なんでもできるはなんでもはできない
初めて投稿させていただきます、アロエナガと申します。
皆さんは「何でも出来る」 と思ったことはないですか?
何でも、 とは何か?
文字通り何でもです。
例えばロールプレイングゲームやライトノベルに必ず出てきますよね。
皆様が想像するチートキャラです。
時間だったり攻撃を無効化できたりとやりたい放題できてしまう者です。
物語を作ろうとすれば一度は作りたくなりますよね。
でも私は少し思う所があり少しモヤっとしています。
理由は簡単です。 「なんでもできてしまうから」 です。
言ってしまえば「リスクなしの設計者」 なのです。
何か嫌なことがあればその対象物をすぐ消すことができ、 好きなことがあればそれだけを残すことができる。
自由気ままに何でも出来るということに私は先程も言ったようにモヤっとしています。
前置きはこれぐらいにして、 そんな「我儘野郎」 に私はいつの間にかなってしまいました。
というか神になりました。 見習いですが。
しかも先に言っちゃうと優秀な理解者や生徒? がいます。 先代もいます。 結婚はしていません。
『ですが現実より少し嬉しい展開です‼︎(迫真) 』
……ではどうしてそうなったかを純序に話していきます。
経緯は普通で「学校があるので家の玄関を開けたら、 異世界入り」 していました。
は?
突然の異世界入りに滅茶苦茶焦り自分が入って来たであろう扉の方を見てもすでになかったのです。
「出口消えたやん。は? やべー」
何も理解できずこんなセリフを数十回繰り返したことは今でも覚えています。
…… ひとまず状況を整理しようと目を何回か瞬きしたところ、 やっと周りが見えるようになったのです。
私が普段家で遊んでいたド○クエとモ○ハンを合わせたような風景が広がっていました。
なんか心がときめきました。 異世界に飛ばされたばっかなのに。
ひとまずRPGとかに必ず出てくる街を探しに行くかと決した時です。
「そこを動くな‼」
なんか遠くの方から女性の声が聞こえました。
青髪ロングのサラサラヘアーで明らかに美少女女騎士っぽい人が剣を構えて近寄ってきます。
所見にわかる危機的状況!
私は思わずこう発言しました。
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」
もはや何を言ったのか自分にもわかりませんでした。
ただ剣を向けていた女性は腰にある鞘に納め、 即座に跪いたのです。
そして彼女は震えた様子で
「先程の無礼をお許しください! 偉大なる創造神……バルバトス様」
と話しました。
どうやら私のことを言っているのでしょう。
てか、 この世界では私は神なの⁉
私は重っ苦しい空気の中渋々、 女性に質問をします。
「ちょっと聞きたいんだけど、 私は神なの?」
この質問に女性は「……はい、 左様です」と変わらずな様子。
本当に私は神になったようです。
ひとまず私はどうすればこの空気を変えられるか少し考えていたところ、 女性は質問してきました。
「バルバトス様、 何か私に罰……は無いのでしょうか?」
へ⁉︎ 罰⁉︎
色々感情がこもっていたせいで私は咄嗟に
「俺がお前にあるわけねぇだろ‼︎」
とどっかの御大将みたく言ってしまいました。
すると女性は安心したのか草原にヘタリと崩れ落ちました。
綺麗なお姉さんが横たわる、 男性なら美味しい展開ですね。
ですが生憎、 私の中では「貴重な情報源が寝ている」 と認識しているため迂闊に手を出せない状況なのです。
非リアでも童貞でも無いですよ、 優しさの心が野心を抑えているのです。
現在私は、草原に横になって寝ている女性を見下ろしている状態です。
読者からは多分「何かしてやれ」 と言っていそうな状態なのでしょうね。
そう言われないために私はしばらく見張りをしていました。
なんもしてないヒョロガリな男が見張りとは、 普通なら余裕だとどっかの族とかは襲いかかってきますね。
ですがさっきも言っていた通り神なんです。
私は、 神なんです‼
しばらくすると、 目の前の女性は目を覚めました。
「……ぁ」
可愛い寝顔だぜうひょーと内心思うようにしました。
その女性は私を見つけるとすぐに謝罪をしました
「途中で寝てしまって申し訳ありません! この無礼、 どう罪を償えばいいか……」
滅茶苦茶謝るじゃん……
内心そう思いながらも私はその女性に向かい声をかけます。
「大丈夫、 怒ってないから気にせんといて」
すると彼女は不思議そうな顔で聞きます。
「キニセントイテ?」
あ、 だめだ。 通じてねぇ……
私は手をバタバタとしながら
「要するに気にしないでって事ね」
と説明すると彼女はやっと理解し安心した様子……
マジで一人だけ取り残された感があって辛ぇよ……
彼女は私と会ってから何も飲んでない様子だったらしく、 私に水を飲む許可を求めます。
私は勿論、 飲んでいいよと言ったのですが一見しても水筒らしきものが見えません。
一体どのようにして飲むのだろうと少し見ていると、 手から水のようなものを出しそれを飲みます。
???
多分、 魔法だよな?
