどんだけだよ!

 連射という言葉に若干の高揚感があったのは否定しないが、某名人の名を汚すわけにはいかないので自重する。

 名人はいつまでも僕達のヒーローなのだ……。


 当面の間は、狩りをする時にのみバルバロッサとヴァルキュリアを使うことにしよう。

 聖矢は使いたくないので、できそうなら後日に矢を自作してみよう。


 次は槍神様の贈り物を開封っと……。


>「聖槍ロンギヌス」を得た

>「聖槍トライデント」を得た

>「聖槍グングニル」を得た

>「聖槍ゲイボルグ」を得た

>>以上を「武器」タグへ移動


 ロンギヌスは正統派なロングスピアで非常に扱いやすい感じだ。

 トライデントは三又の槍。

 海や川で魚を捕る時に丁度よさそうだな。

 グングニルは両方に穂先のある槍で、穂先も若干長めのデザインだ。

 多数の相手をする時に威力を発揮してくれそうな感じがする。

 ゲイボルグは槍というより、ランスといった感じがしっくりくる突撃槍だ。

 某狩猟ゲームではランサーだったので、機会があれば使ってみたい一品だね。


 続けて盾神様の贈り物を開封。


>「聖盾セイクリッド」を得た

>「聖盾ファランクス」を得た

>「聖盾ライブラ」を得た

>「聖盾タイタス」を得た

>>以上を「防具」タグへ移動


 セイクリッドは中型のカイトシールドで大きさも丁度良く扱いやすい。

 エクスカリバーとセットで構えてみたが、我ながらカッコイイ。

 ファランクスはセイクリッドより大型で、曲面のかかった長方形の盾だ。

 誰かとパーティーを組む時があれば、盾役として申し分ない働きをしてくれるだろう。

 ライブラはかなり特殊な盾で、両腕二対のガントレットにそれぞれ固定されている小型円形の盾。

 近接格闘戦の時に使えそうだ。

 タイタスはファランクスより更に大型重厚な、両手持ちの突撃盾だ。

 全面には八本のスパイクまで付いている。

 こんな盾で突撃されたら、相手はたまったもんじゃないだろう。


 とりあえず武術の神様からのギフト開封はこれで完了っと。


 するとタイミングよくアラームの音が頭と耳に流れだす。

 どうやら日付が変わったみたいだな。

 まだ眠気はないけど区切りもいいとして、今日はもう寝るとしよう。


 オレはウォーターの魔法で焚火の火を消し、テントの中で体を丸めて目を閉じる。

 あ、目を閉じてもAR表示は見えるのね。

 何気に気付かなかった。

 そのまま地図確認で、周囲一キロの範囲に肉食動物はいないことを確認する。

 近づいてきたら警告音とか出せるのかな?


>警戒レーダーを使用しますか?

>>はい

>>いいえ


 ……万能かよ?


 迷わず「はい」を選択


>警戒対象と範囲を指定してください


 警戒範囲は半径二百メートルで、対象は肉食動物にしておこう。

 しかし、このレーダーや時計のアラームはAR表示をオフにしていても機能するのかな?


>各種予約機能はAR表示をオフ状態でもアラーム音でお知らせできます


 …………本当に万能かよ?


 んじゃ、警戒レーダーと目覚ましアラームをオンにしてAR表示はオフっと。

 うん、当たり前だけど真っ暗だ。

 ではおやすみなさい…………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