8/31
加奈の方がいいけれど…
放課後。
唯が憂うつそうだ。
「どうしたの?」
「何でもない…」
「気分でも悪くした?」
唯が声を荒げた。
「そりゃそうじゃない!自分の彼氏が、クラスの嫌われものと付き合ってるのよ!」
「じゃあ、付き合うの、やめた方がいい?」
唯がコロッと笑顔になった。
「いいえ。全然、付き合っても構わないわよ」
唯が探るような目になった。
「裕二は加奈と付き合いたくないの?」
僕は、急に加奈のことが好きになった。
「いや、付き合いたい」
「じゃあ、いいじゃない」
ベンチ。
唯が僕を見つめている。
「キスしたい?」
「うん」
「加奈と、どっちとしたい?」
「加奈」
「じゃあ、やめる?」
「いや、したい」
「じゃあ、しよ…」
僕らはキスした。