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苦虫  作者: 青山 黒美
4/12

苦虫(4)

千里………。


僕は道端に、ふと目をやった。紫色の小さい花をたくさんつけた花があった。


僕は肩から提げている鞄の間から、伸びている花を見た。

買ってきた花も紫色。

毎年、千里への花を選ぶ時になると、決まって紫に近い色を選んでいた。

(黄色でも白でもない。紫…)


黒い髪を肩より少し先に伸ばして、白いワンピースを着ていたのを思い出した。


母親が音楽の学校を出たとかで千里はピアノを習わされた。それが嫌で学校から家には帰らず、カバンを道端に置いて、そのまま三人で遊んでいた事もあった。

そんな事をしていたら、千里の母親が何度か捜しに来た事があって、僕たちは見つからない様に逃げる遊びをやったりした。

けれど、長くは続かなかった。


ある日、千里と母親が夜に家の玄関にやって来た。

僕と母親が出て、母親同士が話していた。何を話していたのか全く覚えていないけど、千里の「ごめんなさい」が顔に表れていたのを見て、僕たちが悪い遊びをしたんだなと思った。

その後から千里の母親が捜しに来る事は、なくなった。


「今日は、練習があるから」

こう言う日が増えた。

千里は優しい。

僕らに迷惑を掛けないように我慢して、そう言っていたに決まっている。



僕の中の苦虫が、少し動き出した……噛み締めた。

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