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神愛転生  作者: クレーン
第三章
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098話:一騎打ち

 筋骨隆々のガチムチ騎士エドガンが一回り大きな騎馬に跨り、特大のランスと盾を構えて突撃してくる。

 まぁ大きな騎馬って言ってもマークほどではないけどね。


 しっかし見るからに頭悪そうな脳筋タイプの男だ。

 悪いけど、一騎打ちは受けてやるが瞬殺させてもらう!

 流石にマークに跨ったままだとサイズ的に圧倒しすぎるので、ガドラを横に寄せて飛び移り、ソルムの後ろに座す。

 マークたちに装着させている鞍に一応複座も作っておいてよかった。


「だっ、旦那様⁈」


 突然やってきたオレに驚くソルムだが、前方に意識を集中するように促す。


「ソルムはそのまま前方に盾を構えて自分の安全だけを守るんだ」

「は、はい! 承知しました!」

「ガドラ! あの馬鹿めがけて突進しろ! 一発で片付ける!」

「御意! ぎゅんぎゅ~ん!」


 ギアを上げるガドラに跨りつつ、オレは無限収納から聖槍ゲイボルグを取り出して前方へ構える。


 ぐんぐんと距離が詰まり、お互いにランスを前方へ向けていつでも放てる姿勢を保つ。

 その様子はさながら騎士の一騎打ち競技のジョストそのものだ。


「ふん! そんな小さい寂れたランスでこの私を貫けるのかぁ~?」


 ゲイボルグを見たエドガンが、自分の持ってるランスとのサイズ差と比べて嘲笑う。

 ゲイボルグが全長三メートル超だとすれば、エドガンの持つランスは五メートル近くもある特別製の様子だ。

 だがそんなのは問題じゃない。

 それ以上にムカついたのが、槍神様からいただいたこのゲイボルグを笑ったことだ。

 小さい寂れたランスだと?

 この聖槍の本当の凄さを、その身をもって思い知らせてやる!


 お互いの距離がぐんぐんと縮まり、あともう少しで交差するところまで迫った刹那、オレはゲイボルグに魔力を注ぎ込む!

 するとゲイボルグの穂先がグングンと伸びだした。


 そう……ゲイボルグは魔力を注ぐことによって、その長さを変化させることができる聖槍だ。


「なっ⁈ 穂先が伸びだした⁈ なんだそのランスは⁈ ええい!!」


 伸びるゲイボルグに戸惑いつつ、後に引けなくなったエドガンはオレに向けて必殺の突きを放つ。

 だが遅い! オレの目では全然遅い突きだ。

 しかも伸びたゲイボルグの影響で距離感が完全に狂っている。


 オレは槍神様の加護の力全開で、迫る穂先にゲイボルグの穂先を合わせた。

 ダイルと対峙した時と同じような戦法だ。

 だが今回は違う。

 あの時は相手の動きを止めるための戦法だったが、今回はそのまま相手を撃ち貫くのが目的だ。

 込めてる力の差が違うんだよ!


「うぉりゃあああ!!」

「馬鹿な⁈」


 ゲイボルグの一突きでエドガンのランスが穂先から砕け散り、そしてゲイボルグの穂先はそのまま一直線にエドガンの右肩を刺し貫いた。


「ぬぐぉおおおおお⁈⁈」


 駆けるガドラに跨るソルムとオレ。

 そしてオレが構えるゲイボルグの穂先には、刺し貫かれて馬から離れたエドガンが宙ぶらりんのままで絶叫している。


「止まれ、ガドラ」

「御意!」


 急制動をかけて走りを止めるガドラ。

 そしてその反動でエドガンが血しぶきを撒き散らしながらゲイボルグから引き抜かれ、そのまま前方に放り出されるように吹き飛んで地面に転がり落ちる。


「ぐはぁああ!!」

「千騎長エドガン! 討ちとった!!」


 オレはゲイボルグを掲げながら、そう勝ち名乗りを上げる。

 その光景を見た周りの兵士、騎士は皆たじろぐ。


「あ……あのエドガン千騎長が一撃で……⁈」

「なんだ……あのランスは⁈」

「ばっ、化け物だ!!」


 たじろぐ敵兵に向け、マークが間髪入れずに辺り一帯に雷を数本落とし、キャストはオレの後方に陣取る敵兵に向けて火炎を放つ。


「我が主様の力の片鱗、覚えたか! ならば弱者は去れ! 強者は臆せず前に出よ! 次は我が相手してやろうぞ!!」

「主様に歯向かう命要らずの愚か者は遠慮なくかかってきなさい! 全員消し炭にしてやりましょう!」


 ガドラに跨るオレとソルムの周囲を守るかのように陣取るマークとキャストの声を聞き、中堅隊の敵兵たちは全員青ざめた表情で踵を返し、散り散りに逃走を開始した。


「逃げろ~~!!」

「む、無理だ!」

「ペルマン伯の軍が一夜で壊滅した話は本当だったんだー!!」

「こんな化け物相手に勝てるわけがない!!」


 色んなことを叫びながら逃走する兵士たち。

 そして貫かれた肩に手を当て、苦しそうな表情のエドガンが上半身を起こす。

 激痛で気絶したかと思ってたが、見た目通りのタフガイのようだ。


「きっ、貴様は一体何者なのだ……なぜ我が帝国に仇なす?」

「そこにいるペルマンのアホとあんたのところの皇帝とやらが、オレの従者を傷つけ、世話になってる仲間たちに戦争を吹っ掛けたからだ」


 キャストの背に括り付けられている簀巻きペルマンを指差しながら、エドガンの問いに答える。


「仲間だと?」

「アルグランスだ! だからオレがその戦争を止めるためにやってきた。文句あるか?」

「いや……文句はない……。先に宣戦布告をしたのは我らの方だ。それに皇帝陛下の愚行を止められなかった我らにも責任はある……。まったくもって無念の一言に尽きる。もういい……殺せ……」


 そう言いながらエドガンはその場で倒れ込む。

 つか戦意のない者を殺す気は全くないんだけどね……。


 しかしコイツも一見馬鹿そうに見えたけど、やっぱり嫌々戦っていたクチか?

 先日のオルソンやディックにガラン騎士団長もそうだけど、クレイト帝国の人たちって、本当は他の国や他種族とも仲良くしたいって人の方が圧倒的に多いんじゃないだろうか?

 それがただ、人族至上主義を掲げる一部の人間の動きが目立って、全体的な悪評に広がっているだけって話でさ?

 だとしたら、益々この戦争をちゃちゃっと終わらせる必要がある。

 これ以上無駄な犠牲者を出す必要もないしな。


「どうした? 殺さないのか?」

「生憎と動けない者に手をかける趣味は無いんでね。☆☆……回復(ヒール)

「なっ⁈ 何を⁈」


 オレの回復魔法でエドガンの傷口がみるみる塞ぎ、完璧に完治させる。


「か、肩の傷が……」

「アンタは馬鹿そうだけど、結構いい奴みたいだから……その命、預けとくよ」

「お前は一体…………」

「ソーマだ。じゃあな! エドガンのおっさん!」


 オレはそう言い残し、ガドラからマークの背に飛び移って帝都周辺に陣取る最終防衛隊に向けて、再び突撃を開始した。

 だが、その後方からエドガンの叫び声が聞こえてくる。


「誰がおっさんだ! 俺はまだ二四歳だ~!!」


 ……嘘だろ? あの老け顔で?

 てっきり四〇超えの中年かと思ってたわ。

 振り向いて神眼で確認したけど、本当でした……。

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