第六話
炊事車両多すぎる気がしますが気にしてはいけない()
今更気が付いた事→部隊編成って意外とムズい
誤字脱字や文章がおかしい等の意見がありましたらお知らせください<(_ _)>
「うーん...」
少し眩しい気がする。...そうか、朝か。早く起きて準備しなきゃな...。あれ?体が動かない...っていうか、動かせない...。
ふと横を見ると、シルフィアが腕どころか俺の体全体に抱きついていた。しかも上から。足まで絡めている。しかし、無理やり退けて起き上がるのはそれもそれで男としてどうかと思う。ここがもし日本ならお巡りさんを呼ばれるかもしれない状況だ。
控えめの胸が当たってますよシルフィアさん!!(歓喜)
「んぅ...カズヒラ...おはよう...」
やっとシルフィアが起きて、俺もようやく体を起こせた。
ベッドの端に座り、思いっきり背伸びをした後にテーブルの横の椅子に移動し、タブレットPCを操作する。
「今日は食パンにするか...」
日本人なら朝は米だろうと言う人もいるかもしれないが、俺はパンでも米でもどっちでもいい派だ。
ちなみに、食パンにマーガリンを塗った上にチーズを置き、トースターで焼いた状態で召喚した。
「わぁ...いい匂い...!」
シルフィアが早速反応した。確かに、マーガリンとチーズのコンビは俺の中では最強格に位置する程最高の相性だ。
「よし、食べようか」
「はーい!」
「「いただきます」」
~20分後〜
パンだったこともあってか、朝食は割と早く終わった。シルフィアはチーズを初めて食べたらしく、目を輝かせていた。写真撮りたかった...(カメラ無いけど)。
ついでに顔拭きも早めに済ませ、服をナチス・ドイツ陸軍戦車兵の戦闘服に着替えた(ちなみに階級章はなんとなく大将にした)。
時刻は8時23分だ。
敵が来る予想時刻までまだ余裕があるうちに準備を始めよう。
「シルフィア、そろそろ行こうか」
「うん」
街の外に出ると、既に臨時拠点を築いて剣を研いだり、武器以外の装備品をチェックしたりしている冒険者達がちらほらいた。
2、3分歩くと階段2段分掘り下げたような場所が広がっているので、俺とシルフィアはそこに拠点を築くことにした。
今回召喚するのは、野戦飛行場と各種部隊と全力出撃2回分の補給物資、それと整備要員だ。物資を2回分用意するのは念の為だ。
「色々と召喚するから、ちょっと待っててな」
「うん、わかった」
と、話しかけた瞬間に少し強い風が吹いてワンピースの胸元に隙間ができ、身長差も相まってシルフィアの胸が見えそうになった。下半身の部分を腕でおさえてカバーしていたが、上半身までは気が回らなかったようだ。
「ふぅ...今の風、少し強かったね〜」
「そ、そうだな」
ダメだダメだ、欲望をおさえるんだ俺っ!...よし、気を取り直して召喚するとしよう...。
まず野戦飛行場を選択し、配属する航空機(部隊名や稼働機定数、予備機定数等は手動設定)や警備部隊(兵士の装備等は手動設定)、迎撃部隊を編成し、補給物資を選択して決定する(ついでに副官も選択した)。すると、目の前の草原の一部が白く光り、草を全て刈って土を平らにしただけの簡素な作りの野戦滑走路一本と駐機場、誘導路が現れた。
それとほぼ同時に、航空隊や警備部隊等が白い光と共に現れた。
召喚された軍人達は既に全員整列していた。何故か全員若くて可愛い女性(女子)なのは気にしないでおこう。気にしたら負けだ。
そして、それぞれの部隊ごとに整列している先頭に一人で立っている黒髪ロングの女性がいた。身長は俺と同じか少し低い。多分副官だろう。すると、その副官らしき女性が海軍式の敬礼をし、他の兵士達も見事に揃った動きでそれにならう(ドイツ組は陸軍式の敬礼)。それを見計らったかのように、先頭の彼女が喋りだす。
「総司令長官補佐、河原 沙雪大佐以下全員、長官のお役に立つ為馳せ参じました!」
そうだ、軍人を召喚するからには召喚主の俺が総司令になるんだった...。まぁ、取り敢えずそれっぽく返してみるか。
「よし。早速で悪いが、各員戦闘に備えて準備してくれ。敵を発見し次第作戦を立案し、敵への攻撃を開始する。以上、解散!」
「「「「「はっ!」」」」」
全員が大声でそう言うと同時に敬礼する。河原大佐以外の全員がそれぞれの装備の点検や車輌、航空機の整備と出撃準備等を開始する。
河原大佐は俺の所まで小走りで駆け寄り、再度敬礼する。
近くで見るとかなり可愛い。ミス早稲田に出たらほぼ確実にグランプリに選ばれるだろう。それぐらい可愛い。肩甲骨の下まで伸ばした黒髪がかなりサラサラしていて、とても綺麗だ。
