プロローグ
久しぶりの連載です。
内容は、相変わらず下手ですが。
よければ、読んでください。
都心から、電車で1時間半ほど離れた所に。
とある住宅街があった。
そこは、都心に通勤する人間に向けた。
比較的、裕福な階層向けの住宅街として発展した所である。
そして、その住宅街の一角に。
広大な土地を有する施設が存在していた。
その施設は、住宅街に住む人間に向けた。
小学校から、大学までの学校が集合した天津学園である。
・・・
そこは、裕福な階層が多い住人に向けた学園であるから。
当然、べらぼうに高い授業料が必要な、私立学園でもある。
しかし、授業料が高いだけあって、偏差値も高くて。
卒業生を各省庁、あるいは一流大企業に、多数送り込んでいたのである。
だが、この学園は、最初に出来た女子高から発展したと言う歴史的な経緯から。
なぜか、高校だけは女子校なのだ。
したがって、中学まで進学した男子は、高校の段階で一旦。
他の学校に行かなければならない、歪な状況であった。
そんな訳で、当然、学園関係者の悲願は。
何としても、高校を共学にする事だった。
だけど、下手に女子高として長い歴史を有していた為。
生徒だけでなく、父兄やOGに至るまで、共学化に激しく抵抗していた。
つい最近まで、そう言う状況が長く続いていたが。
それが昨今の少子化で、生徒数も徐々に減ってゆき、そう言う事も言っていられなくなったのである。
そのような状況を見計らい、学園上層部は今年、ようやく長年の悲願を達成する事が出来たのだ。
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入学式から一ヶ月経った、ある日の夕方。
高校にある、校長室で二人の男がソファーに座っていた。
「しかし理事長、まさか、男子が誰も来ないとは・・・」
髪が薄い、中年の男が右手で頭を抱えていた。
「希望者が、女子だらけなのを避けるなんて。
よもや、考えてもみなかった・・・」
白髪頭の、初老の男が腕を組みながら、唸っていた。
お互い向き合いながら、ため息を付いている二人は。
この学園の理事長と、高等部の校長である。
ようやく、長年の悲願が達成し、今年から共学になったが。
肝心の男子が、全く来なかった。
二人は、考え方が古いので。
元女子校に、下心を持った男が、大量になだれ込むと思っていたのだが。
実際は、多くの男子が敬遠したのだ。
現代の女子高生が、集団になった時の凶悪さ。
また男子達が、それを熟知していると言う事を、知らなかった訳である。
共学化したら、すぐに男子が集まると楽観的で居たのが、見事に当てが外れてしまった。
「今年度は仕方ありませんが、とりあえずは共学化したと言う体裁だけは整えないと・・・。
転入生を待つしかありませんが、数人程度では、対外的なアナウンスにはなりませんし。
その数人すら現状では、転入して来る見込みが立たないんですよ・・・」
そう言って、髪が薄い校長が頭を抱えたままで項垂れてしまう。
「う〜ん〜」
その校長の言葉を聞いた理事長が、腕を組んだまま、ソファーに深く体を沈めて呻いた。
「少ない人数でも、対外的にインパクトがある様にするのか・・・」
ソファーに体を沈めると、そう言って理事長が呟いた。
・・・
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それから、数分後。
ソファーに座ったままで、しばらくの間、二人は固まっていたのだが。
「あ、そう言えば!」
突然、理事長がそう言った。
「? どうしたんですか、理事長?」
「小学部に、天才少年がいたな」
「はい? 確か、”百年に一度の神童”とも言われて、マスコミにも取り上げられていた子がいますね」
「それに、余りの天才ぶりに、教師達が持て余しぎみだと、小学部の校長がボヤいていたな」
「そうですね、確かに何かにつけ、いつもそうボヤいていましたね」
「その子を飛び級で、高等部に編入させようか」
「はあ?」
「普通の生徒だと、数人程度では対外的なアナウンスにはならないが。
マスコミに取り上げられる位の天才少年なら、一人でも、かなりの宣伝効果はあるぞ」
「良いんですか・・・」
「他に、何か良い方法でもあるのかね?」
「・・・ありません」
若干、引っ掛かる物がありそうな校長であったが。
他に対案が無い校長は、理事長の提案を渋々了承するしかなかった。
こうして、無責任な大人達の行き当たりばったりの結果。
ある少年が、甘い受難を受ける事になったのである。