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1-1 転生後の目覚め

本日2つ目の投稿です。




「お嬢様。お嬢様。ミリエンヌお嬢様。」


ーー誰?


聞いたことがない声が、すぐ近くで響いている。


ぼんやりとした意識の中で、私は首をかしげた。


誰を呼んでいるの?


どうしてこんなに必死にーー


私を?


重いまぶたを、ゆっくりと持ち上げる。



光がまぶしい。


何度か瞬きを繰り返し、ようやく視界がはっきりしてくる。


そこには、私を取り囲む数人の人影。


「・・・・え?」


思わず声が漏れる。


知らない人たちばかりだ。


コスプレ仲間ーーじゃない。


誰一人として見覚えがない。


ここ、どこ?


私は、会場にいたはず。


一番楽しくて、一番輝く瞬間だったはずなのに。



なのにどうして、寝かされているの?


はっとして、腕を持ち上げる。



「・・・・うそ」


目に入ったのは、薄いネグリジェのような服。


それよりもーー


腕。


短くて、太い。


明らかに、私の腕じゃない。


「なに、これ……」


思わずつぶやく。


心臓が、ドクンと大きく鳴った。


慌てて近くにいたメイド服の女性に声をかける。


「か、鏡……鏡はどこですか?」


支えられながら立ち上がり、ふらつく足で鏡の前へ向かう。


そして――


息が止まった。


そこにいたのは、私じゃない。


丸みを帯びた頬。


くびれのない体。


全体的にふっくらとした、見知らぬ少女。


「……いや」


無意識に、自分の頬に触れる。


柔らかい。


掴める。


揺れる。


「いや、いやいやいや……」


違う。


こんなの、私じゃない。


私は、体型管理だって完璧にしていた。


コスプレに響かないように、食事だって運動だって気をつけていた。


二十歳の、現役女子大生――


――そうだった、はずなのに。


頭が追いつかない。


現実が理解できない。


呆然としていると、勢いよく扉が開いた。


バタン!


「ミリエンヌ!」


駆け寄ってきたのは、ふっくらとした綺麗な女性。


その後ろから、落ち着いた雰囲気のぽっちゃり男性。


「無理をして起きなくてもいいのよ。まだ休んでいなさい。」


「近くに雷が落ちたんだ。医者も無事なのが奇跡だと言っていたんだよ。」


二人は、心配そうに私の顔を覗き込む。


――誰?


それよりも。


「……ミリエンヌって、誰ですか?」


そう口にした瞬間、


二人の表情が固まった。


それから、困惑と焦りが広がっていく。


話を聞く限り、


どうやら私は“ミリエンヌ”というらしい。


そして目の前の二人は、私の両親。


……そんなはず、ない。


医者を呼ばれ、


「一時的な記憶喪失でしょう」と説明されたけれど。


違う。


これは、そんな簡単な話じゃない。


私は――


別人になっている。


そう考えるのが、一番しっくりきた。


つまり。


――転生?


信じられないのに、


それ以外に説明がつかない。


呆然としていると、また扉が開いた。


今度は、乱暴に。


バタン!


入ってきたのは、金髪の少年。


整った顔立ち。


高級そうな質の良い服。


明らかに“身分の高い人間”。


一瞬、見とれた。


けれど――


「お前、生きていたのか」


冷たい声が、空気を凍らせる。


「残念だな。お前との婚約が続くなんて。」


……は?


「そんな体で王太子妃など、冗談にもならない。」


そう言い捨てると、


彼は私を一瞥し、そのまま踵を返した。


言いたいことだけ言って、去っていく。


……なに、あれ。


呆然としたあと、


じわじわと怒りがこみ上げてくる。


婚約者?


あんな失礼な男と?


冗談じゃない。


「……こっちから願い下げよ。」


小さく、吐き捨てる。


最低の状況だ。


知らない体。


知らない世界。


知らない人間関係。


でも――


このまま終わるなんて、絶対に嫌だ。


私は、ゆっくりと拳を握った。


まずは、この体をどうにかする。


そして――


こんな婚約、必ず破棄してやる。


そのためなら、何だってやってやる。



本日あと1話投稿予定です。

よろしくお願いします。

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