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第十四話 思惑

そろそろクライマックスに持っていこうかと思ってます(何この急展開)

投げやりにならないように頑張る所存ではありますが如何せん危うい。

坂崎邸。


「龍治さんは何処にいるか分かりましたか?」

真由希の表情は硬い。

彼女がいるのは邸宅の応接間。

現在そこには使用人数十名が詰め、目下龍治たちを捜索中なのだ。


「絶対にあの年増に龍治さんたちを取られるわけにはいきません!

 諜報班、赤坂早紀の様子を!」


諜報班スタッフがモニターを持ってくる。

そこに映し出されたのは真由希と同じように焦っている早紀の姿だった。



赤坂本邸。


かつてより歴史ある名家として名を馳せてきた赤坂家の本邸はその辺の財を成した人物の家とは比較にならないくらい大きい。

また、雰囲気も余所者を排除しようとする何者かの意志が雰囲気となって顕現しているかのような空気だった。


早紀は現在御前会議を行っているのだった。


「だからもっと早くあの餓鬼どもを排除しておくべきだったのだ!」

一喝したのは現当主赤坂御大。

数十に及ぶ赤坂の分家を含め赤坂の血を束ねる強権者である。

「お爺様。少々落ち着かれたほうが良いでしょう。

 むしろ今追及すべきは早紀さんの突然の狂行でしょう」

そんな当主を宥めるのは早紀の異母弟・赤坂元春。

現在の日本国とのパイプラインを握っているのはこの男。

若干二十九歳にして財務官僚を片っ端から手懐け、引き摺り下ろしといった行為を行っているうちに日本経済は完全にこの男に牛耳られるままになっていた。

「しかしながら…どうしてですか?」

元春が早紀に尋ねた。


「私はお爺様の言うように外来人が気に入らなかっただけです。

 莉子のような半血を私は認めません」

早紀は頑なな姿勢を崩さない。


「ところで彼らの居場所はつかめたのかね」

会議に同席している別の長老が従者に尋ねた。

「はい。私の班によりますと、彼らは現在ドイツにいるようです」


場が騒然となった。


「ドイツ…あの小童め、考えおったな!」

御大が歯軋りをしながら呻いた。

「そうですね、今我々の中の人間が動けば大戦が起きます」

冷静に状況把握をさせるのは元春。


「戦争を行ったときの経済への影響はどうかしら?」

早紀が元春に尋ねた。

「そうですね…少なくとも特需なんていうのは起こりません。

 発生するのは飢餓と反乱と血だまりだけです」


「最悪じゃ…。だがしかしドイツの手にあれらが渡ってしまえば結局終わりじゃぞ」


「アルフォードの遺産が…」


場は静寂に包まれた。




坂崎邸。


「アルフォードの遺産…ですって?」

真由希が難しそうな表情を浮かべた。

「ちょっとあなた、現在のアルフォードの財産保有額を確認して頂戴」

「お嬢様、アルフォード家は取り潰しになった際にその財産の全てを国連に持っていかれていますが」

真由希は溜息をついた。

「そうよね…ということは、彼らが持っているのはお金ではない…か。

 それにしても本家の人間が動くだけで戦争勃発の危機とは。

 赤坂家も大きすぎるのも大概にして欲しいわね」


「しかしながら真由希様。栖鳳の財産権を奪取した(・・・・)今の坂崎家ならあるいは…」


「無理よ。今元春さんが仰ってたじゃない。あの人はお金には厳しい人なのだから。

 あの人があれだけの事を言うって事は少なくとも日本は国家危機ね」


応接間に詰めていたスタッフが動きを止めた。


「だからそうならないために今手を打ってるんじゃない。

 早く身柄を押さえて!」


慌てて動きを再開するスタッフを見て満足気に頷きながら呟いた」


「龍治さん…必ず私の物にしてみせますから…」



クロくなってきましたね真由希さん。

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