第九話
最近なかなかストーリー案が浮かばなかったのでここまで時間かかってしまいました。その割にはそんなに面白くないと思ったそこのあなた!
申し訳ありませんッ!!!!!_○/|_
偵察結果の報告が来たのは、朝食を済ませた数分後だった。
それによると、襲撃されたのは国境沿いの3つの街(バートロイゲン含む)で、ここ以外の2つの街は未だに抵抗を続けているという。しかし帝国軍は数でゴリ押ししてくるため、長くてあと2日程度しかもたないという。かなりの電撃戦で向かわないと、3つ目の街「リステル」の救援が間に合わないかもしれない。
俺はすぐに全部隊に対して、2つ目の街「レフィル」に向けて急いで移動するよう命じた。レフィルまでは西に20km進むだけらしく、街の近くに到着したらすぐに俺が飛行場を召喚して、上空を旋回しながら追従してきている航空部隊を着陸させる事になっている。
そして今はその移動中で、もうそろそろ到着する。
「長官、あと3分で到着します」
「...ん?あ、あぁ、わかった。無線手、飛行場の設置が完了したら航空部隊に着陸するよう伝えてくれ。補給が完了し次第、偵察機を出してくれ」
「はっ!了解致しました!」
シルフィアの獣耳と尻尾をずっとモフモフしてたから気付かなかった...orz
ふとハッとなりシルフィアの顔を覗き込むと、案の定蕩けまくっていた。息が荒くなって顔が真っ赤だ。流石にこれ以上は色々とまずい。いや、日本ならこの時点で多分アウトだが。
目的地に到着すると、俺はシルフィアを装填手に一旦任せて戦車を降り、すぐにバートロイゲンの時と同じ規模の飛行場とその他の施設(テント等)を召喚した。
その後すぐに航空部隊が縦一列になって着陸を開始した。まず陸攻隊、偵察隊の順に着陸していき、最後に零戦隊が着陸した。
ただの着陸には変わりなかったが、前後左右上下全てにおいて殆ど乱れが無く、まるで一匹の蛇の様だった。
最後の機体が着陸するのを見とどけると、俺はシルフィアの所に戻った。
開けっ放しのキューポラを覗くと、丁度シルフィアがいつもの調子に戻ったところだった。
「シルフィア、ちょっと時間が空いたから散歩しようか」
「はーい!」
あぁ^~かわいいんじゃあぁ^~。これが本物の萌えってやつだな(確信)。
その後俺達は2人で飛行場の近くを散歩した。近くに花が沢山ある場所があったから花摘みをして、シルフィアが花冠をプレゼントしてくれたのは内緒の話。
航空隊の補給が終わった頃に飛行場に戻ると、丁度彩雲が発進するところだった。今回はリステルの偵察も行う為、2機発進した。
偵察機によると、敵部隊とレフィル防衛隊は今現在も交戦中らしい。まだ市街地に侵入されてはいないため、戦闘に参加するなら混戦になっていない。しかも、レフィルに襲来した敵侵攻部隊には竜の存在は確認されていない。敵を殲滅するには絶好のチャンスだ。
リステルについては、まだ到着まで少し時間がある。通信所テントからの報告を待とう。
「沙雪大佐、航空隊が再出撃出来るまであとどれくらいかかる?」
「坂井少尉によると、早くてもあと一時間はかかるそうです」
「そうか...戦闘機隊だけならどれくらいになる?」
「それならば20分程度で終わるそうです」
「よし、戦闘機隊の出撃準備が完了したら出撃だ。陸攻隊は俺達が戻ってくるまで待機、それまでに機体を万全な状態にしておくように」
「はっ!直ちに命令を伝えてきます!」
沙雪大佐はそう言うと、急いでテントを出ていった。
「さて...シルフィア、またすぐ戦場に行くことになるけど、大丈夫?」
「.......」
シルフィアは無言で首を横に振った。
「私ね、本当はすごく怖いの。いくらカズヒラ達が強くても、いつかは殺されちゃうんじゃないかって...。でも私はカズヒラを信じてる。あの時、もう私を一人にしないって約束してくれたから...」
俺は思わずシルフィアを抱きしめた。
「そう、俺はシルフィアを一人になんてしない。シルフィアの命も俺が護る。そう決めたからな」
「カズヒラ...」
ずっとこうしてるわけにもいかないので抱きしめるのをやめようとすると、シルフィアが俺の顔を両手でそっと自分の顔の前に誘導した。そしてそのまま引き寄せられ、俺とシルフィアの唇が触れ合った。
「.......!」
こうなるとは予想してなかったため、俺はかなり驚愕した。
シルフィアが一生懸命に舌を絡めてくる。5秒ほどキスをしてから離れると、シルフィアがニコっと微笑んでくれた。そして俺も自然と微笑んだ。
その時、テントの入口の方から視線を感じた。振り返ると、沙雪大佐と坂井少尉が顔をひょこっと出してニヤニヤしていた。
