第三話
プロローグと第一話、第二話の文章が読みにくいという指摘をいただいたので、自分なりになるべく読みやすいようにしてみました。
この第三話で問題ないようでしたら、プロローグ〜第二話までの文章も読みやすいように改稿致します。誤字脱字があった場合、ご指摘していただければ修正します。
皆様のご指摘、ご感想をお待ちしております。
追記:不自然な所があったので少し変えて、第二話の内容と少し矛盾する所もあったので、そちらも修正しました。
街に向かう道中、俺はシルフィアから質問攻めされていた。正直に答えることが出来ないのもあったりするから嘘も混じってるけど...。
「ねぇ、カズヒラってどこから来たの?そこってどんなところ?」
早速きたか、異世界で一番答えに困る質問。
「かなり遠い、東にある国だよ。この国には魔法が全くないんだけど、その代わりに科学っていうのが発展してるんだ。これのお陰で生活に便利な物が沢山あるんだ。俺がここまで旅してこれたのも、科学を利用した乗り物で友人に途中まで送ってもらって、エリジオンまで来る時間を短縮したからだよ。」
「カガク...?よくわかんないけど、一度見てみたいなぁ...」
「俺はもう戻らずに旅をするって決めたから国は見せられないけど、科学技術で作られた乗り物とかならそのうち見られるぞ」
召喚しようと思えばいくらでも出せるからなぁ...。まぁ、そんなに大量に出す気は無いけど。
「本当!?絶対だよ!?」
めっちゃ目が輝いてるな...ん?目?...ふぁっ!?今まで獣耳に気を取られてて気付かなかったけど、この娘オッドアイじゃないか!右目が少し緑が混じった青色で、左目がルビーをほんの少し明るくした色だと!?最高じゃないか!
ロリで獣耳でしかもオッドアイとか、萌え死ぬかもな、俺...。
そんなこんなしてるうちに、街らしき姿が見えてきた。いや、街というか城壁だろうか。家の屋根が見えるかどうかの高さだ。
そして門に辿り着く。関所も一緒に設置されている。門番らしき兵士を含めて10人ぐらいの兵士がいた。
門の真下まで来ると、案の定兵士に呼び止められた。
「おい、そこの2人。何者だ?」
随分と若いな、新人なのか?
「俺はカズヒラという者で、旅人をしています。こっちはシルフィア。旅の途中で買った奴隷です。色々と手伝わせるのに邪魔だったので、重い首輪を外してありますが」
「確かにその獣人は奴隷の服装だが...カズヒラと言ったか?君は妙な服装だな」
「ああ、これは自分で作った服ですよ。動きやすくて機能的なんですよ」
「ほう.....よし、通っていいぞ。呼び止めてすまなかったな」
「いえいえ。あっ、そうだ。宝石などを売れる場所はどこにありますか?」
「それなら買取専門店に行くといい。そこなら他よりも高く買い取ってくれるはずだ。ほら、そこの店だよ」
兵士が指差した先には確かにそれっぽい小さな店があった。
「わかりました。ありがとうございます」
そう言いつつ街に入る。随分と賑やかで、そこそこ発展してる街のようだ。
それにしても、こうもあっさり嘘を信じるとは思いもしなかったなぁ...あの兵士がまだ経験値が浅かったからかな。武器の事を聞かれなかったのは、普段から冒険者や旅人が色んな武器を持ち歩いているからだろう。それとも、使用者の命を左右すると言っても過言ではない武器の詳細を聞くのはタブーとかそういうのがあるのかな?
