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神愛転生  作者: クレーン
第一章
10/210

010話:異世界転生は祝福の風と共に

「私、恋愛神の加護を得れば女の子にモテモテ! 薔薇色の人生がまっているのだわ!」


恋愛神様が唐突にそんなことを言いだした。

が! その加護は一番要りません!

そんな異世界転生モノのお約束なハーレム展開なんかになっちゃって、もしも結婚とかになったら俺の一つの矜持が崩壊する!

それは何としても避けねばならない加護だ!


「いえ! 申し訳ないですけど、それは全力で拒否します!」

「ええ!? どうしてなのだわ?」


う~ん……やっぱり説明しなきゃならないのか……?

こういうのだけは他人に言いたくはなかったんだけどなぁ……。


と、思っていたら、俺と恋愛神様の間に死神様が割って入ってきた。


「恋愛の嬢ちゃん、無理に加護を押し付けてはいけないだわさ。コイツには少し事情があってね……異性との付き合いは生涯するつもりがないんだわさよ」


え? なんでそのこと知ってんですか?


「ああ、悪いね。ここに来る前にアンタの体を調べた時、少し過去の記憶も見させてもらったんだわさ」

「えええ⁈ 俺の記憶も見ちゃったんですか⁈」

「本当にすまんだわさね。このことは情報知識を共有してる、あちしら五大神しか知らないし、口外もするつもりないから安心するだわさ」


ハハハ……五大神様方は全員知ってるのね……。

五大神様たちに視線を向けると、皆さんが申し訳なさそうな顔をしていた。

知られてるなら、もう言ってもいいか……。


「もうそこまで知られてるならいいですよ。恋愛神様、どうして俺が異性と付き合いたくないかというと、俺は自分を育てた両親の事が嫌いで、俺自身が親になりたくないからなんです。事情は……まぁ色々と……。詳しいことは死神様から聞いて下さって結構です。ですからあなたの加護は得たくないので、どうか聞き分けて下さい」

「わ、わかったのだわ……残念なのだわ……」


恋愛神様は凄く残念そうな顔をしながら、トボトボと後ろに下がって行った。


そうだ、俺は親になりたくないんだ。


俺も両親と同じく自己中心的で利己的な性格をしているのは自覚している。

そんな俺が子を持てば、絶対に俺と同じような子に育ててしまうという確信があるからだ。

自分の勝手で己の子にまで嫌な思いをさせたくはない。

だから俺は、親になりたくない……。


「少し嫌なことを思い出させちまったみてえだな……。まぁ神も人も十色ってなもんだ! 恋愛神のこともそんな気に病むこたあねぇよ! ガハハハ!」


破壊神様が気を紛らわせようと俺の背中を軽く叩く。

俺ももう少し、こういうサバサバとした性格だったら良かったんだけどね……。


ええい! 過去の事を思い返しても先には進めない!

俺は過去を捨てて新しい世界へ行くんだ!

次、次!


「では最後の四ポイントは生活に活かせそうなスキルを得たいと思っていますので……まずは料理神様、加護をいただけますでしょうか?」

「ええ、了解ザマス。地球には無い食材で美味しい料理を作って欲しいザマスよ」


>「料理神の加護」を得た

>スキル「料理」を得た

>スキル「食材鑑定」を得た

>>基本鑑定能力と連結

>>地図検索機能と連結


「次は裁縫神様の加護をお願いします」

「わかったのであ~る。新世界で新たなファッションを広めるのであ~る」


裁縫が加護を得るほどに必要かと言われれば当然ノーだろう。

でも俺って、女性が好みそうな趣味も実は好きだったりする。

料理は好きで普通に自炊してたし、衣類が解れたりボタンが取れたりしたら普通に自分で直してたりもしてた。

だから自分で衣服作ったり刺繍したりといった感じの、専門的な裁縫技術には凄く興味があったんだよね。


>「裁縫神の加護」を得た

>スキル「裁縫」を得た


「あと自給自足の生活を強いられる可能性を考慮して、農耕神様の加護もお願いできますか?」

「承知だべ! 額に汗水流して得る野菜や果物は格別だべさ。オラの加護を受け取るだべ」


>「農耕神の加護」を得た

>スキル「農業」を得た

>スキル「植物鑑定」を得た

>>基本鑑定能力と連結

>>地図検索機能と連結


これで残るポイントは一つか……。

さてどうしたもんか?


「これからの長い人生に、お酒無しとは寂しくないでしゅか?」


酒神様がそんなことを言いながら、スススっと俺に寄ってきた。


「確かにお酒は好きですけど、酒神様の加護ってどんな内容なんですか? いまいち想像がつかないんですが?」

「私の加護はお酒の製法に関する知識と技術。あとはアルコール耐性と酒運っしゅよ」

「酒運?」


酒神様の加護の内容は、まずいくら飲んでも酔わないこと。

でもそれは自分の意思で制御でき、酔いたいときは普通に酔える。

そして酒全般に対する製法知識と技術。

異世界ってエールしかなさそうなので、このスキルでラガーも普及していきたいところだ。

完全に偏見だが。


そして最後の酒運。

これは良い酒、望む酒に巡り合える運気が上がるというもの。

でもあくまで「運」いう要素なので、確率の問題らしい。

全く酒の無い場所に留まっていれば、当然良い酒には巡り合えない。

至極当然である。


美味しい酒は生きる上でやっぱり欲しいので、最後の加護としてありがたくいただくことにしよう。


>「酒神の加護」を得た

>スキル「アルコール耐性」を得た

>スキル「酒製法知識」を得た

>スキル「酒製法技術」を得た

>ブラインドステータス「酒運」を得た


よし! これで全二十五ポイントを消費したぞ!