「改めまして、長官の補佐をさせていただきます、河原 沙雪と申します。よろしくお願い致します!」
「俺は部隊指揮の経験とか無いから、かなり負担かけると思うけど、こちらこそよろしくな」
俺も海軍式の答礼をする。
「長官、早速一つよろしいでしょうか?」
「ん?あぁ、何だ?」
「野戦司令部を設置された方がよろしいかと...」
「あっ、やっべ忘れてた」
急いで野戦司令部(大きめのテント)を召喚する。ついでに兵舎の代わりに兵士達用のテントと通信施設代わりのテントも設置した。
ここで、召喚した兵力を整理してみよう。
【迎撃部隊】
[第一戦車中隊]
ゼートイフェル小隊(中隊本部):Tiger Ⅰ ×3両 (このうち1号車の車長席には俺とシルフィアが予定なので、隊長兼車長は召喚していない)
フルスプフェルト小隊:Panther G型 ×3両
エルペル小隊:Brummbar ×3両
シュッツェ小隊:Pz.Kpfw. IV Ausf. H (IV号戦車H型) ×3両
ステイル小隊:Wirbelwind ×3両
[第一歩兵中隊](兵員輸送用のハーフトラック装備)
中隊長:1名
中隊長直轄:9名 ×1
歩兵小隊:45名 ×4
合計190名
<歩兵装備(武装)>
四式自動小銃
二式拳銃
九九式手榴弾 (甲) ×2
九九式軽機関銃 (一部兵士のみ)
[第七〇一海軍航空隊]
装備機:一式陸上攻撃機二二型 4機編隊 ×5機
※今回は250kg爆弾(以下25番と呼称)4発を搭載
[第二〇一海軍航空隊]
装備機:零式艦上戦闘機五二型甲 3機編隊 ×5機
※塗装は陸上運用なので緑色
[第一二一海軍航空隊]
装備機:彩雲一一型 ×5機
【飛行場警備部隊】
[第二歩兵中隊]
※第一中隊と同じ編成なので省略。装備も同様。
【補給・整備部隊】
[補給部隊]
ハーフトラック ×17 (5両は燃料、10両は弾薬、2両は前線での整備要員)
[整備部隊]
航空機整備要員 ×50名(飛行場の管理も担当)
[野戦炊事部隊]
九七式炊事自動車 ×5両
これらが全部隊になる。どう考えても野戦飛行場の戦力じゃないとかそういう事は気にしてはいけない。
珍しいもの(と言うかこの世界に存在しないであろうもの)が色々あるからなのか、シルフィアのテンションが高い。
特に炊事車両には驚いていた。まぁ、移動しながら食事を作ったり、戦場で温かい食事を供給するなんてこの世界じゃ発想すらされていないだろう。
ちなみに、国章はそのまま付けている。この世界にはドイツや日本は勿論存在しないが、国章が無いというのは個人的に違和感がある。大戦当時は同盟国だったから、仲間同士の関係等も問題ないだろう。
航空隊の名前に『海軍』が入っている理由は、装備機が海軍機である事もあるが、半分趣味だったりする。
ふとタブレットPCで時間を確認すると、もう10:00を過ぎていた。
そろそろ索敵機を出すべき頃合か。
「河原大佐、一二一空をディレイズ帝国との国境線がある方向に向かうように伝えてくれ。5機同時発進、等間隔で扇状に展開して索敵だ。」
「了解!」
敬礼した後に河原大佐が彩雲の所まで走っていった。
それにしても、苗字より名前で呼びたいな...苗字だと別人と被るかもしれないし。...まぁ、後でいいか。
〜20分後〜
整備が終了し、5機の彩雲は一列になって順番に飛び立っていく。
「な、なんだありゃ!?」
「金属が飛ぶなんて...」
「魔法で空を飛ぶんなら軍にもいるけど...あれは魔法じゃないよな...」
何の音か確認しに来たのか、門の近くにいた冒険者達が俺の十数m後ろで驚愕していた。てか、こっちからしたら魔法で空を飛べる事に驚きだ。ほうきに乗ってるんだろうか。
飛行魔法(仮称)について色々想像していると、河原大佐が戻ってきた。
「長官、全機問題なく発信完了致しました。国境線は近いのですぐに報告が入ると思われます。今から通信テントで待機しますか?」
「あぁ、そうしよう。おいでシルフィア」
「ねぇねぇ、ツウシンって何?」
「簡単に言うと、機械を使って遠くにいる人と会話する事だよ。ちなみに、魔法は一切使ってないぞ」
「えっ、魔道具じゃなくて機械で会話するの?すごい...!」
「ハハハ、それじゃ行こうか」
「はーい!」
「そうだ、河原大佐」
「はっ、何でしょうか?」
「苗字だと他の兵士と被るかもしれないからさ、これからは沙雪大佐って呼んでいいかな?」
「えっ...あ、その...は、はい、もちろんです!」
沙雪大佐は何故か顔を赤くして照れている。なんか変な事言ったかな...まぁ、承諾は得れたからいいか。
〜30分後〜
