おまけ
<11年前>
薄汚れた貧民街のテントで、人間の少年とハーフエルフの少女は質素な暮らしをしていた。生き抜くための毎日は飢えとの戦いだった。しかし、最近はそうではない。
テントの中央に置かれた麻袋から、ありえないほどの食べ物の香りが漂う。つい先ほど市場で買ってきたばかりだ。リオが中央街で手作りのリュートを奏で、大金を手にしたのだ。
乾いたパン、固いチーズ、リンゴが三つに、小さな木樽に入った塩漬け肉、塩味が効いたオリーブの実......
ルーナは目を輝かせて一生懸命に頬張る。
「ルーナ、その辺にしときなよ。もうお腹ぽんぽんじゃないか。あとは日持ちする物ばかりだから、また明日食べればいいよ」
「むぐむぐ......」
リオの忠告にルーナは聞く耳を持たない。
「いい加減にしないと腹破裂するぞ」
比喩でなく、本当にルーナの腹は破裂しそうな勢いで膨れ上がっている。貧乏暮らしをしていたからか、元からなのか、ルーナはある分だけ全部食べる癖があるようだ。流石にこれ以上は体によくないのでリオは心配になった。
「こら! いう事聞けって」
リオはルーナの腰に腕を回した。一気に引き寄せ、ルーナを膝の上に乗せる。
「んもう! はなしてよぉ!」
ルーナは身をよじらせるが、リオの腕は外れない。
「ほら、もうこんなにぽんぽんじゃないか」
リオは笑いながらルーナの腹をくすぐる。
「くすぐったいってば! はなして!」
ルーナの声が甲高くなる。小さな体が震えるが、それはくすぐったさと笑いのせいだ。
「だーめー、はなさない」
「やだー! はなしてー! 全部食べるのー!」
「だめだって、馬鹿。体に悪いって言ってるだろ」
「ばかって言わないでよ! ばかばかばか! 兄貴のばか! だからくすぐったいってばー!」
「ぽんぽん、ぽんぽん。はははっ」
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ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます!
一年経ちましたが、ようやく折り返しとなりました、、汗 当初の予定では去年中に終わるつもりだったのですが、意外と(?)終わらなかったです、、汗 ここまで飽きずに読んでくださった方には本当に感謝してもしきれないなと思います。また、ハートやレビュー、ファンアートまで様々な応援をいただきました。本当に、本当に、ありがとうございます!!
さて、ここからは後編です。リオとルーナの恋愛かと思いきや、リオが死んでしまいどういうこっちゃと思われるかもしれませんが、後編からはむしろ恋愛バディ色を強めていこうと思います。引き続き頑張って参ります!(できれば年内に完結させたいです、、汗)