「え、ええとだな、これは、その...」
「っ...///」
「ふふっ...私達は応援しますよ?長官!」
「そうですよ!ほらほら、可愛いお嫁さんがいるんだからもっとシャキッとしないとですね...」
「嫁って...ちょっと気が早すぎないか?(汗)」
「いや〜これはもう既に...(ニヤニヤ)」
「確定でしょう〜(ニヤニヤ)」
「.......」
シルフィアはもう顔を赤くしながら思考が停止してしまっている。
「そ、それはそれとして...坂井少尉、何か用件でも?」
ここは無理矢理でも話を逸らそう。
「あっ、そうだった...ええとですね、単刀直入に言いますと、性能が良い無線機を全機に搭載出来ないものかと意見具申しに来ました」
「そうか、今の無線機は性能が低いもんな...ちょっと待っててくれ」
「はっ!」
俺はすぐにタブレットを取り出して、零戦のカスタムが出来ないか見てみた。
すると、Kar98kの時と同じようなカスタム画面があった。早速選択可能な物を見てみる。
「うーん...ん?性能強化って何だ?」
性能強化の欄があったから詳細を見ると、なんと機上電話の雑音をほぼ無くして、相手の声も鮮明に聞こえるように強化できるらしい。さらにモールス信号発信機と機上電話を一体化させることでかなりの軽量化も可能らしい。
まったく、女神の力様様だ。
ついでに全航空機の部品を良質なものにして、速度性能やエンジンの信頼性等を上げた。
「よし、今から零戦と彩雲にモールス通信機と機上電話を一体化させたものを装備させる。軽量化もされてるから機動性に問題は無いはずだ。それと、速度性能とかもついでに上げておいたからね」
「はっ!ありがとうございます!早速機体の点検に戻ります!」
そう言うと同時に、坂井少尉は駆け足でテントを後にした。
「あ、そうだ。沙雪大佐」
「はい、何でしょうか?」
「今から医療部隊を編成して、レフィル防衛隊の負傷者の治療にあたらせる。その旨を全部隊に伝えてくれ」
「はっ!直ちに!」
「何度もすまんな、沙雪大佐」
「いえ!長官のお役に立てるならばどんな事でもなんてことありません!それでは失礼します!」
そう言うと、沙雪大佐は再度テントを出ていった。なんか、パシリみたいで本当に申し訳ない。
「さて、俺も仕事しなきゃな」
と言っても召喚するだけだが。
「シルフィアも来る?」
「もちろんだよ!」
そして飛行場の裏にある平原に、医療部隊50人と追加の兵員輸送トラックを召喚した。早速彼女達も飛行場の空きスペースで出撃準備をしてもらう。
そしてこの部隊の隊長に色々と説明し、レフィルの負傷者を出来る限り多く治療するようにと伝えた。
「ふう。さーて、この後何すっかなぁ」
「うーん...兵士さん達とお話するとか?」
「視察か...そうだな、作業の邪魔にならない程度に色々回ってみようか」
「うんっ!」
そのさりげない笑顔がとてもとても可愛いです(思考停止)。
まずは一番近くにいた戦車部隊の様子を見てみる。
「やっぱ、駆動系の点検は欠かせないか...。けど、どう考えても不具合が一つも無いってことは、そこだねゲームと同じ仕様になってるんだろうなぁ」
戦車兵達はやはりドイツ戦車ということもあってか、駆動系の点検をしている。特にTiger Ⅰはその重量が陸上自衛隊の90式戦車と同じぐらいのため、丁寧に扱わなければすぐに壊れる。
しかし、今までの一連の行動で一度も履帯や転輪を交換してないのに、どこも故障していない。壊れない事に越したことは無いけど、不思議だ。女神様がサービスしてくれたんだろうか。
ふとTiger Ⅰのエンジンを点検している人物を見ると、驚いた事に沙雪大佐だった。
「ん?沙雪大佐、なんでここで整備してるんだ?」
「あっ、これは長官!私は機械系の知識に関して自信があるので、戦車の発動機の整備をしているところです。航空隊のほうは人手が足りていたので」
そういや、エンジンの呼び方は統一した方がいいんだろうか?...まぁ、いいか。エンジンも発動機も意味は一緒だし。
「あんまり無理はするなよ?仕事よりも体調が最優先だ」
「はっ!了解であります!」
うん、あの様子なら大丈夫だろう。そのうち落ち着いたら無理矢理にでも休暇は取らせるけども。
次は駐機場に来た。ここでは航空隊の操縦士達と整備員が燃料補給と機体整備をしている。
「長官!」
その声と共に、一人の操縦士がこっちに小走りで向かってきた。彼女は俺達の目の前に来ると、即座に敬礼をした。俺も直後に答礼する。
「第二〇一海軍航空隊隊長、『坂井 美鬼』大尉であります!」
坂井...いや、もう皆名前で呼ぼう。呼び名が被ると面倒だ。
