プロローグ
一万三千五十六年 冬。
とある西の国の、広大な小麦畑。
冬にしては若干暖かい風が、鬼ごっこをする二人の少年の頬を横切る・・・
「ハハハッ!フィデム遅いぞ!そんなので聖騎士になれるのかよ!」
背の高い少年フォルスが、悪い笑みを浮かべながら煽る。
「うるさいなぁ・・・なるもん!」
フィデムも負けじと、先ほどよりも早く腕を動かし追いつこうとする。
彼等の腰ほどまで伸びた小麦は、まるで元気な彼等の姿を喜ぶかのように、揺れ動き。
二人の楽しそうな様子は、星のように煌やかで、太陽のように暖かかった・・・
程なくして
走り疲れた二人の少年は、近くの丘に登って腰を下ろす・・・
「なぁフィデム、お前はどんな聖騎士になりたいんだ?」フォルスが空を仰ぎながら聞く。
それに対し、フィデムはもじもじしながら答える。
「誰も泣かせない聖騎士になる・・・。」
フォルスはそれを聞き、またも悪い笑みを浮かべ答える。
「まずは自分自身が泣かないようにしないとな!!泣き虫フィデム!!」
フィデムは顔を真っ赤にする。
「なんだとーーー!!!」
フィデムは怒った様子立ち上がり、フォルスはフィデムから逃げるようにして
鬼ごっこを再開するのであった・・・