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僕の身体は妹に捧げる  作者: TARO


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第二話 学校と言う名の牢獄

学園長との楽しい楽しい?会話を終えた兄妹は学園長室を後にした。

事前に知らされていた通り、二人は学園の敷地の中にある貴族寮へ向かっていた。

向かう途中の中庭に差し掛かったとき突然莉子が口を開いた。

「お兄ちゃん、莉子はもう疲れたよ…早く家に帰りたいよ~」

学園長と対話していたときとは打って変わって年頃の女の子のような口調に変わる莉子。

「そうだね、早く部屋へ行こうか。僕が背負って行こうか?」

「う~ん。もう少し頑張ってみるよ、もう少ししたら着くんでしょ?」

龍治の持っている地図を横から覗き込んで寮の場所を確認する莉子。

「そうだ莉子。その言葉遣いは他の人がいるところで使ってはいけないよ?

 一応僕たちは赤坂の名前を背負っているんだから。」

龍治の言葉を気のない返事で流しつつ、バッグに入れていた携帯電話を開いてメールチェックを始める。

その様子を見て、龍治も同様にして「業務用(・・・)」と銘打たれた携帯電話を取り出す。

受信しているメールは一件。送り主は本人たちの知らないところで編入手続きを行い、先日緑子と面談をした赤坂早紀だった。

内容は、メールを見たら電話を入れることというものだった。

龍治は電話をする前から気の重くなるような深い溜息をつくのだった…。






寮に着いた二人を出迎えたのは寮生の暖かい尚且つ少々手荒な歓迎ではなく、玄関に並んでいるメイド服を着た女性たちだった。

一番前にいたメイド長らしき女性が一歩龍治たちのほうに踏み出し一礼した。

「ようこそ貴族寮へおいでくださいました。当寮のメイド長を勤めさせていただいております。

 赤坂龍治様、莉子様でいらっしゃいますね?お部屋へご案内いたします。

 私の後に付いていらしてください」

龍治たちが一言も述べる前に手早く持っていた荷物を取り、前を歩いていく姿はさながらホテルの従業員のようであった。

寮内に設置してあるエレベーターに乗り込み最上階である九階へ向かう三人。

部屋へ至る廊下に貼られていた非常案内を横目で確認しながら部屋へ入った。

部屋に到着し、設置されていた椅子に二人を掛けさせるとメイド長は説明を始めた。

「この寮は確認されたかと思いますが九階建てです。

 学園長たっての希望と言うことで現在このフロアには他の入寮者はいらっしゃいません。

 夜は門限を過ぎると外出は禁止です

 その他にも…」

目をキラキラと輝かせてメイド長の話を聞く莉子を見て微笑を浮かべる龍治。

おもむろに椅子から立ち上がり窓に向かう。窓からは学園が一望できた。全体の敷地の半分ほどが森であったが。

そしてそのまわり、学園の敷地の端をつなげているのは巨大な外壁。さながら砦のようでもあったが、正門の警備員を含めて恐らく侵入者対策なのだろうなと龍治は理解した。






しばらくして一通り説明を終えたメイド長(名前はミカというらしい)が部屋から退出した後莉子は部屋にあったベッドに倒れこんだ。

そして、何かに気付いたようにハッと体を起こすと龍治のほうを向いた。

「ねえお兄ちゃん、私たちって同じ部屋なの?」

「多分ね。何か問題でもあったかな。あるなら一応学園長に言ってみるけれど」

「何でもないよ、うん。何でもない何でもない何でもない…」

ブツブツと思考の波に飲まれていく莉子に疑問を持った龍治であったが結局何故莉子がその状況に陥ったかは分からないままだった。

莉子の様子に気を配りながら先ほど確認したメールの要件を済ませるため電話を掛ける。

数コール後電話に出たのはメールを出した早紀だった。

「あら、意外と早かったのね。もしかしたら掛けてこないかとも思ったけど」

いきなりずいぶんなことを言われたが龍治は特に気にせず話を進める。

「それで?何か変わったことはあった?」

「いいえ。唯一つ変わったことといえば緑子(・・)に風紀委員を頼まれましたが」

「話を受けたの?」

「ええ。そのほうが動きやすいですし。それより、約束はきちんと守って下さるんですよね?」

一瞬の空白の後返事が返ってくる。

「そうね、あなた達がきちんと契約通りに学園に通ってくれればね。

 少なくとも、緑子も学園から放り出したりはしないでしょうし。面倒事はお断りよ」

 せいぜい生き延びなさい」

「ええ、生き延びさせてもらいますよ。どんな手を使ってもね」

龍治は電話越しで笑い声を聞いた気がした。

「なら、とりあえず今日はもう連絡は必要ないわ。

 くれぐれも緑子に電話をしていることは悟られないように。いいわね?」

相手が満足するように適当に返事をして龍治は電話を切った、と同時に自分のほうをじっと見つめている莉子と目が合った。

「どうしたんだい莉子?夕食はまだだよ」

「そんなことは思ってないけど。相手は叔母さん?」

「そうだよ、お前の大好きな(・・・・)早紀さんだ」

「そう…」

特に電話の内容を詮索してこないところがこの妹の出来たところだと改めて感じながら契約の中身を思い出していた。

2話目です。

まだまだタイトルとつながらないorz

登場人物がそろそろ乱立してきそうな予感がひしひしと伝わるのですけれどまだまだ続きます。

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