声を聞いて、俺は即座に確信した。美鬼大尉は活発娘だということを。肩まで伸ばしたダークブラウンの髪をポニーテールにしているため、それと元気な声とが合わさって益々そう思えてくる。身長は俺よりも少し低いが。
「昨日の戦闘は見事だったな、美鬼大尉。さっきの着陸も、とても綺麗な三点着陸だったぞ。俺にはあそこまで綺麗な着陸は無理だな。ハハハ」
「そんなっ、私など...」
「いやいや、そう謙遜するな。もっと自信を持っていいんだぞ?」
「は、はい!」
なんか、忠犬みたいだn(((ゲフンゲフンッ。
「今日も飛ぶことになるけど、大丈夫なのか?人手が足りてるなら、少しずつ交代して休んでもいいんだぞ?」
「大丈夫です!寝れば疲れは無くなりますので!」
「けど、誰かが体調が悪くなったらすぐに報告してくれよ?疲労が溜まってたせいで戦死しました、なんてのは許さないからな」
平和な日本で生きてきた俺が言うのもなんだが、戦場に絶対は無い。故に戦死する可能性は充分にある。しかし疲労困憊で戦って死にました、なんてバカバカしい戦死は断じて俺は許さない。
「はっ!心得ております!」
「なら良し。それで、今のところ異常は無いか?」
「被弾した機体が無いこともあって、整備が終了した機体は準備万端です。今も点検中ですが、残りの機体も問題ないと思います」
「良し。燃料と爆弾は足りてるよな?もし足りないなら追加で補充するけど」
「むしろ、少し余るかもしれないぐらいです。ありがとうございます、長官!」
「いやいや、俺はただ召喚しただけだから...。それにしても、やっぱ日本の航空機ってのは美しいよなぁ。美鬼大尉はどう思う?」
「私も同感です。それに部品の質が良いおかげで発動機の出力が上がり、機動性が上がっているので、乗っていて楽しいと感じるほどです」
「戦闘機乗りって、飛んでると楽しいと感じるもんなのか?」
「他がどう思ってるかはわかりませんが、少なくとも私はそう思います」
「そうなのか。俺も機会があったら飛ぼう」
零戦を操縦出来るなんて幸せは日本では味わえないだろう。ミリオタとしての俺の心が、絶対に乗りたいと言っている...!
「それにしても、レフィル侵攻部隊には竜がいないんでしたよね?それなら、戦闘機隊は機銃掃射ぐらいしかやることないですねぇ...」
「そうだな...」
「長官!」
と、そこに通信所にいた兵士が走ってきた。
「何だ?何かあったのか?」
「はっ!リステルに向かった偵察機からの報告が入りました!敵は歩兵約7000、魔導士らしき部隊が約100、竜が12とのことです!」
「そうか...ん?待てよ、てことは...」
「カズヒラ?どうしたの?」
「長官、どうかいたしましたか?」
「そうか!そうすればよかったんだ!なんで今まで思いつかなかったんだ...!」
俺は理論上の最適な作戦を知ってはいても、実戦経験が無いために、それが即座に出てきにくいらしい。
要するに、航空隊と地上部隊で戦力を二手に分割すればいいわけだ。戦力分散の愚を犯すことにはなるが、敵味方の技術的戦力差は、バートロイゲンの時にハッキリしている。
「君は通信所に戻ってくれ。また報告が来るかもしれない」
「はっ!」
「美鬼大尉はこの後すぐに沙雪大佐と一緒に司令部テントに来てくれ。作戦を変更する」
「了解です!」
そして、俺とシルフィアは司令部テントに戻った。
「ねぇカズヒラ、作戦変更って言ってたけど、どんな作戦なの?」
「レフィル侵攻部隊には敵の竜はいない、つまり空から襲われることはないんだ。ってことは、戦闘機...あの小さい方の航空機はやる事がほとんど無くなる。そんで、さっきまではバートロイゲンの時と同じ戦法でいこうと思ってたけど、あの時は航空隊が頑張り過ぎて敵がほとんど壊滅してただろ?」
「うん、確かにそうだったね」
「で、リステル侵攻部隊には竜がいる。ってことは、そっちに航空隊"だけ"向かわせればいいわけさ。リステル防衛隊はまだ健在だから、後は彼らでなんとか出来るはず。そんで、その間にレフィルを地上部隊だけで助ければ、焦らなくても今日中にケリがつくんだ」
「んー...あっ!そっかぁ!そういうことなんだね!」
「そう!そういうこと!」
なんて2人で盛り上がっていると、沙雪大佐と美鬼大尉が来た。
「よし、揃ったな。では作戦を説明する!」
2人には更に詳しく作戦概要を説明し、2人揃って
「「なるほど!」」
と言ってくれた。沙雪大佐は最初からわかってたんじゃないか?頭良さそうだし。
まぁともかく、作戦は決定した。後は出撃準備完了を待つだけだ。
少女との会話ってどう書けばいいかわからないです(悲)
誤字脱字等がありましたら、ご指摘をお願い致します。