深い森3
さんざん歩き回って、多分一週間くらい経ってしまったと思う。
もう、これでもかって言うくらいレベルが上がった気分だ。
木の棒の習熟度とかあったら絶対レベルMAXだ。
そのくらい、いろんなものに襲われてる気がする。
振り返ってみれば、木の上で一夜を過ごし、友を探し始めたときからなんとなくわかってはいたけれど、気にしても仕方がないと思って諦めていたのだが。
「どう考えても、出られる気がしないんだよねぇ・・・」
うん、多分・・・っていうか、絶対迷ってるよこれ。
地図くらい落ちていないものかと、本気で探し回っているくらいだ。
いや、その前に方位磁石か・・・?どっちにしろ、出られる気はしない。
歩けば歩くほどに森は深くなり、襲ってくるものも動物的なものから徐々に異形の・・・魔物的なものに変わってきているし。
・・・どうしようか。
いい加減うんざりしてきたところだったが。
「・・・なんのにおい?」
鉄臭いような、気持ちの悪くなりそうな臭いが辺りに漂っている。
うわあ、進みたくない。
迂回することと、引き返して別の道を進むことも考えた。
考えたが、今までとは違う、新しいシチュエーションに、なんとなく進展があることを期待していたりもするわけで。
「・・・。」
考えたあげく、背後でガサリという音が聞こえたのをきっかけに、まっすぐ駆け出してしまった。
チキンです、すみません。
走りに走り、背後から何も来ないことを確認すると、スピードを緩める。
進むにつれ、だんだんと鉄臭さが濃密になってきていることを感じ、来てしまったことを後悔する。
わたしは、この臭いを知っている。
「・・・血の臭いですね、わかります。」
がさがさと、敢えて音を立てながら臭いの元へと向かう。
少し開けた場所に出たとき、そこは・・・
「う・・・っ」
酷い光景だった。
血の海と表現するのにふさわしく、辺りは真紅に染まり、見るも無残な肉塊が散らばっている。
魔物と、この森に来て初めてみる人・・・であっただろうもの。
来るんじゃなかった。
心底後悔した。なにか新しい展開を期待した自分の愚かさを呪う。
吐き気と戦いながら、その場を見ないようにして右手に逸れる。血の臭いに釣られて厄介な魔物が来ても困るし、この惨状では、生存者もいないだろう。火葬しておくべきかとは思ったが、長居は得策ではない。
・・・しかし、この近くに人がいる、という収穫はあった。
ちらりと、友人かもしれないという考えも頭をよぎったが・・・この惨状では、その区別がつかない。
仕方なくその場を迂回し、先へ進む。
「・・・ん?」
そして、わたしの行く手に・・・
木の根元に倒れる人と、今にも喰らいつかんとしている魔物の姿があった。