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What's up Guys?

「んで、だ。そろそろ真面目な話しをしよう。ドミーナに攻められている国を奪還するとか言ってたな?」


「ええ、ご存知の通り俺にはハウトゥーファンタジーがありま――」


「敬語はやめろ。俺とお前は対等だ。長い付き合いになりそうだしな。お互いタメでいこう。それに俺は敬語が嫌いなんだ」


 まさかこんなところまで似ているとは。俺と騎士長は本当に似ているな、俺も本当は敬語が嫌いなんだ。しょうがなくやってたけど、いらないなら遠慮する事はない。


「奇遇。俺も嫌いなんだ。これからはタメで。よろしく」

「おう。話しの腰を折って悪かったな。続きを話してくれ」


「知っている通り俺にはハウトゥーファンタジーがある。これがあればドミーナ兵がどこに何人で何時に来るかわかる。これを使ってスフィーダでやったのと同じようにドミーナを追い払う。そして、助けた奴らを味方につけて最終的にはドミーナの王を殺す」


「しかし、王を殺したからといって国が滅びる訳ではないだろう」

「正確には滅ぼすじゃなくて溶かす。滅ぼすには戦力の桁が最低でも二つは足りない」

「溶かすってのは?」


「内政の話しになるから説明が長引くんだ。その時になったらちゃんと説明するから、今は直近の話しをしよう。メアリー、ハウトゥーファンタジー」


「はいはーい。モントーネ村について知りたいんでしょー? 開いておいてあげたわよー」

「サンキュ。気が利くじゃん」


 メアリーは得意気な顏をして、一度俺の頭上を飛び回った後、俺の肩に腰を落ち着けた。


 メアリーから受け取ったハウトゥーファンタジーを読み込み、モントーネ村に今後襲いかかる不幸を頭に叩き込んだ。


 アンジェと騎士長にも見る事が出来れば話しが早いのだが、ハウトゥーファンタジーは俺とメアリーにしか読めないらしい。一度アンジェと騎士長に見せたが、解読不能の文字が書かれていると言われた。


 魔法の力でメアリーがどこかへしまっているので、盗まれる心配はあまりないと思うけど、万が一の事を考えるとこの仕様はありがたかった。


「現在ドミーナはウォーム王国とモントーネ村に戦争を仕掛けてるんだけど、ウォーム王国はまだ持つ。だけど、モントーネ村はそうもいかないみたいだ。だからまずは、モントーネ村を解放する。んーと、送られる兵の数はスフィーダよりも少ないみたいだな」


「何人だ?」

「四百人。仕掛けてくるのは……四日後みたい」

「完全に潰す気だな。村相手にその人数は多すぎる」


 騎士長の言う通り、ドミーナはモントーネ村を完全に潰す気らしい。何が目的で潰すのかはさっぱりだが、とにかくその事実の確認が出来たというのは大きい。


「モントーネ村なら移動にそう時間はかからない。前日にスフィーダを発てば十分間に合うな。問題はどうやって追い払うかだ」


「その点に関しては問題無いと思う。弓があるし、万が一の時はアンジェがいる」


 一騎当千に期待する訳じゃないけど、本当に万が一の時はアンジェにその役目を担ってもらう事になるかもしれない。あんまりアンジェには戦ってほしくないけど、戦わせないと成長しないからなあ。うーん、このジレンマ。モヤモヤするなあ。


「また弓か。お前は弓が好きだな」


「弓というよりも遠距離から攻撃出来る武器が好きなんだよ。兵の損害を抑えられるし、何より上手く使えば一方的に攻撃出来るし」


「で? だとしてだ。大好きな弓を使ってどうやってモントーネ村を解放する気だ?」


「夜襲する。可哀想だけど、モントーネ村には一度落ちてもらって、ドミーナ兵が占拠した後、一番油断している所を狙う。んで、モントーネ村にも当然食糧があるからそれを奪う。もちろん獲った食糧はスフィーダの物資としても運用する」


 流れとしてはスフィーダ王国の時となんら変わりはない。むしろ兵が強化された上に敵の数が減っているから楽勝だ。


「ん? その通りにいくと、スフィーダがモントーネ村を占拠するのと変わらないぞ?」


「違う。占拠じゃなくて管理。必要な分だけの食糧を与えて、彼らには農作をやってもらう。米や麦、果物なんかの生産地として村を作り変える」


「なるほど」


 問題はその後のウォーム王国だ。村と違ってこっちは王国だからな、スフィーダ王国と対等の立場だ。味方につけるにはどうしても外交が関わってくる。この辺は腕の見せ所だな。


「よしわかった。食料が確保出来るのはスフィーダにとってもありがたいしな。一つ質問なんだが、ハウトゥーファンタジーにはいつ敵が襲ってくるかが書いてあるんだよな?」


「そうだよん。その顏は騎士長も気付いた?」

「ここまで聞けばな。いくら俺でもわかるさ」


 ハウトゥーファンタジーにはいつ敵が襲ってくるかが書かている。裏を返せば書いていなければ襲われないという事だ。つまり、前回と違ってほとんどの兵を運用出来る。


「でも、民衆の安心感を満たすためには何人かは置いていかないといけない。その辺は騎士長に任せるわ」


「よっしゃ任された」

「んで、一つお願いがあるんだけど」

「ん? なんだ?」


「ここを守ってくれる人を配置してほしいんだ。秘密が守れて、最低限盗賊とかに負けない強い人。また何日かここを空けないといけないから不安でさ」


 ハウトゥーファンタジーには数日の間一二畳のキングダムが襲撃されるとは書いていなかったが、それでも念には念を入れて、というやつだ。


 ここはこの世界から見てオーバーテクノロジーの固まりだからな。万が一中に侵入されて備品を持ちだされたりしたら面倒な事になるのが目に見えている。


「それは構わんが、そんなにここは重要なのか? 確かに物自体は珍しいが、どれも俺達には使い方がわからん物ばかりだ」


「物一つでも流出すればこの世界の技術体系が変わってしまう可能性があるんだ。それだけは避けたい。だから、騎士長が信じれる兵を二、三人配置しくれ。頼む」


 ドワーフは冶金に優れているはずだ。物自体を複製する事は出来なくても、ここにある物からインスピレーションを受けて強力な兵器を開発しないとは限らない。そうなって困るのは俺だ。逆の事をやる予定だから、それだけは避けたい。


 この先手に入るはずのお買い物スキルを使って、俺に都合のいいようにこの世界の技術体系を変える必要があるんだ。


「俺には言ってる意味がわからんが、お前がそこまで言うという事は重要なんだな。わかった。トマスとハリスをつけよう。彼らなら信用出来る」


「頼む。そんじゃ急いでスフィーダに戻るとするかね。今後の準備をしなければ」


 俺達は準備をして馬に乗った。きっと王都へ着く頃には日が登ってる。今すぐにでも眠りたいけど、やる事が山積みだった。 


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