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1 地味な、プロローグです

 一番私の心を苦しめたのは、私という「存在」がまるで世界から忘れ去られたかのように、周囲から「認識」されないことでした――……。







 この屋敷ではクロエ・パリステラを見る者は一人として存在しない。

 誰も彼女を気にしないし、誰も彼女を視界に入れない。

 彼女が声をかけても誰も答えないし、彼女が困っていても誰も救いの手を差し伸べない。


 これが、パリステラ侯爵家での日常だった。



 いつからだろうか、彼女がゴースト――幽霊令嬢だと呼ばれ始めたのは。





◆◆◆





 母が死んだ。


 クロエの父親と母親は政略結婚で、そこに端から愛情なんてなかった。

 父は婚姻前から関係のある愛人にのめり込み、殆ど屋敷に帰って来ることもなく、家族は冷え切っていた。

 そんな中でも、母だけはクロエに惜しみなく愛情を注いでくれて、クロエもそんな母が大好きだった。


 だが、母は病に倒れて、帰らぬ人となった。


 最愛の母を失ってクロエはなかなか立ち直れずに失意の日々を送るが、彼女の傷付いた心に止めを刺すような出来事が起こる。

 母の死の半年後に父親が再婚をして、元・愛人とその娘を侯爵家に迎え入れたのだ。


 愛人は平民の女だった。酒場で給仕の仕事をしていたときに、お忍びで来ていた侯爵が一目惚れしたらしい。

 その後は深淵に呑み込まれるように彼は愛人に夢中になって、やがて二人の間には可愛い娘ができた。


 娘の名前はコートニー。

 年はクロエより一つ下で、父親似の愛らしい少女だった。


 

 継母と異母妹が屋敷に来てからしばらくして、クロエの平穏だった生活はがらりと様変わりした。


 パリステラ家での居場所も、婚約者のスコット・ジェンナー公爵令息も、全て……全てを異母妹コートニーから奪われるのに、さほど時間はかからなかった。








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