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追放王妃は辺境で冷徹将軍と契約し、誰も知らない国を築く  作者: マルコ


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第7話 裏切りと陰謀

戦勝の余韻がわずかに漂う辺境。

だが、空気にはどこか不吉な影が混じり始めていた。


「夜陰に紛れて、不審な者が城下に潜んでいる」

「内部の兵が、王都と通じているらしい」


密偵からの報告が次々にレオンの机の上に積み重なる。

彼は眉間に皺を刻み、低く唸った。

「……王都はやはり我らを切り捨てるだけでは済ませぬか」


アリシアは背筋に冷たいものを感じた。

王太子に捨てられた自分が、この地で再び標的にされる――。


その夜。

城の廊下を歩いていたアリシアの前に、黒装束の男たちが現れた。

「……“偽りの妃”を始末せよ、との命だ」


刹那、短剣が閃く。

アリシアは咄嗟に身を翻したが、鋭い刃が頬を掠め、血が滲む。


「誰か!」

悲鳴を上げた瞬間、重い足音と共にレオンが駆け込んできた。

大剣が唸りを上げ、闇の刺客を一太刀で薙ぎ払う。


「俺の妃に指一本触れるな!」


普段冷徹な彼の怒声に、アリシアは胸を震わせた。


刺客は一人ではなかった。

後日、城内で兵士の一部が「王都に従うべきだ」と騒ぎを起こした。

「このままでは我らは逆賊になる! 王国に楯突いてどうする!」


レオンの部下の中にも動揺が広がる。

城の空気は不穏に揺らぎ、アリシアの存在が火種として囁かれた。

「すべては、追放妃を将軍が受け入れたせいだ……」


アリシアはその噂を耳にしても、うつむかず、静かに言った。

「ならば、私自身が証明するしかない。私は辺境の者だと」


ある夕刻、再び暗殺者がアリシアを狙った。

今度は市場の広場。領民の目の前で、彼女は刃を突きつけられる。


「……王都に刃向かう偽物め」


恐怖で膝が震えた。だが、逃げ出せばすべてが水泡に帰す。

アリシアはかすれ声で叫んだ。

「私は偽物ではありません! この地に生き、この地を守る者です!」


兵士たちと領民が反応し、暗殺者を取り押さえる。

その瞬間、広場に集まった人々の中から「アリシア様!」という声が上がった。

それは疑念ではなく、初めての「信頼」だった。


その夜。

執務室に呼ばれたアリシアの前で、レオンは深いため息をついた。

「……俺はずっと、誰も信じてこなかった。信じれば失うからだ。

だが――お前は違う。お前は、自分を捨ててでも民を守ろうとする」


アリシアは心臓が早鐘のように鳴るのを感じた。

契約婚という仮初の関係が、確かに揺らぎ始めている。


「……将軍様、私はもう契約以上の理由で、あなたと共にいたいのです」


言葉に出した瞬間、顔が熱に包まれた。

レオンは沈黙し、灰色の瞳でじっと彼女を見つめ――

やがて静かに、だが確かな声で答えた。


「俺もだ。もう、お前を“契約”とは呼べん」


窓の外では、嵐のような風が吹き荒れていた。

だがその風の中で、二人の心は確かに寄り添い始めていた。


偽りから始まった婚姻が、今や真実に近づこうとしている。

だが、王都と隣国の陰謀はさらに深まり、二人を飲み込もうとしていた。

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