初対面
きっと、真っ白くて、とっても広くて、キラキラしていて、天国みたいな場所なのだろうなぁと思っていました。はい。実際は青くて広いギラギラした場所ですね。お城というのは。なんか怖いんですけど。
「キョロキョロしないで下さい、みっともないですよ。」
だって知らないところに行ったらキョロキョロするでしょ。しかもお城だよ?気になるでしょ。
あ、すごい騎士さんかな?かっこいい。本物はピシッとしてるね。住んでいる建物は同じだけど姿見られたら殺されるからなぁ。誰に?王に?まあ殺されないかもだけど良くないことは確かだもんなぁ。
初めてこんなに視線を感じた。
貴族たちも沢山いる。
こわい。ううん。怖くなんてないさ。私はきっと寝ぼけているのさ。これは夢。これは夢。
あれ?本当に夢なのかな?
頬をつねると痛かった。
「不審な行動は謹んで下さい」
はーい。
向こうから明らかに私を迎えに来た人が来る。目が鋭くて顔が怖い。なんか偉そう。
「姫様でございますね?」
「はい。こちらが姫様でございます。それでは私は失礼致します。」
えー!置いて行かないでよ侍女さん!狼の群れの中にいたいけな羊を置いていくの?食べられちゃうよ?それでも人間ですか?
「初めまして。私、トレーヌ王国宰相を務めておりますニトロと申します。陛下の元までご案内致します。」
偉い人でした。
案内された場所はひどく大きな扉の前だった。そんなに陛下って背高いの?
「陛下。姫君をお連れしました。こちらで私は失礼します。」
みなさん失礼しないでよ。え?私どうすればいいの?
困った顔をした私を一瞥して宰相さんは帰った。
陛下と呼ばれた男性は当たり前だけど初対面だった。父だなんて思えない。威厳のある冷たい目をした人。
「お前にはカナリウム王国へ嫁いでもらう」
いきなりの急展開に混乱した頭の中で、初めて会った娘に対する第一声が事務的な内容なんだなぁと思った。