2話 インタホン
※ 本作品は他作品からの続きなど内容連動しています。他作品は後書きを参照してください。
私はインターネット上では、絶対に個人情報を書くような事はしない。ましてや、自分の住所など書くような事は絶対にしてないはずだった。でも、目の前のメールには、私の住所が番地まで書かれていた。私は怖くなって、メールのウィンドウを消すと、トイレに駆け込んだ。吐き気を覚えたからだ。ネオさんのメールの内容が、未だに信じられなかった事でショックを受けたこともあるが、実は私は妊娠している・・・
妊娠していることは、夫には内緒だった。私自体、妊娠しているということを未だに半信半疑な状況である。子どもが嫌いというわけではなかったが、まさか自分が妊娠するなんて、思ってもみなかった。結婚したのも、家庭を築きたかったわけではなかった。世間体があるからだ。
私は、世間体に対して敏感である。夫や親戚、近所の前ではいい妻を演じ、友人たちの間ではいい人を演じる。でも、演じ続けるのは疲れることでもある。だから、私は一人の時間を大切にしているのである。インターネットは、匿名の世界だからこそ、私の唯一の憩いの場であった・・・・
でも、今は違う。
メールの送り主のネオさん・・・今までは、匿名だからこそ、素の自分を出せた。だから、いろんな事も相談できた。それなのに・・・
今とはなっては、ネオ=現実の男として、私の中で嫌なリアリティを形成していた。
ピンポーン
インタホンが鳴った。
私はぎくりとした。まさかとは思ったが、おそるおそる近づいて、そっと覗き窓から覗いてみる。郵便局員さんのようだった。
私は、がちゃりとドアを開け、郵便物を受け取った。
それは・・・・
差出人ネオという封筒だった・・・
私は、鍵を閉めることも忘れ、玄関先でその封筒の中身を無我夢中で開いてみた。
「つーかまえた」
手紙には、それだけ書かれていた・・・・
突然背後に人の気配がして、私の意識は遠のいた・・・・
つづく・・・
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『とあるチャットの事件簿』
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