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プロローグ

久しぶりなので初投稿です。

以前エタッたやつのリメイクです。よろしくおねがいします。

 また今日も無視された。世界の皆は俺の敵だった。


 誰だって一度は思うはずだ。自分の人生はこんなんでいいのかと。自分の人生は他と比べて退屈なものなんじゃないか? と。


 俺は中学の後半頃からずっと人生に退屈を感じていた。退屈を紛らわせてくれるのはファンタジーゲームやファンタジー小説。俺はいつだってファンタジーな世界に憧れていたのだ。ファンタジー世界にはきっと退屈がない。俺はそう信じて疑わなかった。


 だけど、現実は非情にも退屈で一杯だ。俺の愛するファンタジーは誰にも理解されない。それどころ、俺は排斥に対象、つまりはいじめられる側に立っている。


 だから俺はその日も大好きなファンタジー世界への想いを馳せて眠りについた……のだけれども。


「ねえー起きてよー」


 目を開けると目の前にはくりくりとした大きな瞳が可愛らしい、小さな妖精がいた。


 間違いない。俺は寝ぼけているか夢の中で夢を見ている。寝直そう。そう思い、目を閉じるが、「ねーねーってばー」と可愛らしい声と共にペチペチと額を叩かれた。


 うーむ、この。恐らくは先程見たあの小さな手で一生懸命叩いているのだろう。夢、幻の類だったとしても無視するのはなんだか可哀想な気がしてきた。そう思い、俺は目を開け彼女に返事をした。


「やーっと起きてくれたー。メアリー泣いちゃいそうだったよ。妖精にはやさしくしないとダメなんだよー?」


 齢十七にしてついに俺の頭はイカれてしまったのだろうか。幻覚なはずの彼女が本物に思えてならなかった。里中(さとなか)公平(こうへい)としてこの世に生まれて嫌な事が一杯あったけど、お父さんお母さんごめんなさい、どうやら息子は遂に病院生活を余儀なくされそうです。


「ねー」

「ん?」

 最早幻覚に返事をする事に疑問を抱かなくなってしまった。泣きそう。

「なんか悲しそうだけど大丈夫?」


「うん。ごめんね、ちょっと色々と悲しくなってしまったんだ」

「そうなのー? でもねー泣くのはメアリーの話しを聞いてからにしてー」

「うんわかったよ。ちゃんと君の話しを聞くよ」


 なんだかお花畑で会話しているような気がしてきた。しかし現実は違う、ここは俺の家で、俺の部屋だ。ベッドで身を起こして会話しているだけなんだ。決してお花畑なんかじゃない。


「あのねー。こーへーは天使さまの命令で転移しないといけないんだ」


 転移シリーズかな? まあ現状を打破出来るならなんだっていい。現世での事を思い返しても全くと言っていい程未練が無い。仮に死ななければいけないからどうだ、といった感じだ。


「それでねー。こーへーは『英雄』にならないといけないから世界を転移しないといけないんだって」

「へー」

「その世界である程度好き勝手やっていいよって天使さまが言ってた」


「そりゃ素晴らしい。どーせなら剣と魔法の世界で俺のキングダムを作りたいな。そんでもって可愛い女の子といっぱい仲良くなりたい」


 この際どうせなら、の根性だ。長年心に留めておいた俺の野望を語ってしまえ。


「俺はハーレムを作るのじゃ。んでもって超良い王様だから庶民の税金とかちょー安くしちゃう。ウハウハだぜ」


「オッケー。天使さまに言ってくるねー。こーへー起きたらびっくりするぞー」

「期待してないけど楽しみにしてるわ。じゃ、俺は寝る」

「はいは~い」


 そう言ってメアリーとかいう妖精の幻覚は消えていった。


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