何が起こっているのか
登校すると、加奈が校門の前にいた。
「おはよう」
加奈が笑顔で言った。
「なんで僕なんかにあいさつするんだよ?」
「別に…」
そのまま加奈はどこかに行ってしまった。
僕は唯を探した。
唯はクラスの側の廊下にいた。
「昨日は楽しかった?」
唯が明るく言った。
「唯!どういうことなんだよ!昨日のあれはなんだったんだ!」
「うーん。なんなんだろう?」
そう言いながら、よろよろと唯がしゃがみ込んだ。
「…どうしたんだ?唯」
「どうしたんだろう?私、なんかおかしい…」
急に唯がシャキッとして立ち上がった。
「あーっ、すっきりした!今日、デートしようよ!」
「えっ?」
「嫌?」
「別に、そんなことないけど…」
放課後。
僕と唯は手をつないで歩いていた。
頭の中は、疑問でぐるぐる…。
「疑問はいろいろあると思うけど、今を楽しもう!」
僕はうなずいた。
ベンチ。
「キスしよ」
唯が言った。
「うん」
僕らはキスした。
「うまくいってるみたいね」
加奈だ。
唯が立ち上がって、言った。
「あなた、裕二のこと、好きなの?」
「別に…」
何かいいかけていた加奈が、急に止まった。
「うっ!」
加奈がうずくまった。
「…わからない。何が本当なのか」
僕は、何故だか、加奈を無性に抱きしめたくなった。
僕は崩れ落ちそうな加奈を抱きしめた。
「大丈夫か?」
「うん…」
僕らはキスした。
「私、帰るね」
抱きしめ合う二人の横を、特に何が起こったというわけでもない表情で、唯がニコニコしながら去っていった。