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Eight Powers  作者: バナナ
念力の国 シンリヤ
1/8

第一話 心が導く方へ

この作品はほぼ全て(タイトル、内容等)チャットgptに描かせました。

取り敢えず内容を確認せずに投稿して、その後で確認するので面白いことを願ってます。



「母さん、出かけてくるよ!」


朝の柔らかな光が差し込む台所で、カムナは元気よく声を上げた。少年の母親は、痩せた体を椅子に預けたまま、微笑んで言った。


「早く帰ってくるのよ。それと……お兄さんにあったら、できるだけ言われたことを聞きなさい」


「お兄さん……?」

カムナに兄はいない。

カムナは首をかしげた。母の言葉の意図はその時の彼にはわからなかった。


それでもカムナはすぐに身支度を整え、玄関に向かった。


「母さんは今日も体調悪そうだから、ちゃんと安静にしててね!」


元気な声を残して、カムナは家を飛び出していった。


「ありがとう……」


誰もいない部屋で、母はぽつりと呟いた。


カムナは森の中を駆けていた。目的もなく、ただ心の導くままに。やがて、一本の花が目に留まった。色が抜けたように白く、けれど吸い込まれるような静謐な美しさがあった。


思わず手を伸ばそうとしたその時、不意に後ろから声がかかった。


「あ、いたいた」


振り返ると、そこにはどこか現実離れした雰囲気の青年が立っていた。歳は自分よりいくつか上だろう。だが、目の奥に何か深くて重いものを感じさせる。


「その花、もらってもいいかな?」


突然の申し出に、カムナは戸惑いながらも小さく首を振った。


「やだ」


青年は少し困った顔で言葉を続けた。


「お母さんに、何か言われてなかったかな?」


その言葉で、カムナの中にあの朝の記憶がよみがえった。


――お兄さんにあったら、できるだけ言われたことを聞きなさい。


「あ……あげる」


「ありがとう」


青年は微笑むと、花を受け取り背を向けた。そして去り際、ふと立ち止まって言った。


「最後に、これをあげるよ」


彼の手には、光に包まれた一本の剣が握られていた。どこから出したのか、いつの間にか現れていた不思議な剣。


「ほら、あげる」


「ありがとう」


カムナがそれを受け取ると、剣にまとう光は一瞬でその姿を消した。


「神力……全幻力複合……」


青年が何かを呟いたその瞬間、彼の姿は風に溶けるように消えた。


カムナはしばらくその場に立ち尽くしていたが、ふと我に返る。


「早く帰らないと、怒られちゃう」


そう言って森を後にした。


「うげ……」


馬車の中、揺れに目を覚まされたカムナはぼんやりと辺りを見回す。


「着いたぞ」


運送業の男に肩を軽く叩かれ、外に出る。目の前に広がるのは、空に浮かぶ巨大な念力結晶と、それを囲むように作られた浮遊都市。


ここが「念力の国 シンリヤ」。


この世界には「七つの国」が存在している。それぞれの国には独自の力、幻力があり、人々はその力に適応しながら暮らしている。


念力の国:精神集中による物理干渉

霊力の国:霊的存在との交信・使役

武力の国:肉体と戦闘技術を極める

妖力の国:妖怪や自然の精と共生

聖力の国:祝福と浄化、癒しの力

魂力の国:魂の深層を操る技法

魔力の国:禁忌とされる圧倒的な力

このうち、前の六つの国は天から遣わされた「六天使」によって統治されている。一方、「魔力の国」は“邪使じゃし”と呼ばれる存在によって支配されており、その中心にはかつて神と対峙した「邪神」の影がある。

邪使は合計七体おり、統治を行っている邪使以外はそれぞれの国に封印されている。


邪神は古の戦いの末に封印されたはずだったが、唯一、魔力の国に関しては未だに完全には制圧されていない。強大すぎる力のため、他国は干渉できずにいる。


そして今、青年へと成長したカムナは旅に出た。


母の病気は治ることなく悪化し続けていた。どんな薬も、どんな祈りも効かなかった。そんな時、古文書の中に“神の雫”という伝説の秘薬の存在を知った。


一滴でどんな病も治すというその雫は、世界のどこか、七つの国に現れるという。


そして最初の手がかりがあったのが、「念力の国 シンリヤ」だった。


そしてカムナが来たこの国では人々は思念で物を動かし、浮遊する石版に乗って空中を移動している。都市全体が、目に見えぬ力で成り立っていることがひしひしと伝わってきた。


「母さん……絶対に見つけて、治してみせる」


カムナは腰に手をやる。そこには、あの青年にもらった剣の重みが確かにあった。


その剣はどの文書を調べても出てこない謎の剣だった。


しかし、その剣を手に入れてから自分の中の何かが解放されたかのように新たな力が目覚め始めていた。


それは、どの国にも属さない第八の力。


心力しんりょく」――


念力に似ているようで全く異なる力。心の深層を起点とし、他者の感情を読み取り、時に具現化する。


怒りや悲しみ、喜びや誓い……それらをエネルギーに変えることで、剣として、盾として、時には何者にもなれる力、そしてこの力が「鍵」になることだけが、運命として既に定められていた。


そしてその頃、念力の国で一つの封印が音を立てて軋んでいた。


「……目覚めの時だ」


封印されたはずの邪使の一体が、ゆっくりと目を開き始める。


世界が再び乱れる時――少年は、ただの旅人ではいられなくなる。


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