そんなことを考えていると、不意にかなり弱い力で服を引っ張られる。振り返ると、シルフィアが不安な顔でこっちを見ていた。
「カズヒラ...さっき私が奴隷って言ってたの、本当なの...?」
シルフィアがちょっと涙目になってきている。
そうか、嘘つく事を事前に伝えてなかったからな...。
「そんなの嘘に決まってるだろ?シルフィアはもう奴隷なんかじゃない。家族みたいなもんだ。ちなみに、仕事させるっていうのも嘘だよ。大事なシルフィアにそんな事させるわけないだろ?」
家族はちょっと盛りすぎたかな...まだ出会って半日も経ってないし。
「...!」
俺が言い終わると同時にシルフィアは一瞬驚いた顔をして、直後に笑顔になりながら俺に抱きついてきた。何度も頭を俺に擦り付けている。甘えてくる子犬みたいだ。
そして...か わ い い。
思わず頭を撫でる。すると、シルフィアは顔を赤くしながらも気持ちよさそうに俺に撫でられていた。その光景が数秒間続いた。
「よし、そろそろ行かないとな。もう夕方になっちまう」
既に空はオレンジ色に染まりつつあった。
「うん!」
シルフィアは元気よく返事をする。
その後、宝石類を全て売り払った時に色々聞いて、いくつかわかったことがある。
一つ目は、この世界の言語を知らないはずなのに読み書きも会話も出来るということだ。今更だが、あの女神が言語理解的な能力をつけてくれたのだろうか。
2つ目は、この世界の貨幣システムだ。日本円で考えると、
鋼貨1枚=1円
銅貨1枚=10円
銀貨1枚=100円
純銀貨1枚=1000円
金貨1枚=1万円
純金貨1枚=10万円
白金貨1枚=100万円
となる。白金貨は多分プラチナとかのことだろう。貨幣単位は1円=1バーゲルド、10円=10バーゲルド...という具合だ。
そして気になる売却金額だが、結構高く売れた。総額70万バーゲルドだ。純金貨で渡されると買い物する時に何かと不便なので、金貨50枚と純銀貨200枚にしてもらった。
大量の金貨と純銀貨を見た途端にシルフィアが気絶しかけたけど、仕方ないか。金貨に至っては見るのも初めてらしいし。
そして今は服屋に寄っている。いつまでもボロボロの服のまんまというわけにはいかない。...というのは理由の3割で、7割は早くシルフィアの綺麗な姿を見てみたいという欲望だったりする。
「綺麗な服がこんなにたくさん...ほんとに、好きなの選んでいいの...?」
「もちろんだ。将来の嫁にいつまでもボロボロの服を着させるわけないだろ?」
「...!」
なんか、急に顔が赤くなったな...あ、俺がシルフィアのこと将来の嫁って言ったからか。ロリを嫁にしたい衝動が発動しちまった...orz
けど嫁にしたいのは事実だったりする。
シルフィアは照れ隠しするかのように次々と服を選び始めた。なんか、目付きが超真剣だ...。
〜十数分後〜
シルフィアの服選びは意外と早く終わった。すぐに気に入った服が見つかったらしい。
選んだのは四枚のワンピースだ。全部白なのには少し驚いた。
「四枚とも同じやつでいいのか?もっといろんな色を買ってもいいんだぞ?」
「私、白が好きなの」
「わかった。俺のも選ぶからちょっと待っててな」
「うん!」
俺の服選びはすぐに終わった。黒い無地のTシャツを半袖と長袖それぞれ二枚ずつと、灰色の無地の半ズボンと長ズボンそれぞれ二枚ずつ、トランクスに酷似している黒いパンツを四枚、黒いベルトを二本選んだ。
ちなみに、どの服もほとんど伸び縮みしない。そしてゴムも無いようで、トランクスのゴムの部分が紐でしめるようになっている。ズボンはほとんどがベルトで締めるようになっていた。
それぞれの服の会計は
白のワンピース 100バーゲルド×四枚
黒の半袖Tシャツ 50バーゲルド×二枚
黒の長袖Tシャツ 100バーゲルド×二枚
灰色の半ズボン 50バーゲルド×二枚
灰色の長ズボン 100バーゲルド×二枚
黒いパンツ 50バーゲルド×四枚
黒いベルト 50バーゲルド×二本
合計1300バーゲルド
...と、なった。
随分と物価がやすいなぁと思いつつ店を後にする。
後は宿を探さなきゃな。さて、どこがいいか...
辺りを見回していると、今いる場所から少し街の奥に進んだ所にある比較的大きな建物に、木製の壁掛け看板があった。
『【冒険者ギルド登録宿】格安!どの部屋でも一泊500バーゲルド!固定料金ですよ!』
冒険者ギルド登録宿なら本当なんだろう。とりあえずあそこに泊まろう。
木製の扉を開けると、7m程奥に受付があった。ということはここがロビーだろう。
受付まで歩き、そこに立っている年齢は恐らく30代後半であろう男に話しかけようとしたら、向こうから先に声をかけてきた。
「いらっしゃいませ」
「旅人をやってるんですけど、まだいつこの街を出発するか決めてないんです。その日毎に料金を払うって、出来ますか?」
「ええ、もちろんです。出発の日まで毎日この宿に泊まっていただけるのでしたら、同じ部屋に泊まれますよ」
「ギルド登録宿ってありましたけど、ギルドに登録してないと泊まれないんですか?」
「いえ、誰でも泊まることが出来ますよ。ただ、ギルドに登録している宿は防犯面で絶対安全というお墨付きがあるので、お客様が増えるというだけです」
「そういう事でしたか。それじゃ、出発まで同じ部屋でお願いします。2人部屋に泊まりたいんですが」
「かしこまりました。ご案内致します、こちらへどうぞ」
宿の人に続いて、受付の横にある階段を登る。3階まで登って、一番奥の部屋まで来た。
「お客様の部屋は33号室になります。こちらがこの部屋の鍵になります」
渡されたのは至って普通の鍵だった。ドアは木製だが、鍵と鍵穴はちゃんと鉄で作られてるらしい。
「ではごゆっくり」
そう言って宿の人は階段を降りていった。からかうようにニヤけながら。
「それじゃ入ろうか、シルフィア」
「うん!」
...返事するだけでも...か わ い い
いやいやそうじゃない。早く部屋を確認しなければ。
部屋の広さは中学校の教室と同じぐらいか、それより少し広かった。角部屋ということもあってか、大きめの窓がカーテン付きで2つの壁に一つずつあった。片方は大通りに面していて、もう片方は隣の建物に向かっていた。立地関係上仕方ないのかな。
ちなみにカーテンレールは木製で、カーテンを閉めるとコロコロという音がした。
部屋の明かりは四方の壁に一つずつ、天井の真ん中に一つ吊るして付いてるランタンに酷似したものだけで、少し薄暗い気がする。階段を登ってる時に宿の人に聞いた話では、これは魔力灯というもので、一度魔力を込めて光らせたら補給なしで明かりとして使い続けられるらしい。
家具はタンス兼クローゼットと丸テーブル一つ、それを挟んで椅子が2つ。後はベッドが一つだ。
...ん?一つ?こっちは2人.......あっ…(察し)。あの受付の人図ったよね?絶対図ったよね!?サイズ的にはダブルみたいだから問題ないだろうけどさ!?ロリコンがロリと二人きりで同じ部屋、しかも一つのベッドに二人で寝るとか、それもうヤっちゃうフラグだぞ!?俺童貞だけど、そうなれば躊躇なくヤっちゃうぞ!?
