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山崎警部と妹の日常  作者: AS
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VSモンスターハウス16

 自殺と思われていた黒川が、実は他殺であり、しかも犯人は番組の企画で同居していた住人たちだったというセンセーショナルな事件は、あっという間に日本中に広まった。テレビやネットを始め、あらゆるメディアがこの事件を取り上げ、あれやこれやと議論や批判が行われていた。

 そんなことは全く気にせず、山崎はいつものように喫茶コロンボでオムライスを食べていた。

「でもすごい事件だったねー。まさかあの人たちが犯人だったなんて」

「本当よね。私も今回ばかりは驚いたわ」

「でも、その事件を解決しちゃったお兄ちゃんはもっとすごいけどねー!お兄ちゃんすごい!大好き!近親相姦しよ!」

 そう言って抱き付こうとするカオルの頭を、山崎はスプーンを持っていない方の手で押さえた。

「そんなことより山崎さーん!ミク、高校卒業したら一人暮らししたいんですけど、やっぱり女の子一人だといろいろ不安だし、東京は家賃も高いじゃないですかー?だから、ミクとシェアハウスしませんか!?」

「は!?何でお兄ちゃんがあんたなんかとシェアハウスなんかしなくちゃいけないのよ!お兄ちゃんは今カオルと二人で住んでて十分充実してるの!余計なことしないで!」

「言っときますけど、私が山崎さんとシェアハウスした暁には、私がいつでも山崎さんの性欲の捌け口にしてもらっていい所存だから!」

「暁って、選挙じゃないんだから……」

「じゃあカオルがお兄ちゃんとシェアハウスしたが暁には、いつでもお兄ちゃんと近親相姦してあげる所存だから!」

「それミクさんと一緒じゃん……」

「ちょっと東堂さん!さっきからボソボソ何ですか!?じゃあ東堂さんは、もしお兄ちゃんとシェアハウスした暁には、何かしてあげられるんですか!?」

「え?いや、私は別にシェアハウスしたくないからーー」

「まあ、どうせゴキブリメガネおばさんには、たいしたことできないでしょうけど!」

「誰がおばさんよ!私はまだ二十五です!」

「ゴキブリはいいんですか、東堂さん」

 オムライスを食べ終えた山崎が、ようやく会話に参加した。

「この際だから、山崎さんに聞きましょうよ!山崎さん。私とカオルと東堂さん。誰とシェアハウスしたいですか!?まあ、聞くまでもなく私でしょうけーー」

「東堂さんですね」

「え?」

 その瞬間、山崎以外の三人の時間が止まった。山崎は何事もなかったように水を飲んで喉を潤している。

「ちょっとお兄ちゃん!どういうこと!?何で東堂さんなの!?それで何で即答!?」

「そうですよ山崎さん!あんな食い気味に答えられると思ってなかったから普通にびっくりしたじゃないですか!」

 怒り狂うカオルとミクをよそに、エリナは思わず顔を赤らめ、何も言えなくなってしまった。

 その様子を見て、山崎がボソッと言った。

「だって、東堂さんと一緒に住んだらいろいろやってくれそうじゃないですか。料理とか掃除とか」

「お兄ちゃん、最低」

「それはさすがにミクも引きます」

「死ね」

「いや、もちろんそれだけじゃないけどーー」

 しかし、それ以上山崎の言い分は聞き入れられなかった。

「私、仕事に戻りますね」

「あ、じゃあ僕もーー」

「山崎さんはいいです。私一人で十分なんで」

「東堂さん、そんなこと言わずにーー」

「じゃあ、お疲れ様です」

「ちょっと待ってくださいよ。東堂さーん」

 エリナは山崎を無視して喫茶コロンボを出た。しかし、その顔には笑みがこぼれていた。



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