空襲
豚コレラの発症は、いつになったら終息するのか、まったく見通しが立たない。
なぜ、こうなるのか?
病原体は空からドローンでまかれている。
養豚場は、市街地や住宅地からかなり離れたところにあり、
そこへ「夜明け前」に、一種の「病原体爆弾」を装着したドローンが、
数機飛来する。
「爆弾」のつくりはきわめて簡素で、
ふたのないペットボトルや、口が開けられた飲料缶の中に、
液体に混ぜられた病原体が生息している。
ドローンは精密にコントロールされ、定められた目標に
寸分の誤差もなく飛行。
養豚場の上に着くと、ボトルや缶が自動的に落下して、
場内を汚染する。
夜明け前の暗い時間、それも養豚場の周辺なので、
起きている人たちはいない。
ドローンは、テレビやラジオの電波にノイズをもたらさないようにできていて、
仮に、まだ暗い時間に視聴している人がいた場合でも、
「痕跡」は残らない。
まだ先のことだが、冬場になると、
養鶏場に「鳥インフルエンザ」ウィルスが、
空から落とされることが予測される。
数機のドローンで数ヵ所に落下させると、
大半が発症効果をもたらす。
この技術を使えば、例えば、住宅地に何かの病原体を落下させることは可能である。
ただし、住宅が集まっている地域では、
ドローンは発見されなくとも、
ボトルや缶が目撃される可能性が高い。
都市部の住宅地では、暗い時間に起きている人たちが必ずいる。
空から病原体を落下させることは、太平洋戦争中の中国で、日本軍によって実際に行われていた。
アメリカ軍はその情報を得ており、米本土に飛来した「風船爆弾」が、
いわゆる細菌爆弾かと恐れた。
実態は爆薬だけが装着されていて、細菌爆弾ではなかった。
ドローンに話を戻すが、警察庁や国交省は情報を収集している。
ただし、どのような勢力が「病原体爆弾」を製造・投下しているかについては、
いまだに不明。
夏場は暑さで豚もバテる。
豚コレラを発症しやすい状態になるのは明らかで、
闇の勢力が「次の目標」への段取りを進めているのは、
まちがいない。