表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪役令嬢は充実しています。

短い話を書きました。

「ローズ・ドラゴスティア! お前のような尊大で思いやりの欠片もない女など、我が妃にふさわしくない! よってお前との婚約を破棄し、新たにこの初々しくも清楚で可憐なジャスミン・ホワイトを我が婚約者としよう!」


 王宮の夜会会場に、突如として叫び声が響き渡った。


 会場の者が一斉に振り返ると、そこにはこのデーモニウム王国の王太子アルフレッド・デーモニウムと背の低い真っ白なドレスを着た少女が立っていた。

 二人はまるで恋人同士のようにぴったりと寄り添っている。


 その二人と対峙するのは、外国の公爵家の令嬢ローズ・ドラゴスティアだ。

 金色の目に金色の長い波打つ髪がなんともゴージャスな美女だった。

 王子の横にいる黒髪黒目の弱弱しそうな少女とは美の迫力が違った。


「なるほど、確かにホワイトさんは初々しいですわね」


 ローズは笑顔で頷いた。


「アルフレッド様とホワイトさんはお似合いですわ。お幸せにしてください。細々とした婚約破棄の手続き書類はこちらでお祝い代わりに処理しておきますからご心配なさらず」


 ローズは、その豊満な胸をトンと叩いて頼もしくも面倒な婚約破棄の処理を請け負った。


 その場違いにもなんともいえない度量の深さにアルフレッドは唖然としていたが、


「それだ! お前のそういうところが気に入らなっ……」


 と怒鳴りかけたところを、


「皆さま! お聞きになられまして? 私、ローズ・ドラゴスティアはアルフレッド様とホワイトさんの婚約を認めました。…………確かに我が種族には、初々しさというものが欠けておりますゆえ仕方のないことでございますわね。勉強になります」

 

 と、ローズの言葉に遮られた。

 話の途中で、ローズの姿がまぶしい光に包まれたと思うと、次の瞬間に、そこには全身が金色の鱗に覆われたドラゴンがいた。


「今日は外遊でいない王にお伝えください。『竜と人間の縁組は失敗です。でも、物事に失敗はつきものです。人間は失敗を越えて強くなっていくものですね。またいつかお会いしましょう』と。では、さようなら」


 金色のドラゴン(ローズ)は、そう言うと開いていた夜会会場の大きな窓から夜空に向かって羽ばたいた。


 ローズは夜空の中を、自分の国に向かって飛んでいく。

 星が綺麗に瞬いている。

 夜風が自分の体を撫でるのが心地よかった。


「……確かに我が竜人族には『初々しさ』がないわね。たまにの人間との交流は本当に勉強になるわ」


 今回、本当に人間族には気まぐれで婚約を持ちかけた。

 その結果、ローズは充実した人間族との交流を果たしたので、また1000年後ぐらいに人間の国を覗いてみようと思うのだった。

またいつかお会いしましょう(1000年後)

夜空を飛んでいく女の子が書きたくて書きました。

ジャンル設定はこれでいいのか少し考えました。


読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 松本零士氏の「1000年女王」の主題歌が脳内で再生されるw 1000年後、人族は繫栄しているか衰退しているか。 楽しみですねー
[一言] スケールがデカすぎて笑いました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