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阿紫上敦也の日常  作者: 唯月逆音
1章
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四日目 坂田璃子

◆坂田璃子◆

「この先に美味しいクレープ屋さんができたらしいよ。行ってみない?」

と栞。


私たちは今、絶賛道草を食っているところだ。

私と栞と、敦也、敦也の親友の篠田海稀の4人だ。

なんと栞と海稀は付き合っているというのだからつくづく運命の不思議さには首をひねるばかりだ。


こんな時すら敦也はスマホの中なので、私はこういうときはスマホを片手に道を歩く。


「いいね!行ってみようよ」

と海稀。


「美味しそうだしね。」

と敦也。


あんたは食べないだろうし、美味しいとか思うことあったの。

と密かに驚く。


「じゃあ行ってみるか。」


実際美味しそうなのはそうだ。


「思ったよりも大きそうだね。」


私は普通のクレープをイメージしていたが、その1.5倍くらい大きそうだ。


「確かに大きそうだし、私は海稀と二人で1つ食べようかな。」

と栞。


うぅ二人の仲で火傷しそう。


「じゃあ私はどうしょうかな…。」


一人ではまず食べきれないしな…。


「じゃあ俺が璃子と一緒に食べようか?」

と敦也。


えっスマホから?


「流石に出て食べるからね?」


良かった。スマホが大変なことになるかと思った。


「それでいいの?」

と栞。


「だってそうしなきゃ璃子がクレープ食べれないでしょ?すごい食べたそうにしてるし。」


なんでそこまでわかるの?


どてっ。

なんか不穏な音がしたぞ。


「いてててて。久しぶりに出ようとしたら着地ミスった。」


そこにはおおよそ敦也と思われる人がいた。

身長は180cmくらいで、青髪、赤目だ。

どこかで見たことあると思ったけど、気のせいか。


「出てきたの久しぶりだね。」

と海稀。


あれ?みんな見たことある感じ?


「ともかくクレープ食べようよ。そのために出てきたんだし。」


忘れてた。


「苺のやつとチョコバナナのやつお願いします。」


普通に気になるから聞いてみよう。


「ねぇ、スマホに出入りしてるのなんかの能力なの?」


「そうだよ。」


「自分の体を好きなふうに作り変えるっていう能力だよ。レベル4だね。」


スマホの中も自分の体判定なの?


「そうみたいだね。あっ、きたきた。美味しそうだね。」


ホントだ。


「これ美味しいね。」


「そうだね」


こともなげに同じもの食べるなお前ら。

そう思いつつ私達の分を食べてみる。


「あ、これ美味しい。」


「そうなの?」


横から顔を出した敦也がパクっとクレープを食べる。


こいつ表情一つ変えずに私の食べかけ食べたぞ。

どうしよう食べかけは私食べにくいんだけど


「あ、ごめんもしかして気にしてた?」

と敦也。


分かるならするなや、と思いつつやけになって敦也の食べさしを食べる。


「大丈夫?顔赤いよ?」

と栞。


うるさいっ、私は男慣れ全然してないんだよっ!

と思ってたら敦也がニヤニヤしながらこっちを見てた。


「何っ?敦也なんかあるのっ!」

と聞くと、


「いや、照れてる璃子がかわいいなと思って。」


か、かわっ…!


「そんなこと簡単に言ったらだめでしょっ!」


「いや、璃子にしか言わないよ?」


「それはそれでだめなのっ!」


こいつ…!


「ねぇ栞、あの二人仲良すぎない?」


「私も思ってたとこ。」


頭が真っ白になってしまう。


ギロッと敦也を睨むと悲しそうな目で足元を見ていた。


「どうかしたの?」

と、心配になって聞くと


「こんな日常が続けばいいのにね…。」

と言った。


なんだろうと思ったが敦也はスマホに戻り、暗い話を払拭するように、


「別にいいけど璃子、男慣れしなさすぎじゃない?」

と言ってきた。


「うるさいな、もう。」


このあと敦也のさっきの暗い顔の意味を理解することは、このときの私が知る由もなかった。


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