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私の旅は世界の果てに  作者: 鈴亜サクサク
旅の始まり
3/31

蓮湖亭でお昼御飯

 ここ蓮湖亭は港町にあるお陰で市場から新鮮な魚が手軽に入手が可能。

 その為、よく女将特製の魚料理が振る舞われるのだ。

 そして今日の昼御飯にもシンプルに塩焼きされた噛みつき魚がある。

 噛みつき魚は調理済みであっても口の中にびっしりと並んだ鋭い歯がちょっとした恐怖を与えてくる。


 それと白米と野菜の味噌スープ。

 味噌スープにも魚の切り身がゴロゴロと入っている。

 早速食べようと箸を手に取ろうとしたところで、食堂の入口の方から私を呼ぶ声がした。


 「リリナさーん! お久しぶりですね!」

 「うへぇ、あんたもここに泊まってたのか」

 「はいっ! 最近はここを拠点に活動してます!」


 その明るく元気な声の主は私と同じドレクリゼトのメンバー、だった少女トチッカ。

 彼女の特徴を一言で言い表すと、『やかましい元気な後輩』。

 それか『うるさい元気な後輩』。どっちも一緒か。

 彼女は数週間前に自らギルドを脱退し、それ以降今日まで出会うことはなかった。

 

 「あれから、別のギルドに入ったりはした?」

 「いえ、私の実力だと勧誘してくれるギルドは見つからないので、個人でクエスト受けてます!」


 トチッカのランクはあの時から変わってなければCランク。

 私と同じように他のギルドからの勧誘は来なかったのだろう。

 しかし、トチッカは明るく誰から見ても好印象な性格に加えて、頭も良いので一人で上手くやってたとしても何の疑問は抱かなかった。

 

 「それにしても、本当にギルドが解散になっちゃうなんて思ってもいませんでしたよ! リリナさんはこれからどうするつもりですか?」

 「今日ここで一泊したら里帰りでもするつもり。それにしてもあんた、うるさいのは変わってないんだな」

 「ありがとうございます!」


 皮肉が通じない。

 相手にするのも疲れてくるので、さっさと昼御飯を食べてしまおう。


 「お隣失礼しますね!」


 豪快に音を立て、私の隣の席に座った。

 しかしそんな事で私の食事は邪魔出来ない。

 箸で噛みつき魚の身をほぐし、出てきた白身を口に運ぶ。

 見た目は恐ろしいが、身は柔らかくあっさりとした食べやすい味。

 塩焼きということも魚本来の味を引き立ててくれる。


 「おぉ、旨いですね!」 


 いつの間にかトチッカの分も運ばれており、彼女は美味しいご飯にがっついている。


 私は次にスープを一口すする。

 薄味だが、魚の風味がする。

 今度は具を食べる。

 やや大きめに切られた切り身を一口で頬張る。

 焼き魚とはまた違った味わいで舌を飽きさせない。


 これらをどんどん食べ進んでいき、口の中に味が溜まってきたら白米でリセット。

 それを繰り返していけばあっという間に完食にたどり着く。

 残ったのはお椀二つと大皿とその上の無惨な姿の噛みつき魚。

 身を食べ尽くして頭と骨だけの姿になると前より恐ろしさが増している気がする。


 「あ! リリナさんもお水飲みます?」

 「頂こうかな」

 「はいっ、どうぞ!」


 食後にコップ一杯の水を飲む。

 すると心もお腹も落ち着くのだ。


 「リリナさん、少し休んだら食後のデザートでも食べにいきませんか?」

 「嬉しくないけど奇遇だね。私も正直な所もう少し何か食べたいところよ」

 「決まりですね! 準備が出来たら呼びますんで!」


 トチッカは皿を台所にいる女将に返した後、そそくさと自分の部屋へと戻っていった。

 急がないと私の休憩する時間が少なくなるので、私も女将に皿を返し、自分の部屋に戻る事にした。


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