水魔法の、 低いやつだよな……
この世界ではこうやって水を飲むんだなぁと勉強になりました。
と考えているうちに重要なことを忘れていました。
名前聞いてないじゃん‼
私は焦りながらも女性に名前を聞きました。
「そういえば普通に話していたけど、 名前聞いてなかったよな。 名前なんて言うの?」
彼女は慌てた様子で綺麗に正座して
「名前も言わず申し訳ありません! ワタシの名前はアルス・マガロアと申します。」
と自己紹介をしました。
この女性はアルスというらしいです。
可愛いですね。
ただ可愛いのですが、 気づいたのが一つありまして、 なんでアルス…… 跪いている時目が死ぬの?
最初の時でも目が死んでいたしそんなに俺なんか嫌なことやった?
と思うぐらいに少し疑問がよぎりました……
まあそんなことはさておいて、 私はアルスに質問をします。
「ここはどこなの? 私はなんでここに?」
アルスは左に首を傾げると目を少し左下に動かします。
「私、 なんか変なこと聞いた?」
私は顔に汗を流した状態でアルスに聞くとアルスは戸惑った様子で私を見て
「すいません、 質問の意味がわかりません……」
と返してきました。
??? (二回目)
(この子…… ドジっ子か⁉︎) と内心喜んでしまいました。
今度はアルスにわかりやすく質問をします。
「じゃあ、 ここはどこなの」
この質問にアルスは淡々と回答してくれました。
「はい、 ここは中央都市: リウス の近くの草原:リヴァウス です。」
私はアルスの回答の返し方で少しわかった事があります。
先程の質問にあった「この世界」 これがわかんなかったのかと気付き内心
わかるわけねぇよなぁ……
と反省しました。 皆も言葉には気をつけようね☆
とはいえずっと野原の上でアルスと話していたので少々疲れが出てきました。
ぶっちゃけもう座りたい……
ただ今の質問で都市があることを知ったのでアルスに「都市に案内してくれ」 とお願いします。
できればカフェ的なところで一休みしたいですが、 異世界にそんなものがあるのか少し不安ですね……
あ、 でもそうか。 私神だからなんでも作れちゃうのか……
と考えながらアルスの後ろで歩いているとアルスから到着したとの声が。
気づけば都市の門の前に着いていました。
我ながらすごい妄想をしていたのですな、 気づけば足が痛い。
「着きましたよ、 バルバトス様。 ここが中央都市: リウス です」
アルスが声を掛けてくれましたが、 私は驚きを隠せませんでした。
一目見ただけでわかるこのデカさ、 ハンパねえ‼︎
現代の建造物で例えると、 そう‼︎ バチカン市国‼︎
見た目完全にバチカン市国のパクリだ‼︎ と思わせるような構造をしておりワクワクが止まらねぇと興奮していました。
それしか覚えていなかったです。
気づけばアルスは私の方を見るなり少しきょとんとした顔をしていました。
「あの……、 大丈夫でしょうか? どこか具合が悪かったりとか……」
「大丈夫だよアルス、 初めて見た建物で少し…… その…… 興奮が抑えられなかったっていうか!」
人って印象が強すぎると言葉も中々出てこないって本当ですね。
アルスは私の言葉を聞いて少し困惑していましたよ、 己の言語能力に嫌気がしそう。
そんな感じで門の中に入ろうとすると突然、 後ろから一人の男が煽るような言葉を言います。
「こぉ〜れはこぉ〜れは…… アルス嬢ぉ〜、 こぉ~んなところでそこにいる余所者と何をしているんどぇすかなウヒョヒョヒョヒョ」
いかにも聞いたことがあるっていうか今すぐ攻撃力を低くして何発も殴りたいような声をした生意気な糞餓鬼がそこに立っておりました。
殴っていいかなぁ怒?
私はそんな怒りを鎮めているとアルスが凛とした顔つきになりその糞餓鬼に向かい口をします。
「貴方は、 ゼッタイ・タタカーウ。 何用でこちらに…… 」
……は?
ん? は? え?
どうしよう……、 内容が頭に入ってこない。
いや……、 聞き間違いだろうか……
私は恐る恐るアルスに小声で聞くと、 「ゼッタイ・タタカーウです」 と同じ会話が聞こえました。
私は思わずブフォッと声を出し大声で笑いそうな所を我慢しました。
いや……、 笑うだろ草
なんとか声は聞こえてなさそうだでした。 あっぶねー。
そのままゼッタイがアルスの質問を返します。
「いやいやいや、 何用ってただ俺はこの辺をぶらぶら歩いていただけだよぉ? そしたらさぁ? 丁度君たち二人を見つけてねぇ? 付いて来たってワ・ケ☆」
な、 何だコイツ……、 気持ち悪い‼︎
私も現代ではバスとか電車の中で気持ち悪いおじさんとかはいましたが、 まさかここまで子供の癖してストーカー気質みたいなヤベェ奴に合うとは思いも知りませんでした。
という個人的思考はさて置き、 アルスとの会話を聞いていると何か関係性があるのは間違いない、 そして多分悪い関係なのでしょう。
続く二人の会話を聞いていると突然私の方に声がかかります。
「ところでさぁ〜? 君何者ぉ? なんかすごい虫唾が走るんだよね?」
「さ、 さぁ〜なんででしょうね……、 あはははは」
私、 怒りながらも大人の対応。 偉いぞ私!
