『小雨が降る日、初めて君と出会った』
――この章では『なつ』ではなく『猫』と表記しています。理由は書いてあります!――
猫との初めての出会いは、今(2025年現在)から約17年前の「2007年10月14日」だった。
自分はその時何をしていたかと言うと、
元の職場から仕事の依頼を頂いていたのだが
自分の体調が思わしくなくその依頼を断ってしまい
何もしてない時期でした......
家では基本寝床に横になっていて、たまに起きてテレビやネットを見たりと
何をするでもないつまらない日常を過ごしていたのは覚えています。
猫との初めての出会いは妻がもたらしてくれたものでした。
妻が外出先から帰って来ると
「猫拾ってきたけど、赤子だから何からしていいか分からない。
私は色々調べるから、あなたは猫が風邪ひかないように温めてあげてね!」
何していいのか分からないのに拾ってくるなんて適当すぎるだろと思ったし、
頼んできた事も完全な無茶ぶりである。
(これが猫??ほぼ芋虫のようじゃないか!)
寒くて震えているし、毛も水で濡れてこのままでは体が冷えて死んでしまうと思った。
自分はその時しらなかったが猫にはへその緒が付いており、
自分が猫を見る前に妻がそのへその緒をハサミで切っていたのだそうだ。
捨て猫というより、近所の野良猫のお母さんがこの猫だけを
何故か運ばなかったような気がするので『生み落とし』が恐らく正解かな?
なんとかこの子を助けようと色々調べながら夫婦で手分けをした。
妻は子猫用のミルクと哺乳瓶を手に入れるため、
ネット検索でヒットしたペットショップに次々と電話をかけている。
自分はタオルで猫の毛を乾かしていた。
自分は緊張していた。猫の事なんも知らないし、ましてや生まれたての猫は見たこともない。
(これ、自分がしっかりとしないと猫が死んじゃうよ。なんとかして助けなきゃ!)
という使命感にかられていた。(本当に、何とかしないと......)
タオルだと給水性が低いから、キッチンペーパーで拭いて水分を吸い取り、
そして、手でなでることによって『暖かさ』と『安心』をこの子に伝えようとしていた。
(少しは体が乾いてきて落ち着いてきたかな?)
震える小さい体だけど、鳴き声だけはしっかりしている。
「ギャー!ギャー!ギャー!ギャー!」
全然可愛くない声......でも『生きているんだな』って感じられた。
そうこうしている内に妻がペットショップから子猫用のミルクと哺乳瓶を買って帰ってきた。
(ちゃんとミルク飲んでくれるのだろうか?)
自分が猫を抱き、妻が少し温めたミルクが入った哺乳瓶で猫にミルクをあげた。
「チューチュー!ゴクゴク!」
「やったー!」と夫婦揃ってガッツポーズが出ました!
吸う力は弱いものの、なんとかミルクを飲んでくれた時は「ホッ」とした。
赤ちゃんの猫に関する事を色々調べた中に、
『3時間に1回の授乳』
というのがありそれが最大のネック。
また、この大きな鳴き声も大問題。
ここはペット禁止の賃貸マンション。
なんとか鳴き声を小さくしなくてはいけない。
この2つの問題は自分が解決した。
自分は今仕事をしていないのでアラームを付けてなんとか3時間に1回の授乳は出来る。
当時やっていた『mixi』の猫コミュでスレを立て、
鳴き声を止める良い解決方法を知ることが出来た。
鳴き声をやます為に必要なのは『母猫がそばにいるような安心感』が大事。
それを再現するには
『暖かい飲み物用の500mlペットボトル』に60度位のお湯を入れ
『柔らかい生地のフリース』とかでペットボトルをくるんであげる事です。
『母猫の再現』が出来ました!
猫の寝床の傍らにそれを置いてみました。
そしたら猫がペットボトルの近くでスヤスヤと眠り始めました。
「大成功!」これも夫婦でガッツポーズ!
妻は実家で長年猫を飼っていたので色々な事を知っているので自分に伝授した。
今や妻は、自分の猫先生に変わっていた。
『ウンチとおしっこのさせかた』
『猫が嫌がらない抱っこの仕方』
を教えてもらいました。
この日から『自分による猫の為の、3時間単位の生活』がスタートしました。
ガラケーのアラームを3時間毎にセット。
1日24時間を8回に分け、毎回同じ手順を繰り返しました。
『人肌に温めたミルクをあげる』
『湿らしたコットンでトントンと触っておしっこうんちを誘引する』
『お湯をあたためペットボトルに入れ、フリースをまき直し寝床におく』
『キッチンスケールでなつの体重を計り記録する(うんちおしっこ回数も記録)』
元気ならちょっと遊んであげたり、
大好きな『頭をよしよしして撫でる』もしてあげた。
毎日が大変だったけど、みるみる大きくなっていく猫を見て幸せな気分も感じていました。
(親になるってこんな感じなのかな?)
仕事が出来ない自分なんかが、
『何かをして』
『何かの命が続いていく』
って言う(なんか俺、すごい事をやっているんじゃない!)
という妙な感覚を抱きながらも、
3時間単位を繰り返す毎日が約1ヶ月間続いていきます。
ただ一つの『大きな課題』だけ残して......
この猫を育てる大前提が『里子に出す』だったので並行して里親探しも行っていた。
その一環としてこの猫には名前を付けなかったのです。(今考えるとなんと可哀そうな......)
流石に呼ぶときに『猫』と呼ぶわけにいかないので、
「鼻にし《・》みみたいな模様があるので『はなぴー』」
「縞模様の猫なんで『にゃむしま』」
とか適当に呼び方を色々変えて読んでいました。
名前を固定すると、猫が名前と認識しちゃうから。
『吾輩は猫である』ではないですが、『名前はまだない』......
だから『猫』とこの章では表記して書いてます。
この1ヶ月の間にかなり進歩した猫
『歩いて動ける』
『目が開きました(本当にぱっちりお目目でした)』
『「歩く」から、ヨチヨチとよろけながらも「走れる」ように変化』
『たまに噛んでくる(今は痛くない......)』
特に『目が開くかどうか?』は本当に心配で、
(きちんと開かなかったらどうしよう。その時は自分の育て方が悪かったからだ...)
とも思っていて
(親が子を思う気持ちってこうなのかな?)
と感じた。
そういう日々を楽しんでいる内に、里親は自分の親戚のおばさんに決まりました。
ついに里親に『猫』を引き渡す日がやってくるのです(続く)
――第2章は『猫を拾って育てる』『猫を里親に出す』『そして・・・』という流れです――