2/12
苦虫(2)
歩いて行く途中で僕は立ち止まった。
辺りには田畑が広がっているばかりだが、こんな場所にも思い出の断片は散りばめられていて、夕暮れ時まで外で遊んでいた事を思い出した。
僕は小学校のあった方を眺めた。此処からでは見えない、まだあるかどうかも知らない。此処へ来た理由が、見るもの全てを小学生だった頃の自分へと結びつける。
そして、これから行く山を見て僕はゆっくりと息を吸って吐いた。
あの子の事は、そこに置いてきた。
小学四年生の夏
大輔と
千里と
僕。
千里の墓へ
僕は歩き出した。




