表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【監禁配信】記憶喪失の僕、魔法習得しないと部屋から出られません【視聴者1名】   作者: 阿野二万休
第五章 ダンボールと玉座

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/46

03-01 猫の気持ちを考えて pt.01

 それから、三日後。


 アマネの部屋、中央のローテーブルが片付けられ、洗面器が一つ。その上に氷の塊がいくつも入れられ、中にGlyPhoneが収まっている。


 その隣にバグぴが立ち……いかにも魔法使いという三角帽子にローブという格好をして、いかにも魔法使いという節くれだった長い杖を持ち、いかにも魔法使いという深刻な顔で……マシン語のような言葉を呟いていた。


----------


|微界展開《EXPAND MACRO》

|魔力位相関数設定《SET MAGIC PHASE FUNCTION》 (BECOMES) 猫の状態(CAT_STATE)

|巨界干渉《ENTANGLE MACRO》 微界(MICRO) |↔《ENTANGLED WITH》 巨界(MACRO)

|観測実行《EXECUTE OBSERVATION》

|魔力位相関数収束《COLLAPSE MPF》

|係数導出《DERIVE COEFFICIENT》



 彼の唇が言葉を結ぶたび、ちゃぽ、ちゃぷん、という音がする。同時に、彼の周囲に魔法陣が投射される。だがそれは、それまでの魔法陣とはまるで違った。図形に曲線は時間とともに移り変わり、時にカクつきながらも、ねじれ、くびれ、裏返り、実在する騙し絵のような、四次元図形の魔法陣。三次元に暮らす生命体――つまり地球の人間にとっては、見ているだけで脳が歪むような光景だった。



    ----------|騎士係数《KNIGHT_COEFFICIENT》= 0.284



 詠唱がそこにさしかかると、さらに、じゅう、という音がした。氷の中のGlyPhoneが熱を発し、周囲の氷が溶け、水分が蒸発さえしている。その湯気の中〈k=0.284〉という数列が踊る。それを見たアマネはごくりとツバを飲み、勉強机の前に座るルフィアをちらりと見る。うろたえていないことからすると通常の手順らしい。




:えこれなに?

:中二詠唱いきなり見せられても

:ってかマジでこの配信なんなん?通報できないんですけど?ハッカー?

:おうおう新規がうろたえとるww

:三日見てるだけで古参顔やめてねw




 視界の端をスクロールしていくコメントにはまだ少し慣れないけれど、今はこれでいい。


 やがてバグぴは、目を見開く。大きく息を吸い、そして叫ぶ



【|猫の気持ちを考えて《SCHRÖDINGER EFFECT》】!!


----------


 四次元図形によって構成された魔法陣が、バグぴが杖を構えた先の一点に収束していく。ライトブルーのレーザーじみた光が、自ら意思を持っているかのようにうねり、絡まり、渦をなし、やがて、一つの白い光になる。その光はさながら、あの核融合の光にも似ていたが、しかし、熱は発していなかった。


 光は徐々に収束していく、小さくなっていく、輝きを内側に向けていく。やがて、そのシルエットが一つの形をとる。その形が、なにかの生き物のようだ、とアマネが思うと……形は伸び、縮み、また伸び………………寝転ぶ。




 そして、光が収まるとそれがあらわになる。


 艷やかな毛並みの一匹の猫が、部屋の床に寝転がり、ざりざりと腕の毛を舐めていた。




 ぱたん、ぱたん、ぺちん、床に尻尾を軽く打ち付けながら、目を細め、毛繕いを続けている。どこからどう見ても、ただの猫だ。猫は毛繕いを終えると、ぐぐぐ、と伸びを、して、それからバグぴを見つめる。




 そして、言った。




「よお人間。満足か? オレを呼び出せて満足なのか、ええ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