と、 思ったのも束の間、 突然私の左頬に鈍痛が伝わります。
そのまま私は崩れ去り、 石の地べたに倒れ落ちます。
そして意識が朦朧とする中、 目の前が真っ暗に。
最後に聞こえた言葉が
「……雑魚が」
よし分かったコイツ絶対シバく……
目が覚めると私は布団の上にいました。
……どうやらゲームに必ずある、 宿屋みたいなものでしょう。
そしてふかふかな枕の上で寝ていました。
しかし部屋が半分暗い……
どういった場所かと体を起こそうとしたところです。
「目が覚めましたか? バルバトスさ……、 いやミケ様」
アルスの声が聞こえる。
しかし姿がどこにも見当たらないのです。
「ここですよ、 ミケ様」
と両頬に手を触れられ、 初めて後ろにいると気がついたのです。
そして意識が鮮明になり左を見てみるとそこにはベッドが。
あれ? ふかふかな枕とベッド…… つまり私が枕だと思って寝ていたのは……?
「……いかがでしたか? ワタシの膝枕は」
うん、 男の心残り一つ解消されたわ。
これつまり目の前にあるものは……
私は今の状態を楽しもうと感じましたが、 理性がそれを邪魔しました。
くそう、 なんてできた脳なんだ‼
私はひとまず起き上がり、 頬に手を当てます。
痛みはないですが、 現代でいう湿布のようなものが。
「痛みはありませんか、 一応手当だけでもと思いまして……」
なんてできたヒロインだ、 スーパーヒロインだよ‼︎ 略してスパインや‼︎
一人で盛り上がりましたよ、 心の奥で…… 哀
そう思った時ふと気づいた事があります。
アルスが私の本名を呼んだこと。
私はその事に気づきアルスに質問をします。
「ねぇアルス、 なんで私の名前を知っているの?」
アルスは少し焦りを見せたのか、 少し途切れ途切れに話します。
「ミケ、 様が倒れた、 際にポケットからこれが……」
アルスはそう答えると手に持っていた物を見せます。
学生証でした☆
そりゃわかるわ☆
私は思わず困ったなという顔をします。
アルスもこれには驚き持っていた学生証を床に置き深々と頭を床につけ謝罪していました。
「申し訳ありませんミケ…… いやバルバトス様‼︎ 勝手にこのようなものを見てしまい申し訳ありません‼︎」
アルスは人だ、 人は興味があるものはダメと思っていても見てしまう生き物だ。
私もこの世界では神ですが元々は人、 アルスの気持ちは非常によくわかる。
なので私はアルスにこう言いました。
「勝手に見てんじゃないわよエッチ‼︎」
と言い学生証を左ポケットにしまいました。
そして仮に神である私はアルスに向かいアドバイスを送ります。
「私は心が広いから許してあげるけど、 器が狭いやつとかだったら今頃酷い目にあっていたかもしれないんだからね? 分かった? ダメだよ本当にマジで」
……人ですね。 本当に人だ。 神っぽくないな。
と自分ではそう思いながらも、 アルスは真剣に言葉を聞いており何度も頷いていました。
本当に純粋な子なのでしょう、 言い子すぎて一瞬自分が教師だと思うぐらい。
守りたいこの笑顔……
微笑ましい顔ぉしている私に対しアルスは私に質問します。
「バルバトス様、 私はこの先なんてお呼びすればいいでしょうか?」
私はあまり気にしていないので「自由に呼んでいいよ」 とアルスに返します。
でその結果、 変わらずのバルバトス様呼び。 なんで悪魔の名前なのかいまだに疑問ですがぶっちゃけバルバトス好きなので、 もうなんでもいいや。
しばらく時間が過ぎ、 私が布団の上に座りアルスがさっき手から水を出したように自分も水を出そうとしました。
が、 出ませんでした。
水を出せない事に困惑していると、 アルスは私に近づくとゲームのメニュー画面のような物を出してきます。
そこにはアルスの名前とステータス表、 スキルやその他が記されていました。
なんかなろう系の定番みたいなやつが出てきたなぁと個人的には思いましたよ、 それが好きだからなのか知りませんが。
アルスは困った顔をした私に聞きます。
「バルバトス様、 ご自身のステータス表がわからないのですか?」
私は一応神としての立場がある為、 わかるわかると見栄を張り出そうとしました。
やっぱ出せませんでした。
なので心の中にある白旗を上げ
「すいませんアルス女王様、 何もわかりません」
と深々と頭を下げました。
アルスは特に気にせず、 わかりましたとだけ。
そこから色々教えてもらいやっとの思いでステータス表を出すことができました。
やったね! 自分のバカさが愚かしいね‼︎(泣)
そしてアルスが私のステータス表を見た時アルスは心底驚いた様子でした。
私はその反応を見て何かヤベェことが書いてあるのかとステータス表を凝視しました。
そこにはこう書かれていました。
『汝、 この世界の設定の変更を自由とする。 その代わり元の世界に帰ることを禁ず』
