第二話
長くなっちゃった。読むの大変な割には内容おもしろくないとおもいます。初心者だからゆるちて。
【騎士団視点】
騎士達は何が起こったのかわからず、ただ驚いていた。どこからともなく何かが破裂するような乾いた音が響いてきたと思ったら、目の前の隊長が頭から血を噴き出しながら倒れたのだ。こんな攻撃は見たことも聞いたこともない。
「な、何が起こったんだ!?隊長が急に倒れたぞ!」
「隊長!大丈夫ですか!?」
「馬鹿野郎!隊長はもう死んでいる!それよりも何が起こったのか確認しろ!」
しかし、流石は騎士といったところか。すぐに副隊長が状況確認を指示する。
「しかし副隊長!どこにも敵兵らしき姿が見当たりません!」
「そんなわけあるか!もっとよく探すんだ!」
パッァン!
「ああ!また一人やられました!」
「一体どうなっているんだ...!」
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【和平視点】
「おうおう、随分とまぁ慌ててますなぁ」
そう呟きながら和平はコッキングレバーを引いて戻す。
パッァン!
また一人。また一人と、コッキングを繰り返しながら撃っていく。そして弾切れになったら装填。コッキングしてまた撃つ。撃つ度に草原に音が響き渡り、隠れている低木の葉も衝撃と火薬が引き起こすちょっとした爆風で少しだが揺れる。
まるで作業のように撃ち続けていると予備弾倉含めて10発しか用意してなかったため弾切れになったKar98kを肩にかけ、モーゼルC96に持ち替えて隠れるのをやめて、未だに混乱している騎士達のほうへ早歩きで向かう。
なんで走らないかって?俺的にはこういう場面で走って近づくのはダサいからさ。
街道に入り、さらにもう少し歩く。
流石に気がついたようで、全員が剣を抜いてこっちを警戒している。さっきの射撃で四発外してしまったので、まだ14人残っている。しかし弾は20発装填してあり、もし装填することになってもモーゼルC96は上から押しこむだけの簡単な装填方法だからすぐにまた撃てる。
「貴様!何者だ!」
騎士達から3mほどの位置に達したところで騎士の一人がそう叫んだ。と同時に俺も立ち止まる。
「ただの通りすがりさ。少女が物騒な野郎どもに捕まって、剣を向けられてたから助けただけだ。もう察してると思うけど、さっき撃ってたのは俺だよ」
「貴様...!我々がエリジオン王国の誇り高き騎士だと知っての攻撃か!」
「何言ってやがる。何の罪もないか弱い少女に剣を向ける奴らのどこが誇り高き騎士なんだ?」
「こいつは脱走した奴隷だ!その証拠に奴隷首輪がついている!脱走奴隷は斬り捨てて当然だろう!」
奴隷だと?いや、ありえるか。実際に首輪ついてるし。
まぁ、だからって見捨てるなんてことするわけもないけどな。どうせ戦闘になるだろうからこいつらは始末して適当に隠すか。
「残念だったな、俺はその娘を助けるって決めたんだ。お前らはそれを邪魔するんだな?」
「貴様は隊長や他の騎士も殺した!その罪は重い!よってここで死刑に処す!我々騎士にはその権限が与えられている!」
あー、これ完全に頭に血が昇ってるやつだな。話し合っても無駄か。
「なら一戦交えるか?」
「ふん!貴様など一撃で切り裂いてくれるわ!」
その言葉と同時に一斉に斬りかかってくる。さぁ、モーゼル君の出番だ。
パァン!
「ぐっ...」
心臓を狙ったため、先頭にいた騎士は一瞬痛みに苦しみ、すぐに倒れた。その後も連続で命中させていく。
パァン! パァン! パァン! パァン! パァン!