「どうやら満足のゆく加護を得た様子だね、蒼馬くん」


世界神様が優しい笑顔で語りかける。

その後ろには五大神様たちや、俺に加護を与えてくれた神様達も勢揃いしている。


「はい! 何から何まで本当にお世話になりました。皆さんからいただいた加護を無駄にすることなく、新しい人生を歩んでいきたいと思います」

「うむ。ではこれからフォーランドに転移するわけだが、大まかな転移場所の希望などはあるかね?」

「場所……ですか?」


おっと、そこまでは考えてなかったなー。

とりあえずかなりのチート能力を得たので、いきなり人の多い場所に行っても混乱しそうだし、ここは無難に人気の少ない場所がいいかな?


「では人気の無い場所でお願いします。まずはそこで今の自分自身を色々と確認しときたいですので」

「了解した。では――」

「おっと、そういえば少し大事な事を言い忘れていたよ」


世界神様が首肯すると、時空神様が何かを思い出したようで、俺と世界神様との会話を遮った。


「フォーランドにも偶像神が何柱かいてだね、彼らが祀られている神殿などに行って祈りを捧げれば、蒼馬くんならコンタクトが取れるはずだ。ボクたちからも彼らに口添えしておくから、なにか困ったことがあれば尋ねるといいよ」


やっぱり新しい世界にも偶像神いるんだ。

どんな神様なのか実に興味ある。


「神格で言えばアンタの方が格上だから、存分にこき使ってやるといいだわさよ。カカカッ♪」


死神様が意地悪そうに笑う。

というか、え? なに? 俺の方がフォーランドの神様より偉いの?


「ホッホッホ、そりゃお前さんの体半分はワシらと同じ聖神体じゃし、これだけの数の上神の加護を得ておるのじゃ。偶像神より格上なのは当然じゃて」


創生神様はそう言うけど、やっぱり最下級とはいえ相手は神様だし、もし出会う機会があっても謙虚に接しよう。

神格が上とか言われても全然実感湧かないし、慢心も良くない。


「ガハハハ! まぁ適当に接してやってやれや。あいつらもおめぇが来れば喜ぶだろうしよ!」


破壊神様が俺の考えをどこ吹く風のように笑い飛ばす。

本当にこの神様は適当だなぁ。


「ははは、では我々から伝えることは全て伝えたし、そろそろフォーランドに行くかね?」

「はい! 宜しくお願いします!」

「では時空神、彼をフォーランドに送ってやってくれ!」

「了解したよ」


世界神様の合図で時空神様の手が光り出すと、俺の足元に魔法陣のような模様が浮かびだした。

恐らくこの魔法陣から異世界に飛ばされるんだろうな。

いよいよ異世界転生か~ なんか凄く緊張してきたぞ!

――あ! 最後に一つ言い忘れてた!


「ではキミをフォーランドに送るけど準備はいいかい?」

「すいません! 少し待ってください! ――恋愛神様!」

「私なのだわ?」


俺は時空神様の転移を制止し、恋愛神様を呼ぶ。


「恋愛神様、この度は俺を最初に見つけて下さって本当にありがとうございました。俺、あのままだと多分途方に暮れていたと思うので、ここまで連れてきてくれて本当に助かりました!」

「あらあら、そんなことを言う為にわざわざ時空神様の手を止めたのだわ?」

「遠慮は無用だよ、あとは転移させるだけだから、心おきなく話を続けるといい」


時空神様が空気を読んでくれて助かります。


「貴方にとっては只の偶然だったんでしょうけど、俺にとってはとても大事なことなので……」

「うふふ、では慎んでそのお礼を受けるのだわ」

「そう言ってもらえると嬉しいです」

「ええ……。では新しい世界と人生、存分に楽しむのだわ♪」


恋愛神様が俺にそっと右手を差し出す。

俺はその手を取って握手をした。

うわ~ めちゃくちゃ柔らかい手だな~。

と、少し不純なことを思ってたら、俺の体に少し動悸が過る。


「え? もしかして今のって……」


俺がそう言うと、恋愛神様は急いで逃げるように時空神様の背後に隠れこんだ。


>「恋愛神の祝福」を得た


「ちょっ! え? 祝福⁈」

「うふふ、新しい人生以前に、やはり貴方には愛が必要なのだわ。私からの餞別も受け取るといいのだわ♪ 時空神様! やっちゃって欲しいのだわ!」

「了~解! では転移開始!」

「あーー!! いやいや!! ちょっと待ってください!!」


俺の静止もなんのその。

時空神様が指をパチンと鳴らすと、足元の魔法陣が急に光り出して俺の体がズブズブと魔法陣の中に埋もれてゆく。


「キミの新たな人生に幸あれ!」


最後に世界神様のそんな言葉が聞えたような気がするけど、色々と思考を巡らせている間に俺の意識は消えた……。


……そりゃないよ神様……。

第一章「天上界編」、これにて幕引きです。

次回の更新(週末の予定)は少し短い幕間を挟みます。

その次から第二章を始めますので、どうぞ宜しくお願いします。

ヒロインの登場は……もう少し先ですね。

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