索敵二番機から報告が入ってきた。
《我 敵部隊ヲ発見ス 編成ハ 歩兵約五万 魔導師ト思ワレル集団約1000 騎馬兵約五千 竜約二十 現在ノ速度カラシテ アト二時間程デ街ニ到達スルト思ワレル 以上》
その報告を受けると同時に沙雪大佐と司令部テントに向かい、各部隊の隊長に命令を下す(第一戦車中隊は隊長がいない、というか隊長が俺だから副隊長が来ている)。
「二番機以外の索敵機は全機帰投だ。一番機は補給の後、二番機と交代で敵を監視せよ。七〇一空と二〇一空は全機出撃準備だ。地上部隊が会敵する直前に攻撃を仕掛ける。第一戦車中隊と第一歩兵中隊はただちに移動して迎撃位置につくように」
「「「了解!」」」
各部隊の隊長達は
「沙雪大佐は通信テントに戻って索敵部隊に連絡を頼む。あと、俺は出撃するからここの指揮は頼んだぞ」
「了解しました!」
そして俺とシルフィアは司令部テントを出て第一戦車中隊の所に向かう。
既に搭乗員全員が整列していた。
「総員、敬礼!」
副隊長の号令と同時に全員が一糸乱れぬ敬礼をした。こちらも答礼する。
「さて皆、第一戦車中隊はこれから俺が直接指揮する。まぁ、直轄部隊みたいなものかな。これからよろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願い致します。長官に直接指揮して頂けるのは極めて光栄であります!」
するとそこに、第一歩兵中隊の隊長がやってきた。
「長官、第一歩兵中隊全員出撃準備完了致しました!いつでも出撃可能です!」
「よし、こちらもまもなく出撃する。貴官らはその後に続いてくれ」
「了解!」
そして隊長は部下の元に戻っていった。
「というわけで、我々も出撃しよう」
「「「はっ!」」」
各搭乗員が各々の機器の動作の最終チェックを行っている間に俺とシルフィアもゼートイフェル1の車長席に乗り込んだ。
「狭いけど、大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
シルフィアは俺の膝の上に座っていた。体が小さいからギリギリ乗り込めた。
「一応俺が腕で抑えとくけど、結構揺れるから気をつけてくれ」
「うん、わかった!」
返事と同時に振り向いたシルフィアは微笑んでいた。俺と一緒にいる安心感からか?いや、それは自意識過剰だな。
しかし!その笑顔を不意に見せられたら尊すぎて拝みたくなってしまう!!
「どうしたの?なんか、変な顔してるよ?」
「ん?あ、あぁいや、何でもない。大丈夫だよ」
いつの間にか表情が変になっていたらしい。しかしあの笑顔といい、今の状況といい、ニヤケたりしてしまうのは回避不可能だろう。
今は俺が両腕でシルフィアの下腹部に腕を回して、揺れた時に滑り落ちないように支えている。日本の警察が見たらわいせつ行為で逮捕されるかもしれない状態だ。
おっと、出撃前の最終確認を忘れるところだった。
「操縦手、機関は問題ないか?」
「はっ、異常ありません。むしろ快調です!」
「砲手、主砲関連で何か問題はあったか?」
「至って正常に動作しています」
「無線手、通信機の調子はどうだ?」
「感度良好であります!」
「装填手、砲弾の管理は問題ないな?」
「もちろんです」
「よし。...各車、最終チェックの結果報告をせよ」
《ゼートイフェル2、問題ありません》
《ゼートイフェル3、異常ありません》
《フルスプフェルト小隊、全車異常なし》
《エルペル小隊各車、異常なし》
《シュッツェ小隊全車、万全の状態です》
《ステイル小隊全車、異常ありません》
「全車準備が整ったみたいだな。では移動開始だ。ゼートイフェル1の後ろに各車一列になって順番についてこい」
「「「了解!」」」
そして、戦車とハーフトラック、炊事車両(2台だけ引き連れる)のエンジン音や履帯のキュラキュラという音が平原に響き渡る。
「今度はなんだ!?」
「お、おい、あれ見ろよ!馬もいないのに勝手に動いてるぞ!」
「あれって...ほぼ全部鉄なのか!?」
「どう見ても新型の馬車...じゃないよな...?」
「どうやって動いてるんだあれ...」
いつの間にかギャラリーが増えていた。中には門番の兵士も混じっている。
「おいおい、仕事はどうしたんだ門番さんよ...」
そう小声でツッコミをいれながら、第一戦車中隊と第一歩兵中隊、2台の炊事車両は一列になって帝国軍侵攻部隊の方向に向かって征く。
素朴な疑問→無舗装の街道って戦車の重量に耐えれるのかな(;´・ω・)
追記:PantherをD型からG型に変更しました。D型はエンジンを一定の角度以上傾けると火災ががが()