要するに、 「お前この世界なんでもしていいけど元の世界に帰れんぞいあははははは」とのこと。
初見殺しです。
私はこのステータス表にある名簿リストを開くと、 この世界の全人類の名前が書いてありました。
嬉しいことに検索欄もあり、 そこにアルスの名前を書くとしっかりと表記されていました。
私はその凄さに感心していながら、 ふとさっき門の前に会ったあの糞餓鬼を思い出しましたが、 名前を覚えておらずまた困った顔をしました。
いつの間にかアルスは私に震えていました。 そりゃそうだ。
なんでも出来ちゃうんだもんな、 そりゃ怖いよな〜 と少し自分の立場がどのような状態か少し理解しました。
しかしアルスも根は良い子、 都市に来る間も色々教えてくれたりしていたのでどうにかしようと思った時でした。
アルスは言いました。
「バルバトス様、 その力があればなんでも可能なんですよね?」
「ん? あぁ…… そうらしいね」
私がそう口ずさんだ時、 私の手を掴み目を輝かせながら
「私、 一度でいいから外の文化に触れてみたいんです‼︎」
と言い放ちました。
私は意味がわからず、「最初に会った時あの草原は外じゃないのか」 と聞いたのですがどうやら違う様子。
私はステータス表に書いてあるスキル名: 真理者 を使用しアルスの言った言葉の真理を読み解きました。
どうやら外の世界とは私が住んでいた元の世界のことらしいです。
だから元の世界じゃねぇか、 帰れねぇんだって。
と私はアルスの願いを断ろうとした時、 ある策が思い浮かびます。
神の能力ならではのやり方を使い実現できる。
そう思った私の口は気づけばにやりとして笑っていました。
「アルス、 分かった…… 外の世界の文化、 見せてあげるよ」
アルスは子供のように腕を上げ「やったー‼︎」 と喜んでいました。
ただ策をこなすにはアルスの協力が必要なため、 アルスにそれだけは伝えました。
忘れていましたがアルスも騎士の仕事の関係上、 一回家に帰ってもらい明日の仕事終わりに宿屋に来るようにとお願いしました。
そして翌日、 私は昨日居た宿屋に戻ってきました。
結構多くの荷物を持ってきたのでなかなか身体に堪えました。
おかげで全身筋肉痛です。
昨日の約束通りにアルスは私の部屋にきました。
時間についてあまり気にしては居なかったのですが、 時計を見てみると丁度真昼時。
めちゃくちゃ頑張ってきたんだろうなと労いの言葉をかけようとした所、 アルスの顔はあまり良くない様子でした。
何か気にしているような、 そんな顔です。
アルスに注目していると奥から人影が。
アルスと同じ服装をしていました、 上司なのでしょうか?
ただ決定的に違うところはただの人ではない所。
頭にフェネックのような大きくフサフサな耳、 キリッとした獣人特有の目、 腰まで届く長い白髪。
そしてなんといってもグラマラスボディッ‼
そんな男の夢が詰まった女性がアルスの隣にいたのです。
私が口を開く前にその女性が先に私に話します。
「やぁ、 君がアルスの想い人かい? 我が名はレテス、 よろしく」
そう言いながらレテスは手を差し出し握手を求めます。
私は気にせず差し出された手を握ろうとすると、 私の手を掴みます。
一体何が起きているのかよくわかんない状況です汗
突然の反応に困っているとレテスは顔を近づけ
「アルスが気になっている外の世界ってやつ、 アタシにも見せてよ。」
と余裕ありげに言います。
ふわっと漂う香り、 とても良い匂いでした。
そんなレテスの対応にアルスは慌てて私を引き剥がし言い放ちます。
「何やっているんですか、 レテスさん! この御方は神なんですよ‼︎」
レテスはアルスの言葉に一滴の汗を流し、 薄ら笑いを浮かべ首を振ります。
「ははは、 そんなわけはないだろう。 もしかして盗られると思ったのか? アルスも随分と必死なんだなぁ」
「違います! あと今の言葉は事実です。 この世界の創造神バルバトス様なんですよ‼︎」
「へ……? マジ……?」
「本当です」
レテスはそのまま私に顔を向け
「マジ?」
と聞く
私は言う。
「やー私神ですね間違いないですねおおマジマシマシガチめですね。」
と言いながら私はステータス表をレテスに見せます。
レテスは腰を床につけ眼を開きながら
「マジかよ、 アンタ神なのか……。 ごめんなさい、 アタシ知らなくて、 アルスが最近帰り早いから誰か気になった奴がいるのかと思って……」
と謝罪しながら土下座していました。
私の性癖が深々と謝ってるの心が痛いなぁ……
私はそんなレテスに慰めの言葉をかけます。
「大丈夫、 そんなに深く謝んなくていいよ。 別に気にしちゃいないさ。 良い上司の普通の反応だよ。 間違っていないよ」
レテスはその言葉に心を打たれたのか目に涙を浮かべ私に抱きついてきます。
「アンタ良い男だよ! アンタ本当にいい男だ‼︎」
とお腹の上で顔をスリスリとしています。
