『なつへの手紙』
本当は最終章に書く予定だった話を、第3章の単独話として書いています。
なつへ最後に言いたかった事があります。
「手記」と「手紙」分けて書いてます。
<なつが亡くなる前後の手記>
亡くなる2ヶ月前、なつの体重は水が体に溜まりどんどん増え始めた。
口の中の頬肉にまで水が溜まり、食べる飲むにも支障が出始めてきた。
動物病院の先生が、「大きな病院で診てもらってはどうでしょうか?うちで原因は調べられないんです」
となんども言ってきた。自分はそれを断った。
病院に行くことがなつは嫌いで、結構連れて行く時に悲しそうな顔をするんだ。
それを今から大きな病院に行き、CTやMRIの検査をするのをなつは耐えられないだろう。
麻酔とか必要だったらなおさらだ、麻酔注射を打ってもう戻ってこないかもしれないし。
飼っている動物の病気治療の判断をするのは医者じゃない、飼い主が判断する事だ。
だから自分は、今行っている動物病院の出来る範囲内の治療に留めておこうと心に決めていた。
それが、なつにとっても一番良いことだと判断したんだ。
亡くなる1ヶ月前はどんどん体重の増加ペースは止まらず、平均体重2.5kgの1.5倍の4kgにまで迫る勢いだった。体が重くてしんどそうで、歩くのもやっとだった。なんとか、その負担を減らそうと餌はなつにいるところまで持っていってあげていた。なつがベットに上がれなくなったので階段っぽいスロープも作ってあげた。ただ、そんな状態は半月も続かなかった。
もうほとんど歩けなくなったのです。そして「にゃー」と鳴くことも出来なくなったのです。
もうその時は、もうなつは死ぬって覚悟していたよ。ここからの大逆転なんて無理だから。
でも、まだなつは生きているから、どうやって負担を増やさないか考えたんだ。
餌は栄養価が高く胃に入りやすい高齢猫用のパウチフードを色々買ってきた。
ちょっと温めてあげたり、色んな種類をミックスしてあげたりしたけど食は細くなってきた。
水はスポイトとか使ってあげたりしたけど、ほとんど飲まなくなっていた。
餌や水をあげる試行錯誤をしていたが、お薬は朝昼晩とあげなくてはいけなかった。
薬を砕いて粉状にして、いちごジャムに混ぜて口に含ませていたのだが段々それも嫌がるようになった。
亡くなる1週間前、なつをトイレに連れてってもおしっこが出てない事に気づいた。
恐らく膀胱炎を発症しているので、頓服でもらっている抗生物質と消炎剤を飲ませた。
猫が尿をしないと死に至る可能性が高くなるのです。体の毒素を出せなくなるので。
なんとか少しおしっこをしてくれたが、色が変だ。妙に赤みがかっている。血尿だと思った。
餌も食べないし、水も飲まない、もうダメかもしれない、もう死ぬのは今日明日かもしれない。
そんなん分かるよ!17年世話している飼い主だから!なつの事を世界一分かっているんだから!
だから、ここで判断しなくちゃいけない。医者に連れて行くのか、連れて行かないのか。
万全を期すなら前者の医者に連れて行くんだけど、なつの体力がもつかどうか・・・
ここで飼い主としての最後の判断をしなくちゃならない。
(ここで話は第1章のなつが亡くなった日に繋がります
第1章ep1 URL:https://ncode.syosetu.com/n0963kj/1/)
自分の判断は間違っていたのだろうか。動物病院に連れて行った結果なつは亡くなった。
本当に、ごめんねなつ。
絶対になつは自宅で死にたかったよね?だってなつのお城みたいなもんだし。
病院では泣けなかったけど、なつの亡き骸を抱いて家に着いた時自分は声に出して泣いたんだ。
なつはまるでスヤスヤ眠っているように安らかな死に顔をしていた。それを見て自分は泣き崩れた。
「なんでだよ!朝生きていたじゃないか!今も寝ているよう見えるし、なんで死んだんだよ!
病院に行って帰るだけだったろう!
でも、ここ何日かで死ぬのは分かってたよ。だって飼い主だから。
17年も遊んだり餌をあげたり一緒に寝たりしていたから、なつのなんだって分かるよ。
一人寂しく死ぬことはないでしょ。そんな寂しいことするなよ。。。。」
自分の心が落ち着かないままに、火葬場の予約をとりなつは遺骨になり、遺灰になった。
なんだか、ポツンと一人っきりになったような感覚におちいったんだ。
何かカサって音がするとなつがいるのかって思うし、扉はいつも通りなつが通るスペースを開けてしまうし、なつの使った食器・お薬の残り・買ったフードなどを見るもの見るものなつを想起させる。
自分がなつの死を引きずり、なつの為に何かしようとするまで1ヶ月かかった。
約3000枚にも及ぶ写真を整理しなつのフォトアルバムを作成した。残りの餌や、猫砂とかはメルカリで売却した。なつの骨壺や生前の写真を置くスペースも作った。いつもなつと一緒にいられるように家の鍵のキーホルダーになつの遺骨を入れたロケットを買って持ち歩くようにした。
色々やったけど、このなつの話を小説にしたのが一番大きな事かな。
過去の日記や写真、赤ちゃんの時の成長記録や病気治療メモなどを見て思い出しては書き、思い出しては書きを続けた。そんなもの書いたことないから、色々な小説家の方からアドバイスを受けた。
なんか、ちょっと前向きになつの死を捉えられるようになったかもしれない。
<大好きななつへの手紙>
僕が一番大好きな「なつ」へ
なつごめんね。一人で虹の橋を渡らせてしまって。
どんなに寂しかったのだろう。どんなに苦しかったのだろう。
自分はなつを死ぬ直前まで抱きしめてあげたかった。
「大丈夫だから。一人じゃないから。ずっとそばにいてあげるから。寂しくないから。」
と、ずっと言ってあげたかったんだ。
でも人が見てないところで亡くなったから出来なかったんだ。
なつが亡くなって自分はしょんぼりしていたよ。
でもね、亡くなった事を嘆いても時は元には戻らない
楽しかった事を思い出そうとしてるんだ
思い出は消える事も無くなる事はないんだから
自分となつはいつも共にあるんだ
自分の心にもあるしこの小説のように書き記したものもある
誰かの心の中になつのことが残るかもしれない、それって素敵なことじゃないか
なつが亡くなる最後の夜、珍しく布団の中に入ってきてくれたよね?
すごく嬉しかったよ!なつと一晩ぴったり寄り添って寝られたんだから
なつだって自分が死ぬって分かっていたからそうしたんだよね?
なつも自分が一番好きだったんでしょ?
あの夜の事は一生忘れないしとても大事な思い出だよ
なつは自分の子供であり家族でありそして僕の一番大事な友だちだったんだから
いつまでも、僕のなつと友にいようね!
本当は最終章に書く話を、第3章の単独話として書きました。
なつを飼ってた時のエピソードを第3章に話すと、どれくらいの量の話をするか読めません。
第1章・第2章・第3章に話しのクライマックスを持ってくるべきだろうと思い変更しました。
まるでこの第3章は最終章的な感じで「The End」的な感じがしますが、
第4章からなつを飼った時からのエピソードを書いていこうと考えてます。