1話 メール
※ 本作品は他作品からの続きなど内容連動しています。他作品は後書きを参照してください。
「それじゃぁ、行ってくる」
今日も夫は、いつものように無表情で出かける。仕事に出かけるときも、休日に出かけるときも、同じ表情。私たち夫婦も、結婚して1ヶ月が経とうとしている。世間でいう、新婚というもので、一般的に見ればすごく楽しい時期なのだろう。
付き合ってる頃から、夫は私にあまり関心がないようだった。月並みのデートを重ね、月並みの言葉を交わし、月並みな結婚式を挙げた。夫婦になってからも、工場の流れ作業のように、夫を仕事に送りだし、家事をやって、夫を迎える。それの繰り返し作業。
でも、それが、不満というわけではない。私は元来、束縛されるのが嫌いな性質で、男性と付き合うということは、あまりしなかった。言い寄ってくる男は多くいたけど、実際、デートをすると、下心ばかり見えて付き合う気にはなれなかった。
私は一人の時間をすごく大切にしている。一人の時間が好きといっても、一人で過ごすのが好きというわけではない。インターネットにはまっているのが、その証拠だと自分で思う。メールでパソコンの向こう側の友達と語り合う時間。チャットでいろんな人たちと、おかしな話をしてる時間。そうした時間が私にとって、かけがえのない時間だ。
今日も、夫を送り出した後に家事をあらかた済ませてパソコンへと向かう。パソコンの起動画面が終わると、いつものように受信されたメールを見る。
「From:neo@yahoo.co.jp
To:oyatu@yahoo.co.jp
件名:おはよう♪
今日も、天気がいいね。昨日ね、ランチがめっちゃうまい
店を見つけたんだ、君も行ってみるといいよ」
メールの送り主のネオさんは、メール交換を始めてもう1年にもなる。実際、会った事はないけれど、ものすごく気になる存在でもある。色んな事に詳しくて、私の相談事も親身になって聞いてくれる。メールだけの間柄ってすごく気楽。束縛を嫌う私にとっては、メール友達のネオさんは、夫以上にいろいろな事を話せるようになっていた。メールの続きを読む。
「おやつさんってさ、実は僕の近所に住んでるって知ってた?住所も知ってるよ・・・」
え?近所?住所をなんで知ってるの?ネオさん・・・・・
つづく・・・
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『とあるチャットの事件簿』
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