ずっとこの状況が続けばいいのに。 と思いましたがずっとそのままでは時間が過ぎるだけだと思いレテスに離れるように促します。
レテスも素直で離れて涙を腕で拭う。 可愛い。
少し時間を置きアルスとレテスに持ってきた荷物を見せます。
「これが、 懐中電灯。 でこれがカイロ、 そしてこれが割り箸」
私が持ってきた荷物に、 レテスは嬉しそうに見ていましたが、 アルスはどうも腑に落ちない様子。
私はアルスにどうしたの? と聞くとアルスは不思議そうに質問してきました。
「バルバトス様、 一つよろしいですか?」
「どうしたのアルス?」
「昨日見せた内容では、 バルバトス様の元の世界? に行くことは無理だったんですよね? どうしてこんなに持って来られたのですか?」
痛いとこを突くなぁ……
私は少し言葉に困りながら選んでいると、 物色していたレテスがその雰囲気を壊すようにボソッと呟く。
「そういえば、 近頃ゼツの奴が大会開くらしいな。」
私はさっきまで考えていた言葉がポカンと消えレテスが言った事に興味を示します。
「その大会って何?」
「あぁ、 ゼツが開くタイマンの大会だよ。 私は出禁だから出られないけど、 色んな奴が出るぞ。 例えば石を振り回す奴とか」
私はその大会が少し気になったのですが、 ゼツという名前が引っかかりました。
「レテス、 そのゼツって誰?」
「ゼッタイ・タタカーウ、 生意気な天才だよ」
私を侮辱した糞餓鬼です。
私はその名前を聞いた瞬間に怒りが込み上げてきました。
アルスはその空気を察し止めに入ろうとするが、 レテスは物色していた本を閉じ
「ちなみに、 アタシが出禁になった理由はゼッタイを死の淵に追い込んだから。 いわゆるルール違反で出禁ね。」
と落ち着いた様子で話し終えた後、 私に向かい
「そんなアタシが稽古して、 あの餓鬼に勝たせてあげようか?」
という提案をしてきました。
私はその提案を受けたかったのですが、 結果として断りました。
体が追いつかない、 大会を舐めている。
そんな訳で断った訳ではありません。
ある秘策を持ってきたのです。
私はそれを試したく敢えて断ったのです。
『なんでもできる方法での闘い方』
観客含めゼッタイがどんな反応をするのか、 興味が出てきます。
月日が流れゼッタイが主催の大会が開かれました。
この大会では様々な種族が参加可能で、 皆王の座を狙いに来ており、 中には毎年参加している方もいるとか。
その大会の王座にいるのがゼッタイらしいのです。
私が出る目的はゼッタイだけなので、 他の参加者には踏み台になっていただきます。
口には言わないけど、 言ったらヘイトの嵐だし。
大会内容は至ってシンプル、 場外から出るか倒れて十秒以内に立ち上がらなければ負け。
と言った内容になっています。
最初に開会式みたいな物をやるのですが、 初めてゼッタイと会った時の服装で出ると必ずバレるので変装してでました。
マントを被る謎の拳闘士みたいな笑
他の参加者は、 頭がライオンだったりエルフだったりと色々な種族がいました。
みんな、 王の座を取りたいんだなぁ……
さてそんなことを考えているうちにゼッタイからの挨拶が。
「よぉうこそ来てくれた闘士諸君。 年に一回にこの俺が開くこの大会に出るとは、 よほど王に座に興味があると思われる。 堕が俺もこの座を簡単に譲る気はない‼︎ この座を奪いたくば、 力で獲って見せよ‼︎」
他の方はこの挨拶でやる気十分、 大きい雄叫びを上げたりと血気が……
私といたしましては、 今の挨拶「 お前ら雑魚だから絶対にこの座を渡すかバカ」 としか言ってなさそうな台詞だったんですが……
まぁ雰囲気が大事です。 私は流れるように選手の控え室に向かい早急にやりことを済ませましょう。
アルスとレテスは大会の警護らしく、 侵入者を防ぐ役割を担っているとか。
会場に入る前にアルスが泣きながら連れて行かれている光景は微笑ましかったです。
現実に彼女いないし泣
そして控え室に入った私は即座に自身のステータスやデータを変えいわゆるチート状態と呼ばれる状態になりました。
これでどんな奴が来てもへっちゃらだぜ、 とはならないけど。
その状態で一回戦二回戦と着々と勝ち進め準決勝にたどり着いた時です。
試合が始まる前に、 私と同じマントを被った男が話しかけてきたのです。
「あなたが、 次の対戦相手……、 バルさんですか?」
「はい、 バルです。 そちらは確か……」
「はい、 リンクス・イーターです」
挨拶がしたくて会いにきたのかなと思い握手をしようと手を差し出した時です。
「我は、 あなたがどんな人か知っています。 バルバトスさん」
思わず声が出てしまいました。
「え⁉︎ そんな名前じゃないよ、 僕はバルだよ? 何を言っているんだい」
「嘘ついてんのバレバレですよ、 そろそろ目覚めたらどうですか?」
多分この方は何かやっているのではないかと思い恐る恐る目を見ます。
