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ローズフォース  作者: DA☆
Procedure 7 ルーピング~そしてハッピー バースデイ
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7-17

 のぼせ上がったまま、モーリオンはまくしたてる。


 「目的のためにどうすればいいか? 簡単だ。鈴木商事をでかくすればいいのだ。ありとあらゆる流通を乗っ取って、独占企業になればいいのだ。まぁ現実には困難だろうさ、だが目指す価値はある。それを実現するための無限の時間もある!」


 巨大な手に握り込まれるのは相当つらい体勢だったはずだが、めぐみは抑えられずにぷっと吹き出した。


 「何がおかしい?!」見とがめるモーリオン。


 「そっちじゃそういう話になってたんだって、やっとわかったから」唇の端に笑みを浮かべているものの、少しだけ寂しそうに言った。


 もしもクリスタルと鈴木征功が出会わなかったなら。この戦いは起きなかったろうし、今、ローズフォースが存在していたかどうかも怪しい。少なくとも、鈴木商事では、今日もワンマン社長が辣腕を振るっていたに違いないのだ。彼は、こんな醜い要塞には決してならなかった。


 めぐみは言った。「……おじさん、騙されたんだよ」


 「何を言う」モーリオンは自信たっぷりに反駁した。「貴様らがブルーローズに騙されているんだ」


 「……そうだね、どうでもいいよね、誰が誰を騙してるかなんて。でも、いつか世界中の流通を牛耳ろうという人が、今は自由に動くことすらできない姿にされてるなんて、ずいぶん情けない話じゃない?


 あたしには今のあなたが、クリスタルを追いかけて飛んでいけないように、首輪をつけてつなぎ止められただけに見える。───捨てられたのよ、おじさん」


 予想外の言葉だったのか、モーリオンは、ひっ、と喉を鳴らした。


 「あたしたちは、変身したらすぐ飛べるよ。長い時間はいられないけど、宇宙にだって行けちゃう。だから今、みずきお姉ちゃんはクリスタルとだって戦える───」


 尖塔と、掴み挙げる巨大な機械の手との間に沈黙が流れた。モーリオンが、ほんの一瞬、絶句したのだった。だがすぐに、開け放した口をしっかりと閉じて、小刻みに首を横に振り、我を取り戻した。


 「たったっ正しいのはこの俺だ。貴様らがブルーローズに騙されているのだ。いかんいかん、この俺としたことが、ガキの言葉などに惑わされるところだった」


 モーリオンは開き直ってまくし立てた。


 「ふん、かまうものか。確かに今は一兵卒の扱いにされもするがな、大きな目的のためには堪え忍ぶことも必要なのだ。イマドキのガキは我慢が足りなくていかんな!


 意見の食い違いなどいくらでもある。だがそのときには、自分の正しいと思う方を選べばいいのだ。そしてその選択はいつも正しいのだ。俺の意見が正しいに決まっている。ヒヨッコが並べるごたくより、この俺の濃く長く積み上げてきた人生の方が強い力を持つに決まっている」


 「ふぅん、そう、じゃ、確かめてみようよ。あなたとあたしの間にどれだけの差があるのか。


 あたしの、一〇年とちょっとのヒヨッコ人生と、一ヶ月とちょっとの死者の暮らし。あたし、生きてるときも、死んでからも、いろんなこと教えてもらった。とっても感謝してる。


 それから、あなたの七五年プラス、死を投げ捨て踏みにじって得た永遠。誰にも感謝しない、全部自分のものだと思ってるその経験の山!


 あたし、絶対に負けない。あたしの代わりに生きていく人たちのために、あなたが積み上げてきたものをすべて突き崩す! さぁ、経験の差っていったいどういうことなのか、これからたっぷり教えてあげる!」


 めぐみはそう叫ぶと、肩と腕をぐっと突っ張り、自分を掴み上げている手を、力だけでこじ開けにかかった。「くああああああああっ!」気合の入った声とともに、閉じていた指が少しずつ広がっていく。広げようとして指の内側に押し当てる部位が、肘から下腕部に、さらに手のひらに移っていく。


 「ぬうぅっ?!」モーリオンはめぐみを握る力を強めた。だがそれは、めぐみが内側から加える力と相乗して、より強いねじれを生じさせた。指の表面をなす金属板が、めきめきとへしゃげ始める。「何ィ?!」


 「ハァァァァァッ!」


 めぐみは一気に肘を伸ばした。その勢いに耐えられず、巨大な親指と人差し指がまとめてへし折られた。すかさず薔薇飾りからローズアームズを取り出すと、中指から小指までを一気に刺し貫く。彼女は見事脱出に成功したのだ。


 「こしゃくな!」モーリオンとめぐみの攻防が再び始まった。めぐみは、襲い来るロボットアーム群をソードで切り捨て、居並ぶ砲台をハンマーで叩きつぶすやけっぱちのような攻撃を再開した。モーリオンが撒き散らす追尾ミサイルもかいくぐって誘導し、砲台やアームに当てて同士討ちさせる。


 やがてさしもの砲台群も数が減ってくる。───モーリオンが不敵に笑った。「なんだなんだぁ? さっきとやってることが変わらんではないか。そんなものいくらやっても無駄だということがわからんのか! 数を減らせばなんとかなるとでも思っているのか? ヒハハハ、学習能力のないガキめ。何が経験の差だ? あぁ?


 その程度の攻撃では、この要塞はビクともせん! いいかよく見ておけ、……砲台換装!」


 モーリオンが叫ぶと、再び砲台の入れ替えが始まった。碁盤目上の区画が要塞内部に沈み込み、入れ替わりに無傷の砲台が迫り上がってくる。またしても、武装要塞が無傷の状態に戻ろうとしているのだ。


 ……めぐみは、何もせず、その様子をじっと見つめていた。


 「どうした? この要塞の再生能力に声も出ないか?」


 めぐみは首を横に振った。「ううん。これを待ってたの。……これで終わりよ。あなたの(・・・・)」冷たい声で言った。


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