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夏の1日

今日も今日とて、教会を作る。

一週間ぶりの自由な日だ。

何も気にせず楽しまなければ損である。


最近の神獣のじいちゃんは周りを全く気にしなくなってしまった。

今日だって、隣の氷凍龍に喧嘩を売りにいっている。

本気で暴れることをしたいんだろう。

ユーリンいわく、昔、神獣のじいちゃんはストレスが溜まる度に、森や平野を結構好き勝手に破壊していたそうだ。

私を気にして最近は、そういうことは余りしていないのだろうが、やはり多少のストレスは溜まり続けていたようだ。

私に迷惑がかからないなら、案外破壊活動してくれてもいいけどね。


神獣達が何をしているか想像しながら、レンガを積んでいく。

一週間前から教会の状態は全く変わっておらず、最も外側の城壁が完成したところで止まっている。


外側の城壁が完成したので、中よりも先に外の完成を目指す。

教会(城)と言えば、そうお堀だ。


というわけで、早速堀作りをはじめる。

土魔法は使わず、スコップで地道に掘っていく。

土魔法で一瞬で完成してしまっては何も面白くない。

ここはしんどくてもスコップで掘る。

しかし、体力のない私にはやっぱりしんどい。




ここはアルセイト平野の最南端。神獣の森へと繋がる唯一の場所だ。

氷凍龍の雪山、暴風龍の大森林、神獣の森、そして2つの人間国家に囲まれた巨大な平野。中央をアルセル河が分断し、神獣の森の池へと絶えず水を送っている。


そのアルセル河の正面に教会(製作中)は位置している。


臨時の水路を作り、水を無理やり別の場所に流させることで、河の中央に、教会がつくれるようにした。

堀の大きさを決め浅く掘る。

堀の範囲が決定したところで、深さを決めるべく、一ヶ所を堀れるだけ深く堀り続ける。


なかなか底が見えない。

5メートル程の深さまで一部掘り進めたが、岩に当たることもなく、土の層が変わることもなく、簡単に掘り進められる。



日が完全に登ったところで、一時中断する。


「アッツ!暑い暑いあつーい!」


夏の炎天下の中の重労働は本当にしんどい。

木陰もない、雲もない。

あまつさえ、レンガは熱を吸収し、とてつもない熱気を放っている。

触れたら火傷しそうだ。

これの改善は課題のひとつになりそうだ。

しかし、これで目玉焼きでも作れたら最高かもしれない。


教会作りは一時休憩で、神獣の喧嘩でも観戦しにいこうと思う。




「あー。涼しい~。」

さすが雪山。

真夏の炎天下の下でも、雪が所々に残っており、山頂付近は依然雪が積もったままだ。


中腹の方で爆発が見えたので、そこを目指して、飛んで向かう。


爆発の手前まで来てみると、器用に酒樽を掴み上品そうに飲んでいる氷凍龍と顔を突っ込み、犬のように酒を飲む神獣を見つけた。

いったいどこでそんなものを見つけたのやら。


「喧嘩売りに行ったんじゃなかったんかい。」


怪獣大乱闘でも見れるかもと期待していただけに少し残念だった。

二人の足元には巨大なマンモスが肉塊にされて横たわっている。おそらく邪魔だと、叩き潰されたのだろう。

ちなみにマンモスの肉はとても美味しい。肉汁滴り、油も多く癖もない。最高の肉だ。味なしでも食える。

貰えるかあとで頼んでみよ。


近づいたところで、二人の話し声が聞こえたので、少し聞き耳をたててみる。


「毎度毎度どこからこんなにも手にいれとるんじゃ。」

「それは企業秘密よ。」

「まあ、飲めるだけどうでもいいかの。にしても、マンモスの肉はうまいのう。少しぐらいくれんかの?」

「ダメよ。これは私の地域(ナワバリ)のものなんだから。よっぽどじゃないとあげないよ。」

「少しぐらいエエじゃないかのー。」

「ダーメ。」

マンモスの肉はもらえなさそうだ。

「そんなことよりものう、最近、ヒナが冷たいんじゃよ。」

「きっと嫌われてるのよ。ざまぁっ!」

「ワシ、嫌…われて…る――の?。」

「そうよ。ヒナちゃんだってお年頃なんだから、ベタベタしてくるジジイなんてうざいだけよ。」

「そ、そう…なのか。」

神獣の心はノックダウン寸前だろう。いつもの誇らしさが微塵もない。

「ええそうよ。いくらあなたでも、女の子から見ればただのジジイよ。きっと臭いとでも思われているわ。」

今ので神獣の心は完全に折れただろう。顔面蒼白で、臭い、ワシクサイ、クサイのか…。なんて呟いている。酔いのせいもあるのだろうが、見ていられない。

「あんたもいずれ嫌われ者よ。ウフフフ。」

「お、お主ほどではないよな、まだそんな嫌われてないよのう?」

意外と大丈夫だったのかもしれない。おもいっきりディスリだした。

「あなた、もしかしてディスってる?」

「いや。そんなことしてなどおらぬぞ。ただ、お主ほど嫌われているのか、知りたくての……。お主ほど嫌われていればワシでは生きていけんしのう。」

案外ただの天然かもしれない。

「やっぱり馬鹿にしてるでしょ!私だって、嫌われたくて嫌われてんじゃないのよ!みんなして、私を冷たい奴、迷惑な奴、かわいそうな奴みたいな目で見やがって…。」

さっきまでの小馬鹿にしたいたような感じがなくなり、泣きながら怒鳴っていらっしゃる。

「ワシは違うぞい。お主のことは夏場に心地よい素晴らしい友じゃと思っておる。大切な者じゃ。」

「パ、パルだリスよ、そんな風に思ってくれて――。ってなるわけないでしょ!私は冷房器具じゃないのよ!馬鹿にするなこのジジイ!」

氷凍龍の巨体を活かして、押し潰すように乗り掛かっている。

「な、何をするか、この冷徹ボッチめ!」

「私をボッチていうな!私は陽キャの極みよ。」

「すぐにきれるだけの万年ボッチが陽キャなわけあるかい、この陰キャボッチの嫌われもの!」

「な、何よー!」

ここからは、小学生以下の罵り合いだった。

仮にも神獣と氷凍龍がするような争いじゃない。

神獣も喧嘩を売りに行くといったが……。なんか違う。


――来なけりゃ良かった。


いつもは冷静で、相手を小馬鹿にする氷凍龍もボッチを指摘されるとこうだ。

中身は共に小学生かもしれない

見つからないよう、そそくさと帰る。

もしかすると、毎回喧嘩を売りに行くと言ってはこんなことをしているのかもしれない。



馬鹿二人からとっとと離れ、結局夕方まではユーリンと過ごすことにした。

話してみたら、ばか笑いされていた。

あの氷凍龍はお姉さまぶってる癖に中身はガキだと予想通りのコメントを頂けた。私もそう思う。あの二人の中身はきっと子供だ。間違いない。

ユーリンも少し臭いと感じていたらしいのは内緒にしておく。

私は余り感じないけどね。でも、少し鬱陶しいと思ったことはあったが、あまりにもかわいそうなので、口にするのはやめておく。


そのまま、神獣がフラフラしながら帰ってくるまで、その話題で盛り上がった。

教会作りは進まなかったが、ある意味楽しい1日を過ごせた。











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