確信してる眼だぁー‼︎
次の相手が正体知ってる奴とかどう闘えばいいんだよ……
と思っているとリンクスが自身のマントを脱いだのです。
なんと私が男だと思っていたのは女性でした。
レテスやアルスにも引けを取らない良い身体‼︎
と傍観していた私の心に突き刺さる程の衝撃の一言を聞きました。
「我は、 あなたの右腕でした。」
その言葉を言い終えた後、「忘れないでください」 と言い残し私の元を去っていきました。
私は彼の言葉に衝撃を隠せないと同時に、 一つの疑問を浮かべます。
なぜ自分は神の力を持っているのだろう。
ふと思った疑問を考えながら、 ステージに向かいます。
試合開始のアナウンスが流れリンクスと顔を向けるように審判が促します。
私はリンクスと顔を合わせます。
その瞬間に突如頭が痛くなり、 意識が朦朧として倒れそうになります。
倒れるのを防ぐようにリンクスが支えてくれました。
ただリンクスは耳元でハッキリと言ったのです。
「お目覚めですか、 バルバトス。 早く起きないとあなたの体は崩壊しますよ。」
という言葉と共に私は意識が無くなりました。
無くなったというより私自身の意識ではないのが正解でしょうか?
私が体を動かしているのではなく「もう一人の自分」 らしき物が動かしていると言った方が正しいのかな?
自身でもよくわからない感覚です、 でも一つだけ言えるとするならば……
オレはバルバトス。 この世界の創造神だ。
長い間寝ていたが起きたらなぜかこの器になっていた。
そしてオレはなぜかマントを被っている、 どういうことだ?
ひとまず邪魔なのでそのマントを脱ぐ。 暑苦しいのでな。
それに呼応するように目の前の奴もマントを脱ぐ。
だが目の前にいた奴はオレの右腕のイーターだった。
「よぉイーター、 久しぶりだな」
「お久しぶりでございます、 バルバトス」
オレは奴と共にこの世界を築いた同士だった。
そしてコンピューターを作り出した後オレ達は長い眠りに入ったのだが、 ここで再開するとは思わなかった。
再会に花を咲かせていると左の方から雑音が響く。
この器から情報を読み取るにどうやら審判らしい。
審判が言うには「準備はいいか?」 と。
オレは問う。
「なぁイーター、 オレは今からお前と闘うのか?」
「左様。 どうやら戦わなければならないと」
起きてすぐの闘争か、 少々体は鈍っているが準備体操には十分だろう。
「イーター、 体の調子はどうだ?」
「えぇ問題ありません、 では始めましょう」
オレ達は普段と変わらずの準備体操をする。
殴り蹴りの応酬、 だが互いにヒットはゼロ。
起きてすぐだからなのかはわからんが、 思考と反応が追い付かん。
ただそれだけだ。 何も問題はない。
一度いい攻撃が擦れもする、 それだけで会場が沸く。
煩い雑音共が……
オレたちは体を止める。
気づけばさっきまでいた場所はボロボロだった。
広く作っておいて耐久性は疎かなのか、 愚かだな。
こんな場所ではせっかくの運動も力が入らん。
「イーター、 場所を変えるか?」
オレの質問にイーターはオレに指を刺しこう言う。
「バルバトス、 どうやらソレはこの大会の王に話があるみたいですよ」
「そうか、 どうりでこの体が騒がしい訳だ。 面倒な体だな」
オレが起きた途端に魂が思うように動かなかったのだ。
先程も普通に動かしてはいたが、 思考と行動に僅かなタイムラグが発生した。
当然違和感を覚える。
だがそれを察するようにイーターはオレに言った。
「どうしますか、 情報を変え自身の体にいたしますか?」
「イーターも同じことを思ったか、 しかしそれは無理のようだ。 こいつは他所者だからな。 オレの力が届かん」
こんなにイレギュラーな話は聞いたことがない。
どういうわけか、 少し興味深く感じる。
オレはこいつと話してみたい、 その興味に従うべくイーターに命じた。
「イーター、 少しこいつと話す。 お前は舞台を降りろ」
「はい、 ではここで失礼します。 お戻られになった事、 深く喜び申し上げます」
そしてイーターは棄権しこの建物の中へ入っていった。
オレもこの体がいた部屋へ帰っていく。
途中、 何かがオレに恐怖を抱いていたが気にせん。
普通の反応だからな。
オレは部屋に入るなりこの体の持ち主と対話をすることにした。
「お前がこの体の持ち主か、 余所者」
オレの問いに答えないか、 酷く腹が立つ。
と思ったが単純に口で答えられないのか。 それならば……
意識内で話せば声に出す必要がない。
「これで思う存分話すことができるぞ、 余所者、 お前は一体何者だ?」
改めて奴に問う。 どんな答えを出すか楽しみだ。
オレは腕を組みながら聞く。 一応神だからな。
だが……
「あなたが、 バルバトスなのですか?」
と逆に質問してきた。
どういう教育を受けたのだこの童が、 質問を質問で返すとはどういう思考回路だ?
