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ローズフォース  作者: DA☆
Procedure 5 ブレイズ
85/140

5-07

 それからまた三日が経った。会話はなく、毎日まずい食事が続いた。


 「てーきしゅーうでーす。ぜんいんしゅうごーぅ」


 家中にサンフラワーのヒマワリ声が響き渡ったのは、真夜中だった。枕もとの時計を見ると……午前四時。


 この四人暮らしは、午前七時起床、ゆきのに至っては六時起床の、実に規則正しい生活だ。当然夜更かしなどしている余裕はなく、日付が変わる頃にはみな寝ている。生前は午後起きるのが当たり前だったさおりはもう少し起きていないと落ち着かないようだが、テレビ以外の娯楽がないのだからしかたない。せいぜい一時がいいとこだ。


 眠い目をこすりこすりパジャマのまんまどうにか起き上がる。他の三人もさっきの声に叩き起こされたらしく、ぞろぞろと寝ぼけまなこで起き出してきた。


 「いまなんじ???」


 あぁ、めぐみの声が全部ひらがなだ。


 「朝の四時」


 「あさのよじってなに? ゆうがたのよじしかしらないよぅ!」


 煌々と灯るスクリーンがリビングを照らし出す。目を細めてもなお眩しくて涙が出てくる。


 「そろいましたかー」


 「でけぇ声出すんじゃねぇよ、頭に響く……こんな夜更けに何のマネだ?」


 「異星人は時と場合を選びませんよ」そりゃ、わかってるけど。「一刻を争いますので、さっさとバルコニーに出て、全員変身してください」


 「こんな時間だぜ。あたしだけ行って、ヴァインで一気に片を付けるよ」


 会話さえ成立しない状態で集団行動したくなかったこともあるが、その言葉は本音でもあった。ローズフォースは四人のチームで動くというのが建前だが、他の三人が学校や会社にいるとどうしても身動きできない時間帯が生まれる。だからそんなときは、まずあたしが独りで戦闘に赴くという申し合わせができている。始業時間に差し障りそうな今、その運用にして悪い理由はない。


 それに、ヴァインがあると能力差が広がり過ぎることをあたしは知っている。毎日トレーニングに明け暮れていた頃のように連係するのは難しいだろうと感じていた。あたしひとりで、イエローローズを超える攻撃力を有し、ピンクローズを超える反応速度を有し、それから、……。


 しかし、サンフラワーは申し出を認めてくれなかった。


 「今回はダメです。全員で出てください」


 「なんで」


 「タイムリミットがあるんです」


 「リミット? 爆発でもすんのか」


 サンフラワーはひとつ咳払いして事務的に説明を始めた。


 「今回の敵は、『クラム』。名前どおり二枚貝のような形状をしています。大きさはあなた方の背丈より少し大きいほどですが、ある小型の異星人が数千人単位で乗り込んでいる宇宙船です。まぁ、我々の静止を聞かないという時点で、一人だろうと千人だろうと捕まえることには変わりありません。


 で、この宇宙船、柔らかい土壌なら穴を掘って潜る能力を持っているんです。いったん地下に潜られたら事後の対応が恐ろしく面倒になることは、ロウシールドの理屈を考えていただければすぐわかると思います。


 ですから、ヌガーのように、ロウシールドがない状態で接地させることは許されません。その瞬間までに捕縛するか、ロウシールドが発生する地点に誘導しなければなりません。


 クラムは攻撃力をほとんど持ちませんが、重力で落下してくることに加えて自立した機動力を有しています。彼らは自らの意志であなた方の作る防衛線を突破し、可能な限り有利な場所に着地しようとするに違いありません。


 つまり、彼らの接地がタイムリミットです。実際には勝負はほとんど一瞬でしょう。クラムが大気圏を降下してくる間に作れる防衛線は、量的にも時間的にもわずかなものです。それでも一人よりは四人が確実です。けして逃がすことのないよう、備えを厳重にしておきたいんです。クラム自体はザコですから、四人がかりでうまく追いつめてちゃちゃっと片づけちゃってください」


 「しかたねぇな。……んじゃ行くか」


 渋々、そろってバルコニーに出る。……四月とはいえ、早朝のバルコニーはさすがに寒かった。風がごぅっと吹き抜け、パジャマ一枚しか着ていないあたしたちは首をすくめて縮み上がった。


 「まってー」寒さで目が覚めそうなものだが、めぐみはまだ眠そうな声で言った。「……もういちまい、はおってくる」


 戦闘形態になれば寒さはほとんど感じなくなる。だから重ね着しても防寒の意味はない。寝ぼけてんのかなと思ったが、めぐみはさっさと自室に入ってしまったので、あたしたちは寒風吹きすさぶ中待たなくてはならなかった。


 待つ間にふっとゆきのを見ると、彼女は決まり悪そうに目をそらした。


 ……仕事だ。私情をはさんじゃだめだ。しっかりしろ、あたし。


 めぐみはトレーナーか何か着込んですぐに戻ってきた。あたしはひとつぱんと頬を叩くと、変身のキーワードを発声した。


 「Blooming up, Rose Force!」


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