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榊原研究室  作者: 青砥緑
第三章 秋(前篇)
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奪還作戦 最上と猿君-4

 迷わず飛んだ甲斐あって猿君は空中で克也の体を捕まえることができた。地面に激突する直前になんとか体を入れ替え自分の上に克也を乗せて墜落した。克也を抱いていたので受身も取れない。背中から地面に叩きつけられたが予想していたほど痛くない。

「摩擦熱も熱なのか?」

 しばし呆然と転がっていた猿君はそう呟いた。針生によって支給された新素材の服は墜落の瞬間に背中側の繊維が膨張したらしく固いマットレスのような感触があった。

 天を仰いでいた目に3階の窓からこちらを見下ろす男の姿を捉えて弾かれたように立ち上がり、克也を抱えて走りだす。腕に抱えた克也はやはり意識がない上にひどく熱いが、冷たいよりずっといい。


 その背後で破裂音と叫び声が聞こえてきたが、猿君は振りかえらずに走った。ゲートでは赤桐がバイクに寄りかかって待っていた。猿君と克也を見た途端バイクを離れて車に乗り込みエンジンをかけた。明らかに克也はバイクの後部座席に乗れる状態にない。猿君が後部座席に飛び込んでドアを閉めたか閉めないかのタイミングで赤桐は車を出した。猛スピードで山道を下って行く。

「猿君、克也は?」

 前を向いたまま赤桐が叫んだ。バックミラー越しに見える姿はとても元気には見えない。

「熱がひどい。脱水症状を起こしているかもしれない。意識もない。」

 赤桐はハンドルを一撃叩いた。

「猿君、大木に電話。最寄りの救急病院ナビして。」

 猿君はすぐに電話を取り出して研究室にかけた。


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