.....やがて、色々と聞くためにわざと行動不能に止めた一人を除いて騎士達は全員死んだ。俺に肉薄することも出来ずに。
「さて、と...」
いくつか質問するために生き残らせておいた騎士の前にしゃがみこむ。
「ひっ...」
めっちゃ怖がられとるやん...いやまぁ、こいつの仲間全滅させたんだし仕方ないか。
「そんなに怖がるなって。いくつか質問に答えてくれたら殺さないからさ」
「ほ、本当か...?」
「あぁ、本当だ」
「わ、わかった...何が知りたいんだ...?」
「まず、ここから一番近い町はどの方角にある?」
「こ、ここから東に向かうとバートロイゲンという町がある」
「わかった。そんじゃもう一つ、この国の国名は?」
「エルジオン王国だ」
「なるほど。この国に奴隷制度はあるのか?」
「な、なに言ってるんだ...?どの国にも奴隷制度はあるはずだ」
「奴隷の生活を保障する法律とかはあるのか?」
「そんなもの無いさ。あるのは奴隷を売買していいって法律だけだ」
「なるほど。次の質問だ。この世界は戦争が頻繁に起きてるのか?」
「ああ、そうらしい。最近は近くの国境で小競り合いが起きたらしい。皆、そろそろ戦争がまた始まるんじゃないかって噂してる」
「ほう。最後の質問だ。ギルドとか、そういう組織はあるのか?」
「ああ、あるよ。冒険者ギルドと商業者ギルド、鍛冶師ギルドがある。」
「どこにでもあるもんなのか?」
「ある程度発展してる町ならどこの町にもあるはずだ。王都にはそれぞれの本部がある。」
そう言うと同時に、騎士は安堵したらしくおとなしくなった。そろそろ死体を森に隠すか。
~1時間後~
「よし、死体はこれで最後っと...」
19人目の死体を最寄りの森の人目につかない所に隠し終える。
「鎧ごと運んだせいか、流石に疲れたな...」
そう呟いた直後、どこからか狼のような遠吠えが聞こえてきた。まだ小さいが、ガサガサという音も聞こえてくる。
「おっと、早く最後の仕上げしないとな」
そして、行動不能だがまだ生きている騎士を死体と同じ場所に引きずってくる。
「お、おい!どうするつもりだ!」
口だけはまだ元気だなぁ、こいつ。
「おい!どうする気だ!?俺は殺さないんじゃなかったのかよ!」
「確かに『俺は』お前を殺さないと言ったさ。けど、移動させないとも言ってないし助けるとも言ってない。この後は自力でなんとかするんだな」
そう言いながら騎士を死体達の近くに放置する。
少女を助けるために行動した俺を殺しに襲いかかってきたんだから、別に放置したっていいだろう。もし上官とかに報告されたらクッソめんどいことになりそうだし。
そしてその場を立ち去る。さっきの騎士がなんか喚いてるけど気にしない気にしない、早くさっきの場所に戻ろう。
さっきの場所に戻ると、助けた少女はいつの間にか近くの草陰に隠れて、怯えていた。
「おーい、大丈夫だから出ておいで。騎士達はもういないから、もう安全だよ。」
どう考えても怪しいおじさんの言葉じゃねぇか。いや、これしか思いつかなかったんだ、仕方ないよね。
「.....」
警戒されてるのかな?
「大丈夫。別に乱暴したり取って食おうってわけじゃないんだから」
「ほ、本当...?」
なんか声がめっちゃかわいいんですけど。
「ああ、本当だ。どうしても信じられないなら逃げてもいいよ」
恐らく食料すら持ってないだろうから逃げるのは無理だろう。言葉選びしくじったかな?
「.....」
少しの沈黙の後、草陰から少女が出てきた。見た所、まだ10代前半の少女だ。そして、かなりの美少女だ。髪は灰色っぽい銀色、瞳は水色のような色で透き通っていて、やばいぐらいかわいい。元気が無くて少し汚れてるのにこんなにかわいいってことは、体を洗ってちゃんとした服を着れば、通りすがりの人が二度見せざるを得ないぐらいになるだろう。しかし、直後に俺は驚きのあまり目を見開いた。
「獣耳だ...」
思わずそう呟いてしまった。少女は不安そうにずっとこっちを見ている。
少女の頭には狼のような耳があり、同時に腰より下にあると思われる尻尾がちらっと見えた。尻尾の長さは多分20cmってとこだろう。耳も尻尾も、髪と同じ色をしている。
身長はぱっと見150cmってとこだろう。俺は178cmだから、他人から見たら兄と妹みたいに見えるだろう。胸は控えめだが、獣耳とかわいさで惚れそうだ。てか惚れた。
いやいや、そんなこと考えてる暇はない。さっさと町に行かないと日が暮れる。
「早く町に入らないと日が暮れるから、簡単な自己紹介だけしよう。俺の名前はカズヒラっていうんだ。君は?」
「...シルフィア...です...」
「シルフィアっていうのか、いい名前じゃないか」
「...」
「この後行く宛はあるの?」
シルフィアは小さく首を横に振った。
「実は俺もこの辺りのことはよく知らないんだけどさ、シルフィアを一人でほっとくわけにもいかないし、一緒に来ないか?」
「.......うん」
よし、これで一人で不安になることも無くなるな。
「よし!それじゃ、シルフィアの今後の行動が決まるまでよろしくな!」
そう言った瞬間、耳がピクっと動いた。あれ?なんか変なこと言ったかな?
