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異世界二日目!

巨木の隙間から日の光がまばらに差し込み、神獣の森には神々しさが漂っている。

一筋の光が浮島だけを煌々と照らす。

暖かい光に照らされ、眠気が覚めてきた。

ヒナは神獣を起こさないようにそっと起きる。

いつの間にか浮島にいたので、今も強い光に照らされてる。


 「眩し……。」

「お、起きた?」

「お、おはよう……ございます。」


いつからいたのか、妖精女王が眠そうに欠伸している。


 「ウンウン。おはよう、おはよう。」

「ん?フッ、グ…フガッ。フッ、んー。グー。」


だらしないいびきをかいて、神獣はまだ爆睡している。

日も大分上ってきており、時間で言うともう昼頃だ。


「おい。起きろ、ジジイ!」


 良い音と共に、妖精女王が神獣をぶっ叩く。あの小さな体のどこにそんな力があるのか……。

いまだキョロキョロして寝惚けている神獣にもう一発ビンタが入る。


「い、痛いわい!起きとる起きとるから!」


一発ですまなかったようだ。

妖精女王のお陰ですっかり目は覚めたらしく、起きたヒナを見て驚いている。


「おー。もう起きておったのか。」

「お、おはようございます。」

「うむ。おはよう。体の調子はどうじゃ?」

「だ、大丈夫。元気、です。」


大丈夫といったそばから、ヒナのお腹が控えめに鳴る。

顔を真っ赤にして、隠そうとしているが、神獣達の耳にもしっかりと聞こえていた。


「かわええの~。」

「――ロリコン。」


妖精女王が鼻の下を伸ばしてデレデレしている神獣を一蹴する。


「食べ物…か。」


神獣の森で料理が出るようなことはない。適当に狩ってきた肉を食べるぐらいだ。

肉意外じゃ、野草と果物ぐらいしかない。


「果物なら、いけるかな?」

「焼いた肉もいけるんじゃないかの。」

「じゃあ、肉集めから始めないとね。あ、そうだ、ヒナちゃん取りあえず、これあげる。」


ヒナはもらったリンゴをまじまじと見る。

見た目はリンゴ。真っ赤に染まっており、艶がある。見るからに美味しそうなリンゴだ。

しかし、サイズがおかしい。30cmぐらいある気がする。

美味しそうでお腹もすいていたので、気にせず食べることにした。

リンゴだ。うん、リンゴ。

味もまんまリンゴだった。皮ごと気にせず夢中で食べる。


「かわええの。」


もう、突っ込むのも面倒になり、妖精女王の中で神獣は完全にロリコンに成り下がった。


「で、ほら。肉取ってくるんでしょ。とっとと行ってこい。」

「えー。別にお主でもよいではないか。」

「うるさい。行け!」


ロリコンにはとっとと退場してもらう。

しぶしぶ出ていく神獣を蹴っ飛ばして追い出す。チラチラ振り返って 、ウザイので、こちらから離れることにした。


「よし!ロリコンジジイが出ていった所で、女の子同士の話し合いと行きましょう!」


まあ、まずは自分を知ってもらい相手を知ることから。


「じゃあ、ヒナちゃん。『ステータスチェック』って念じてみて。」


 声に出して唱えているのがなんとも可愛らしい。


 言われた通り唱えると、ヒナの正面に半透明の画面が出現し、ヒナの姿、名前、年齢、所有能力(スキル)などが表示される。

ヒナも日本でゲームぐらいはしたことがあるので、初めは驚いたが、すぐに何が書いてあるのかぐらいはおおよそながらにわかった。


 「どう?」

「ど、どうって…こんな感じ。」


妖精さんに見えるような位置まで移動し、覗けるようにする。


「あー。ごめんね。覗かせようとしてくれるのはありがたいんだけど、これ他人には見えないようになってるんだよね。」


不思議そうな顔でヒナが画面を指差しているが、妖精からは、空中をヒナが指差しているようにしか、見えない。


「ちょっと、ごめんね。」


何かに覗かれているかのような、むず痒さが背筋を巡るが、すぐに慣れて、気にならなくなった。

妖精女王がヒナを鑑定する。


"ラプラス干渉権限Lv1"

