3/12
苦虫(3)
僕は歩きながら二人を思い出していた。
大輔は活発な奴だった。スポーツも得意で勉強も出来る。
それに比べて僕は勉強は駄目、スポーツもあまり得意では、なかった…下手でもなかったけど。
何度か、大輔が教室でケンカしているのを見た事がある。先生が止めに入って、大輔を押さえ付ける。
先生は必ず相手よりも、大輔を先に止めた。
相手よりも大輔の方が攻撃的で、大輔が先生に捕まると相手なんかは、ただ叱られるのを立って待っているだけだった。
僕は、ケンカなんて出来るような奴じゃなかった。どちらと言うとイジメられやすいタイプだったかもしれない。
僕と大輔は違ってた。
いま思えば、どうして大輔と仲が良かったのか…。一つの釣り合いと言うやつだろうか。
大輔が少し前を歩く。僕が少し後ろに付いて歩く。
僕には、大輔が羨ましいなと思う事があった。
僕には得意な事が見つからなくて、大輔が沢山それを持っていたんだから。
……千里も大輔が好きだったんだと思う。




