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第4話 偶然の再会

第6話より、涼がお姉様達から、本格的にイジられ始めるので。

もう少し、お待ち下さい。



 「あなた達! いい加減、静かにしなさーーーい!」




 再び、教室が騒がしくなったので、

業を煮やした雅が、キレて大声を出した。


 その声を聞いて、今度こそ本当に教室が静かになる。




 *********




 ようやく静かになった所で、雅が涼が座る席を教える。




 「それじゃあ、宮山くんの席は・・・。

あそこの、開いている席に座って頂戴(ちょうだい)


 「あれ?」




 静かになった教室の真ん中付近にある、一つだけ開いた席を雅が指すと。

涼が、その席の隣に座っている人物を見て、軽く驚く。




 「涼く〜ん」


 「お姉ちゃん!」




 その人物が小さく手を振ると、涼が大きく手を振り返す。


 それと同時に、知り合いに出会った所為(せい)か。

涼の表情から、若干、固さが取れ笑顔になった。




 「杜山さんを知っているの?」


 「はい、隣に住んでいる、お姉ちゃんです」




 涼の反応を見た雅が尋ねてみると。

涼が、そう言って答えた。


 彼女の名前は杜山(もりやま) 亜美(あみ)

涼が言っている通り、隣の家の娘で。

涼が物心が付く頃から知っている、要するに幼なじみのお姉さんである。




 「はい、そうです、涼くんが赤ちゃんの時から知ってます。

その頃は、私が涼くんのオシメを取り替えた事もあったしね♡」


 「お、お姉ちゃん・・・」




 そんな、お約束の台詞を亜美が言うと。

涼が、顔を赤くしながら恥ずかしがる。


 自分が知らない、幼い頃の涼を知っている。

それも、涼の大事な物を直に見ていた、亜美を見て。

雅が亜美に、(うらや)ましそうな視線を送っていた。




 「先生!」


 「何、宮山くん?」


 「これ、机が高くてノートが書けません〜」


 「あら、本当だわ」




 涼が机に行き、ランドセルを机の横に引っ掛け、椅子に座るけど。

机が高すぎて、涼の手がマトモに乗せられない。


 学校関係者も、まさか小学生が飛び級で高校にやって来るとは、予想だにしていなかったし。

来ると決まったのも数日前で、余りにも急だったのと。

連絡ミスで、専用の机と椅子を用意していなかったのだ。




 「はあ〜、どうしましょう、困りましたね・・・」




 雅が頬に手を当てつつ、頭を傾けて思案していたら。




 「こうすれば良いですよ」


 「(ひょい)」


 「えっ!」



 突然、亜美が立ち上がると。

そんな事を言いながら、涼を持ち上げた。


 亜美の、イキナリのその行為に対し、涼が驚きの声を上げる。


 呆気に取られた涼を他所(よそ)に。

亜美は、涼を自分の膝の上に乗せ。

まるでヌイグルミの様に、涼を後ろから抱き締めたのである。




 「昔は良くこうしてたじゃないの〜♪」


 「お、お姉ちゃん・・・」




 そう、昔は良く亜美が、涼を膝の上に乗せていたのだが。

最近では、涼が恥ずかしがり、膝に乗ってくれなくなっていた。


 涼もお年頃になったのか、亜美の甘い匂いや柔らかい感触。

特に、大きな胸を意識する様になったのだ。




 「もお、最近は嫌がってさせてくれないんだから」


 「・・・」




 亜美は文句を言いながら、涼を抱き締めていたけど。

涼は、背中に当たる柔らかな感触に、無言になる。


 それは、亜美だけで無く。

最近では、他の女性の膝に乗せられた時も、同様な反応をするようになっていた。


 そんな二人を雅は、微笑ましく見ていたが。

良く見ると、その笑顔は引き()っていた。


 そして、内心では。




 「(うらやましかねーーーーー!)」




 なぜか九州弁で、物凄く羨ましがっていた。


 だが羨ましがったのは、雅だけでなく。

教室中から、同様な意図を含んだ視線が、二人に集中していた。


 こうして、後ろからの柔らかな感触に顔を赤くしている涼と。

久しぶりの抱き心地に、ご満悦(まんえつ)の亜美。


 そして、その二人を羨ましそうに眺める周囲と言う図が、出来上がっていたのであった。



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TSして女性化した兄が、甘えん坊の弟を溺愛する物語
・TSお姉ちゃんは、弟が可愛くてしょうがない
TSでは有りませんが。
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうかご覧ください。
・星空プロフィール

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