.......もう過ぎたことだし、仕方ないか。諦めよう。うん。
部屋を確認し終えた後に武器とバックを部屋の隅に置いた頃には、外が完全に夜になっていた。ついいつもの癖で風呂に入ろうなんて思ったけど、ここは異世界だ。恐らくあったとしても貴族や王族にのみ許された贅沢だろう。なら、平民が体を洗う方法は『水で濡らした布で拭く』しかない。多分。
「体洗う道具貰ってくるから、シルフィアはちょっと部屋で待っててくれ」
「はーい!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛かわいいいいいいい!!!!!
俺今日何回シルフィア萌えで思考乱れたんだろうか。
受付まで行き、さっきの宿の人に声をかける。
「体を洗う道具って、貸し出してもらえますか?」
「もちろんです。無料で貸し出しておりますよ」
「じゃあ、二人分お願いします」
「かしこまりました」
1分後、直径50cm、高さ30cmぐらいの木製の桶に水を入れて宿の人が戻ってきた。桶には2枚の布がかけられていた。大きめのハンカチを2枚繋げたぐらいの大きさだ。
「こちらになります。落とさないよう、お気をつけください」
「ありがとうございます」
お礼を言い、桶を持って部屋に戻る。
部屋に入ると、シルフィアがこっちに気付くと同時に駆け寄ってきた。かわいい。
「まずシルフィアから済ませてくれ。俺はその間廊下で立ってるから」
「そんなのカズヒラが辛いからダメだよ!」
「うーん...なら、そこの椅子に座ってシルフィアのほうを見ないようにしながら、ちょっと作業してるよ。服は今日買ったやつを着てね」
「うん、わかった!」
まぁ、逆に言えばシルフィアの服は今日買った白いワンピース四枚だけなんだけどね。
そして俺はバックからタブレットPCを取り出し、椅子に座ってテーブルにタブレットPCを置く。
後からシルフィアが服を脱ぐ音が微かに聞こえる。めっちゃ振り向きたいけど我慢。
起動してから一つ驚いたことがある。充電が減ってないのだ。空気中の魔力で充電してるとかなのだろうか。まぁ、ありがたいので気にしないでおこう。
画面に表示されている兵器一覧をタッチパッドでスライドさせて、なんとなく眺めながらこれからの行動を考えてみる。
確か、あの女神はこの世界を平和に導いて欲しいって言ってたな。独立して世界平和目指そうとしてもどうせ鼻で笑われて終わりだろうから、時間がかかりすぎるな...なら一つの国の一員として動いて、政治的な所は国の名前を借りた方がいいか。手っ取り早いのはこの国の一員として行動することだけど...どうすりゃいいのかねぇ。ただの兵士募集に行くのもいいけど、それじゃシルフィアの世話が出来ない。
なら、目立った活躍をして国王から呼びつけて貰えばいいんじゃないか...?
そうこう考えてるうちに、シルフィアが着替えまで済ませた。
なのでタブレットPCをバックに入れ、俺も体を拭いた。
その後着替えて桶を受付に返して部屋に戻ると、シルフィアがいつの間にかベッドで気持ちよさそうに寝ていた。尊い。
「俺もなんか疲れたな...寝よう」
そう呟きながらカーテンを閉めた後シルフィアの隣に横たわる。
ロリの寝顔をこんな近くで見られるなんて...まったくロリは最高だぜ!
数分間シルフィアの頭を起こさないように撫でていると、こっちまで眠くなってきた。そしてすぐに眠りについた...。
終盤は眠気と戦いながら書いたので、寝るまでの流れがかなり雑になってしまいました。
シルフィアの絵を書いてみたいけど画力無いから書けない...(´;ω;`)ウッ…