しかもこいつ、 ここは何処? とかよりまずオレにか、 調子が狂う。
とはいえ一応我慢してやる、 そして答えてやる。
「そうだ、 オレがバルバトスだ」
と答えた矢先、 奴の目が輝かしく光る。
「おい、 お前自身の立場を理解しているのか? お前一体何者だ? どうしてここに来た?」
もう一度聞いてやる、 これでさっきと同じ事をしたなら主導権を全てオレのものにする。
「わかりません‼︎」
……は?
オレは酷く混乱した。
なんだこいつ、 バカなのか? それが通じると思っているのか?
オレは改めてもう一度聞く。
「お前、 もう一度聞くぞ? 何者だ? どうしてここに来た?」
「人間です! 来た理由はわかりません‼︎」
頭をやっているのか元からなのかわからなくなってくる……
だがこいつの情報を分析するに嘘ではない、 こいつは本当に気づいたらここに来たようだ。
オレは聞く。
「どこから来た?」
「日本です‼︎」
「日本か、 日本のどこだ?」
「東京です」
聞けば聞くほどよくわからなくなる。
こいつの名前は確かミケだったな。
「お前の情報を少し見る、 手を貸せ」
ミケは無邪気に手を出してくる。
オレが邪神ならすぐにこいつは操られていそうだな。
そう思いながらもこいつの情報を見る。
ほとんどゲームの話しかねぇじゃねぇか……
しかもこいつチートキャラしか作っていない……
オレは奴の手を離し一言言ってやった。
「お前はアホだ」
とな。
その一言に奴は奴は顔を近づけ
「アホとはなんですかアホとは‼︎ 私はアホではない‼︎」
と煩い声で文句を言う。
オレは左手で奴の口を塞ぐ。
「お前の情報を取り込んだが、 全部チートキャラじゃねぇか……」
奴は遮っていた手を剥がし口を開く。
「チートキャラの何が悪いんですか! なんでもできていいじゃないですか!」
奴は何かを勘違いしている。
オレは奴の発言権を取り、 いい機会なので教えてやった。
「お前はチートを何か履き違えているな? いいか、 チートとはただのゴミなのだ。 お前の情報を読むついでにお前が読んできた本を見たが、 どれも愚作に過ぎん。 さっきこう言ったな? なんでもできるからいいじゃないかと。 確かにオレは神だ、 なんでもできる。 なんでもできるからオレは退屈なのだ。 退屈なら退屈を消せばいいと言い出すかもしれんが、 消したところで退屈はまた生まれる。 人は興味が無ければ勝手に死ぬ。 何かがあるから今を生きていられる。
一つ例えを出してやる、 怪我をした少年としなかった少年が進む道は同じだと思うか?
否、 違う。 心や進む道が変わる。 怪我をした方は痛みを知る、 そして成長を知る。 地獄を知る、 未来を知る、 良い友人に出会い未来を得る。 そして残酷な世界に立ち向かえる強靭な心を手に入れる。 それがお前の情報の中で言う少年漫画だ。
だが痛みを知らぬ人間はそれすら持てない。 なぜならマイナスを知らぬからだ。 なんでもできると思い込みいつしか犯罪に手を染める、 そしてお先真っ暗。 仮にそうならなくても成長するきっかけが無いままずっと歩き続ける。 強いから孤独。 お前も本を通してよく聞いたろう。 それに興味を示しているんだお前は」
自分の被虐を交えた言葉だが、 奴はオレの言葉をしっかりと聞いていた。
真剣な目でな。
その目にオレは興味が出たのか知らんが、 オレは自ずと奴の前に行き口を開いていた。
「だがお前のような奴は嫌いじゃない、 オレはお前みたいなアホに興味が出るからな。
一つ言ってやる、 オレみたいにはなるな。 もし日本という国に戻れたなら沢山転べ、 挫折しろ。 そして何度も立ち上がれ。 それが成長だ。 それが無いんだよ、 オレには。」
オレ自身も何を言っているのかはよく分かっていない。
だが奴の真剣な目を見た瞬間、 何かを感じ伝えたのだろう。
これが意識内で良かったと思ったのは初めてだ。
だが時間がそれを許さない、 肉体から決勝という言葉が聞こえた。
オレはミケに言う。
「今だけ発言権を許可してやる。 意識を戻してオレの力を貸してやる、 代わりにお前を日本に戻してやる。 いいな?」
ミケはオレにこう言いやがった。
「分かった、 けどまた会えますか?」
オレは少し考える。
そして絞り出した答えがこれだ。
「お前が我儘野郎になっていたら殴り飛ばしに会いに行ってやる」
そしてもう一度奴に意識を渡した。
これで満足だろう。
お前の策に乗ってやったぞ。
私の目の前にはゼッタイがいました。
ゼッタイは私を見るなり酷く怯えた状態でした。
なぜかはわかりませんが、 私は先程までの怒りが消え今ではとても気分が心地いいです。
しかも凄く力がみなぎる感じがしてとても軽いです。
