プロローグ 寝息
今回、なろうでの恋愛は初めてです。非なろうというヤツですかね？本当はきちんと恋愛の項目で載せたかったのですが、なんせ項目に悲恋しかない。悲恋の予定もないが、ハッピーエンドも求めてない。あと不定期ですがよろしくです！
僕と彼女の間には何が。
────あるんだろう？
ここ最近、顔を突き合わすだけで、笑顔を見せあったことはあったかな？
笑いに溢れた会話。
笑いが絶えない楽しい食事。
笑いが零れる柔らかい日差しの下の散歩。
思いあたるものをだらだらと脳の中で書き上げてみた。
なかった──。
最近そのようなことをしたことがない。
互いが部屋に、横にいるだけで、ヒシヒシと冷たい空気が流れていく。
まともな会話をしたのはいつだろうか。
……考えて見たがやはり、思い当たらない。
なんてことだ。
と思い、僕は隣にいる彼女にキスをした。
軽いキスで済ますはずがそんなことで終わることではなかった。
気がつくと二人、ベッドの上で裸で寄り添っていた。
そりゃあ、そうだろう。
会えば互いの存在意義を肌を擦り合わすことで、確認をしていたんだ。
──同じ部屋にいるのに。
二人が唯一、与えられる癒やしの行為だった。
ハハハアホウだ。
まるで動物ではないか。
やっていることが生殖行為のみとは嘆かわしい。
そう考えながら、腕に抱く身体を引き寄せ、眼の前で寝つく顔をマジマジと眺めた。
綺麗な顔。
睫毛は閉じていることでより一層長さを感じさせ、鼻筋が綺麗に真ん中に流れている。
当たり前か、と考えたあとくすりと笑みが零れた。
寝息を立てる唇は少し荒れてはいるものの、可愛らしい。
何を思ったのか舌で舐めてみたくなった。
ペロリと舌でなぞると、彼女は起きた。
「もう、なあに？」
彼女は僕の頬を撫で、クスッと妖艶に微笑した。
本当に綺麗だった。
いつもなら肌を重ねた後、背を向けて寝るのだが今日はそんなことをしたくないと思った。
彼女の手を取ると唇同様、荒れているのが分かる。手を握り、眼前にある目玉を覗き込んだ。
瞳の輪郭は淡い茶色、晄を吸い込み僕を捉えた栗色が鮮やかで綺麗で。
「だからなんなの」
「いや、瞳。こんな色だったんだと」
「……手離して、寝るから」
眉間にしわ寄せ離れたがる彼女の手を強く、握り返した。
「今日はこのまま会話をしてみない？」
「えー。何、本当にどうしたの」
眠たそうな眼を凝らし、彼女が僕を覘く。僕はなぜかそんな彼女が愛おしくなった。
うつらうつらと眼を瞑る彼女の鼻先に、キスをした。
「もう！ 怒るよ」
「怒られたい」
「ハァ、ほんとへん」
文句言う彼女の喉笛に歯を立てると優しい吐息が返ってくる。
そんな仕草も珍しく可愛くて、本当に歯を立てた。
「もう！」
頭を軽く叩く彼女に改めて名を訊ね、呼ぶ。
よくよく考えるとこんな気持ちで名を呼ぶのも久しい気がしてきた。彼女には悪いが僕独りで気持ちが先走っている。
淡い桜の花びらのような。
「花見がしたい」
「もうさっきからなんあの？ 眠ぃの」
欠伸をする彼女の唇を食むも、眠気の方が勝っていたらしい。
彼女は静かに寝息を立てた。
思い返すとサクラの季節はとうに過ぎていた。
クスッ、何でだろう？
いきなり桜が見たくなったのは彼女の温もりに、溺れた所為かな。
確かに気味悪いと言われればそれまでだ。
ここ最近、いや、もう何年も互いの体温は求めるものの、こんなことするのは本当に久しい。
こんな風に会話を求めることもしたことがない。優しく豹変した彼氏を不気味に思うだろうか。
そんなことを考えた。
眼が覚めたら……愛想を尽かし去って行くかな？
僕は何を考えているか分からない彼女を腕に留め、宝物を抱くようにそぅうと大切に仕舞いこんだ。
ご拝読、お付き合いありがとうございます。
あらすじでも前書きにも言った通り「恋愛」にしたかったぁ。皆さまの反応を窺いたい私は不定期になると分かって投稿。を。
ごめんなさい。下記にある感想、ポイント、お待ちしております。
