とあるカップルの年越し蕎麦
年越し蕎麦を茹でながら、紅白でもガキ使でもなく、ジャニーズのカウントダウンを流している私に、彼は文句も言わずにテレビを眺めていた。
炬燵に潜り込んで、パーカーを羽織りながらみかんを剥いてるが、そんなんで蕎麦が食べられるのか。
「おもちいるー?」
「海老のかき揚げがいい」
「ワガママだなぁ」
去年はおもちじゃなきゃ嫌だって言っていたのに、と思いながら冷蔵庫を漁る。
年末の買い物で冷蔵庫は異常に食料品で溢れ返っていて、しばらく買い物行かなくていいなぁ、と思わせた。
海老のかき揚げを二つ取り出して、汁でぐずぐずにするべきか聞いてみたが、やめろ、とバッサリ切り捨てられる。
私はぐずぐずになったのも、美味しいと思う。
丼に蕎麦の麺とお汁をぶち込んで、彼リクエストの海老のかき揚げを置く。
はい、完成。
ぶっちゃけ、晩ご飯も結構食べたので全部食べられるか不安なのだが。
「あんがとー」
「どういたしましてー」
彼と色違いのパーカーを羽織って、私も炬燵に潜り込む。
ぬくぬく、と言いながら箸を手に取る。
テレビの中では相変わらず、若々しく瑞々しい年齢を感じさない男の子達が歌っていた。
何で毎年これだけは必ず見るのって、イケメンは目の保養になるから以外の何ものでもない。
彼は興味なさげに蕎麦を啜っているが、今更なので私も何も言わずにテレビを見ながら、蕎麦を啜った。
「あ、今年もお世話になりました」
「こちらこそ、来年もよろしくね」
「宜しくな」