一回跳んだだけで宇宙まで行けるくらいには。
そんな事を考えているとゼッタイは私に指差すなりこう吐き捨てます。
「お前、 あの時の仮を返しに良くここまで来れたな、 褒めてやるよ。 でも勝つのは俺なんだ‼︎ 分かったな‼︎」
文脈も立場も何も合ってない言い方ですが、 まぁただ文句を言いたかったんでしょうね。
今の私には何も頭にきませんが。
私は淡々とステータス表を見ながら会った時から思ったことをゼッタイに言います。
「お前、 ダサいから今日からインディエーターな。 王に相応しい名前だろう。 良かったな、 かっこいい名前がついて。」
私の言葉通りに名前はインディエーターに変わりました。
審判は私の言葉が終わったタイミングで試合開始の合図をします。
私が自然に構えた姿はバルバトスの構えと一緒だと心の中で直感的に感じました。
インディエーターも震えながらも構え、 お互い準備が完了しました。
審判が試合開始の合図をします。
その声に私はインディエーターに近づき右のショートフックで顎を打ち抜きます。
顎を撃ち抜かれたインディエーターはその場で倒れ込む。
これで当初の殴り倒すと言う目標は達しましたが、 私は心残りを解決すべく控え室に戻りました。
そして向かう背後には私の勝利としてたくさんの歓声が流れていましたが、 私は気にもしませんでした。
私が控え室の前に行くとそこには私と瓜二つの自分が。
いや、 バルバトスさんがいました。
「ククク、 オレを操作するとはやるじゃないか人間。 さすがはお前の編み出した、 お前がいる現実ではスワンプマンというんだったか」
スワンプマンとはわかりやすく言うと、 自分がもう一人いた場合それは自分と言えるのかという思考実験です。
現代に戻る方法は簡単です、 そのルールを変えればいいのです。
『汝、 この世界の設定の変更を自由とする。 そして神の名の持つ者は一度だけ空間の移動を許可する。』
こういう風に。
このようにして私は一度現代に戻り、 普段から見ていた哲学書を参考にもう一つの体を作り上げたのです。
そしてその体にバルバトスさんを入れたのです。
私は現代に戻っている間、 この力は使いこなせないと感じたのです。
なのでこのような行動に出ました。
「……バルバトスさんの力を使うにはこうするしかなかった。 ルールを破るしかなかった、 という方法しかありませんでした」
私は殴られる覚悟で言いました。
でもバルバトスさんはその事を聞くなり微笑み、 私の頭に手を置きました。
「我儘野郎になった気分はどうだ、 酷くムカついただろう?」
まるで分っていたかのように……
私は頭をコツンと殴り笑顔で口を開きます。
「はい、 すっごく気持ち悪くてムカつきました‼︎」
私の答えにバルバトスはさんは置いていた手を離し、 今度は肩を組み
「面白いやつだ、 興味が尽きん。 一度現代に帰してやるから暇な時はオレの元に来い」
とまさかの弟子入りの話を持ち掛けてきたのです。
「それって……」
「お前を後継者にしてやると言っているのだ、 拒否権はない。 問題なかろう?」
私はその言葉に戸惑いましたが、 折角の機会だと思い私は見習いとして神になる道を選びました。
大会が終わった後、 アルスやレテスに会い事の経緯を話しました。
途中アルスが白目を剥き倒れたこともありましたが、 レテスも驚きもしましたがいつもと変わらずでした。
ただ本物を見た時は手に持っていた物を離していました。
インディエーターの話をした時にはバルバトスさんと同じく肩を組み未成年の私に酒を飲ませようとしてきました。
いつも通りアルスが止めるのかと思っていると意外にもバルバトスさんが止めていたのはいい思い出です。
私に負けたインディエーターはあの大会の後バルバトスさんの雑用係になりました。
そしてその監視役がリンクスさん、 リンクスさんに何か言われた際いつも私に愚痴を言うようになっていました。 私より年下なので休憩時間には勉強を教えたりもしています。
まさか私が教師になってしまうとは。
アルスやレテスも時間が空いた時には必ず来てくれます。
アルスはすぐベッタリとくっ付き、 レテスはバルバトスさんに酒盛りを強要する感じです。
今回の経緯を通して得たことは、 なんでもできて退屈する日常よりこうして仲間とできない事を補ったりする日常の方が楽しいって事を知りました。
本当にチートって嫌ですね、 チーター滅べ!
「チートしなきゃできない事とかあるけどな」
「たとえばなんですか?」
「圧倒的無理ゲー」
〜終〜
読んでくださり誠に感謝申し上げます。
この投稿が初めてなのですが、ここまで読んでくださった方々には感謝しかないです。
感想や評価を頂けたら幸いです。