揚陸手段はサムライならでは
カスガからLCACが三輌発進する。機体は載せていない。
「ん? 何故ミルスミエスを乗せていないのだジン」
サルヴィが疑問に思い、ジンに尋ねた。
「私達はLCACで揚陸ですよね?」
同様な疑問を抱いたのだろうアイノも疑問の声を発する。
「日本外征部隊のサムライならではの戦術なんだ」
現在上陸したニンジャ部隊は、外にいる鋼のモンスターと交戦中だった。 サムライ部隊が戦っている地域は旧ワシリエフスキー島。バルチック造船所があった場所で、おそらくその施設はモンスター製造に使われていると予想されていた。
アンデッドも少なく、地上にいるモンスターはいわゆる雑魚。ゴブリンやオーク系の機体だったが、数は違う。
ファンタジーのモンスターと違うところは、武装している兵器が現代水準という点だ。
「ん? サムライ部隊は甲板に? 跳躍するといっても岸までには距離が足りんぞ」
「見た方が早いな」
サムライクラスのミルスミエスが加速に用いるスラスターを使い、大きく跳躍した。
LCACを足場に着地し、即座に再び跳躍する。LCACを踏み台に、サムライ部隊は全機、無事河岸に辿り着いた。
「なんなのあれ……」
さすがのサラマの知らなかったようだ。
「スキル<八艘飛び>だな。伝説の武将ミナモトヨシツネが、船から船へと飛び移ったという伝説からきたスキルなんだろう」
「そんな伝説があるの?!」
「実在の人物だしなあ。実話だと認識している日本人は多いから、サムライなら使えるスキルになっていたんだろうな」
館内放送で守山がフィンランド国防軍に同様の説明を行っている。歴史講座さながらだが、彼らが呆気に取られて狙撃を止めているためだ。
上陸したサムライ部隊は、押し寄せるモンスターを切り伏せる。カスガ甲板からは気を取り直したフィンランド狙撃部隊が、援護射撃を行う。
「ジン。今なら揚陸できる!」
菅野から連絡が入り、気を引き締めるジン。
「わかった。――だしてくれ」
操縦士に指示を入れ、ジンたちのミルスミエスを載せたLCACがカスガから発進した。
砂浜ではないので、接岸して上陸するジンたちのミルスミエス。
「見たこともないような巨大な要塞。――あれが幻想ダンジョン【レーニングラード】だな」
ゴーストタンクもいるようなダンジョンだ。通常の大きさなわけがない。
ロウヒが画策した幻想の侵食は、機械のモンスターを用いる。当然サイズも合わさるのだ。
「セーブポイントはさすがにないだろうけど、安全地帯ぐらいはあるといいな」
サラマがぽつりという。
「そこまでゲームぽくなってくれたらいいが…… 消耗品は節約だな」
ジンが皆に告げ、全員が頷く。
「菅野たちが血路を開いてくれた。――これより【レーニングラード】へ突入する!」
ジンの号令とともに、四機のミルスミエスが要塞型ダンジョンに突入した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
同期している仲間のパラメータを確認するジン。
ジンはスピリット。アイノはエルヴス。サラヴィとルスカがスピリットの後継機であるピクシーに搭乗している。
まずは自分の機体からだ。
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◆ジン
◆製造:五稜重工業/セッポ
◆スプライト一式
全長:6.78メートル
空虚重量:24トン
【ブランチ】 アサルトパイオニア
【クラス 】 シノビ
【アクティブスキル】
天遁十法./地遁十法/忍術/隠密/クリティカルアーツ
【パッシブスキル】
運動性向上(高)/機動性向上(高)状態異常抵抗(高)/精神攻撃無効/致死攻撃向上(高)/天空の加護
攻撃魔法/精霊魔法/剣術
【フレームスキル】
ダメージ軽減(中):スプライト一式スキル
【所得クラス】
ファイター/ニンジャ/シノビ/サムライ/ムシャ
メイジ/ウィザード/シャーマン/ウォーロック
BP:220
EN:240
MP:120
精霊力:10
武装
ヴァーキライフル/近接用長剣/クナイ/攻撃用手甲
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以前よりもジン本人のパラメータが向上している。ジュオヤタールを倒した影響だろう。今では旧式機だが、セッポの改良で最新型のレッドスプライトを陵駕する性能を誇る。
武器はヴァーキライフルと近接用長剣。投擲用のクナイだ。
セッポに頼み、アンデッドに備えて打撃武器は攻撃用の手甲を用意してもらった。
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◆アイノ
◆製造:五稜重工業/セッポ
◆エルヴス一式
全長:6.6メートル
空虚重量:20トン
【ブランチ】 スカウト・スナイパー
【クラス 】 ルノイ(詩人)
【アクティブスキル】
潜伏/追跡/隠密/遠望/ルノ(詩)/隠密/精霊魔法
【パッシブスキル】
狙撃補正/魔力増加
【フレームスキル】
ヴァーキ増幅:スプライト一式スキル
【所得クラス】
ルノイ/ノアイデ
BP:150
EN:300
MP:180
精霊力:30
武装
ヴァーキスナイパーライフル/20ミリサブマシンガン/大型ナイフ
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アイノのエルヴズは第一世代ミルスミエスともいうべき代物で今や旧式機だが、セッポの手によって改良を施されている。
狙撃型のヴァーキライフルと20ミリの反動が少ないミルスミエスサイズのサブマシンガン。そして大型ナイフだ。
ブランチのスカウト・スナイパーに加え詩人であるルノイ、サーミに伝わるシャーマン【ノアイデ】まで獲得している。ラッピの恩寵ともいうべきものが彼女にはあるのだった。
そして受肉した精霊二人が乗る第二世代ミルスミエスのピクシーだったが……
いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!
Twitterで知ったのですが、今日はARM○RED C○RE NEXUSから発売19年だそうです。
スタッフロールに本名を掲載していただいた、思いで深い作品です。というわけで予定を繰り上げて本日公開です。
さてパラメーター回でもあります。これ残り二人どうしようと現時点でまだ決まっていない、ライブ感をお伝えいたしますw 笑い事ではないですね…… 後衛と中衛がいるのでサルヴィは前衛、エルフのルスカはどうすっかな、と。魔法戦士? ディー○っぽく? 原典の指輪方面のミルスミエス…… うーん!