種族;人間

名前;ヒナ

年齢;6

種族能力(スピーススキル)

『古代ラセラウス語』

固有能力(ユニークスキル)

『瞬間記憶』『魅了眼(ヒキツケルモノ)』『変形』『神能力解放』

加護

『神獣の加護』


固有能力(ユニークスキル)が意外と多い。異世界人というのも影響しているのかもしれない。


固有能力(ユニークスキル)は個の意識を持つものに対し、先天的または後天的に、各個人の特性に合わせ、増えていく。持って生まれない人の方が多い。勝手に減ったり、統合されたりすることもあるので、ちょくちょく自分でチェックしなければならない。


にしても、あのジジイ!

ヒナちゃんに勝手に加護なんかつけやがって。

あとでぶっ飛ばしてやろうか。一瞬物騒なことを考えたが、それはやめにした。

――自分もなんかつけたくなったし。


まあ、神獣をボコるのはいずれかの機会に。


干渉権限を解き、一瞬の隙をついてヒナの口にキスする。

小さくふっくらした唇は見た目以上に柔らかで、思いっきり吸い付きたくなった。

舌を覗かせ、口をぬぐう。


――い、いかん。これは癖になりかねない。

神獣にロリコンと言えないかもしれない。

驚いているのか、何をされたのか理解していないのか、ヒナちゃんは呆然としている。


呆然としつつもお腹だけは自己アピールをやめないので、リンゴをひとつ渡しといてやる。

ぼうっとしながら、おぼつかない感じでリンゴを食べている。見ていて器用だと思う。

食べ終わり、我に戻ってきたヒナちゃんと早速質問会を始める。


まずこの世界について、理解できなさそうなことも含め、一通り説明する。

この世界の名はラセラリウス。

魔法と武力がものをいわす世界。

私の名前はユーリン・ユフ・ボルニシカ。妖精の女王をしている。

ここは神獣の森で、神獣が君臨し、妖精と精霊が管理する森。

この世界には魔法が存在するように、魔物や魔獣、聖獣と呼ばれるものたちがいる。おそらくヒナちゃんのいた日本にはいないだろう。

人間の国もあり、魔族の国もある。

昔出会った日本人の話から想像すると、文明のレベルは日本より低いだろう。

基本はこんなものだ。ヒナちゃんの頭に?マークが浮かび出したのでこの世界の話はここらへんにしておく。

詳しいことはまた今度にする。


立場交代し、ヒナちゃんからの話を聞く。日本については少し興味があった。異世界人で最も割合が高いのが日本人なのだ。この世界と何か繋がりがあっても何らおかしくない。


ヒナちゃんの話をまとめてみると、ヒナは小さい頃に親に捨てられ、施設で育った。ヒナという名前も、そこでつけてもらったそうだ。

施設の庭を歩いていたら、突然日の光が強くなり、気づいたら、この森を歩いていたそうだ。


おそらくだが、ヒナちゃんの見た光は日の光ではなく、魔力災害か何かによるものだろう。

取り敢えず、ヒナちゃんは迷い人で、返る場所はこの世界にはないということだ。


次に、日本について。しかし、聞いても新しくわかっことはなかった。自動車という鉄の塊が走るとか、薄い板の中で人が動いたり。これは多分"テレビ"だろう。他は、ご飯が美味しいとか、◯◯スタイルという芸人が面白いとか、理科の教科書は面白いとか、そういうのだった。


大抵はユーリンの知っていることだった。さすがに◯◯スタイルとかは全然知らなかったが、余り重要ではないのは確かだ。


ヒナちゃんについて知れただけでも、儲けものだろう。

その頃神獣は、美味しい奴がいないか真剣に獲物を探し続けていた。






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