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高貴なる王妃の決意  作者: mona
ひとりぼっちの白雪姫
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やるべき事は山ほどある

姫の本名はエーデルワイスと言うのだが、国民からも城の者達も皆"白雪姫"と呼び、誰一人として本名を呼ぶ者はいなかった。


乳母ですら、シュニー様(シュニーヴァイスヒェン=白雪姫)と呼び、もはや本名を知っている者がいるかも怪しい。



あぁ、唯一母だけは私のことを本名で呼んでくれた。

但し、王妃の部屋で二人きりの時のみであったが。


それはいつも何かを忠告する時に言われていた。



「エーデル、そなたは誰にも囚われてはならぬ。


己を強く持て、良いか」


など、何故か自分を何かから確立して守るようなことだった。


そして、本名で呼ばれると抑圧を掛けられているような違和感を感じるのだ。



白雪姫は王妃に

『むやみやたらに自分の名を名乗ることはするな』

とよく言われていたが、それはもしかしたら、名を誰かに知られることによって自分を支配しようとする奴に捕らわれる可能性があるかもしれないと、最近なんとなく分かった。



「名前で縛られるのか……。


まるで、契約魔法みたいね」



ぼそりと言った言葉が真理のように思えたが、有り得ないことだと頭を振った。


私が魔女など、そんなことあるわけない。

だって魔女だったら、動物とお喋りしたりぬいぐるみを生き物みたいに動かせるはずだから。


今まで孤独を味わう事もなく、楽しく過ごせたのに。



「まぁ、いいわ。

とりあえず、食料だけは確保しなきゃ」


過去のことを振り返っても、なんの生産性もないだろうと思い、気持ちを入れ替えてこれからの事を考えた。



確か、小川の畔に果物がなっていたはずだ。

それで夕食は済ませてしまおう。


今日はもう日が暮れるであろうから、明日になったら街に出てパンでも買おう。


餞別として少しばかりの硬貨を貰ってある。



そして、この国の状況を探るのだ。



やるべき事は山ほどある。


自主的に何か興味を持って動く事は初めてなので、僅かな高揚感があった。


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