「ところで、その首輪は外せないのか?」
「...これは、その奴隷の主が首輪にある紋章に触れて呪文を唱えないと外れません...」
「君の主は今どこに?」
「私は盗賊に襲われた時に逃げてきたので、わかりません...けど...紋章の光が消えてるので、もう亡くなってると思います...」
「じゃあ、俺が主になっても問題ない?そうすれば解放出来るからさ」
「えっ...」
シルフィアが何かを恐れるような顔をする。
「大丈夫、安心して。怪しいだろうし信じられないだろうけど、俺は騙すなんてことはしない」
「.....(コクン)」
うなずいたってことはOKってことか。やり方とか知らないけど、とりあえず触れてみればなんとかなるかな。
「じゃあ、早速やるよ」
そう言いながら首輪に触れる。すると、頭に自然と詠唱らしきものが浮かんできた。言ってみるか。
「我、汝の主たる者なり。汝、主に命ある限り奉仕するものなり。印が光を放つ限り、反旗を翻すことは許されない」
すると首輪の紋章が紫色の小さな光を発し始めた。これで完了らしい。
少女は暗い顔になり、少し俯いてしまった。一旦手を離し、また触れる。するとまた詠唱が浮かんできた。今度は解放の詠唱らしい。
「我、汝を解放する者なり。汝、主に解放されし者なり。解放されし者は、自由なる行動をせんとす。これを妨げる者は皆無である。」
すると今度は白い光が首輪の前後の中心を縦にまっすぐ縦断し、やがて首輪は二つに割れた。少女は驚いた顔をし、その後泣き崩れた。
え、俺なんかやばいことやらかした?こういうときどうすりゃいいんだ?...あ、そうだ、こういうときの定番の行動があるじゃないか。
俺は少女を優しく抱きしめ、
「ほらな、大丈夫だったろ?シルフィアが一人でも大丈夫なようになるまで俺が世話したいんだけど、それでもいいか?」
と、出来るだけ優しく言った。すると、シルフィアが思いっきり首を横に振った。
あれ、俺嫌われるようなこと言った?
「私は...カズヒラと一緒にいたい...もう一人ぼっちなんて嫌だよ...うぅ...」
やっべ、また泣き始めてもうた。
「わ、わかった。もう一人にはしないから、もう泣くんじゃない。な?」
ちょいと取り乱しちった。
シルフィアは静かにうなずき、泣きやんだ。まだちょっとグスッグスッってなってるけど。
「よし、じゃあまずは服を買わないとな。あ、金は...そうだ!シルフィア、ちょっと待っててね。騎士達から売れそうなやつを拝借してくるから」
「戻ってくるよね...?」
「戻ってこないわけあるか」
安心させようと頭を撫でてあげる。なんか嬉しそう。
死体を隠した場所に戻ると、まだ生きてるやつが喚いてた。無視しながら色々拝借する。そしてアルパインリュックを取り出す。余裕で全部入った。
作業を終了してシルフィアの所に戻る。
「よし。行こうか、シルフィア」
「うん!」
やべぇ、クソかわいい。モフモフしたい。いやいや、まずは服買って売るもの売って宿探さなきゃ。
そして二人でバートロイゲンに向かって歩き出す...
獣耳っていいよね。めっちゃモフモフしたい。